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(株)沖縄物産企業連合 代表取締役社長 宮城弘岩さんに聞く

取材・文:井海 宏通(中小企業診断士)

【第1回】沖縄経済と物産

取材日:2007年10月13日

沖縄県の物産販売を全国的に手掛ける(株)沖縄物産企業連合の宮城弘岩社長は、経営者であると同時に中小企業診断士でもいらっしゃいます。そして、沖縄経済を語る学者としての顔もお持ちで、持論を著作として書き表しておられます。今回は、沖縄経済への思いや自社の経営哲学、中小企業診断士への期待などを語っていただきました。

(株)沖縄物産企業連合の存在意義

宮城弘岩さん

― これまでの取り組みの経緯をお聞かせください。

沖縄県の物産販売に取り組んだのは、今から15年前のことです。日本唯一の製造業団体の(社)沖縄県工業連合会にいた時から「沖縄発本土行き」を提唱してきたのですが、それを(株)沖縄県物産公社の「わしたショップ」として形にしました。さらに6年前に(株)沖縄物産企業連合を立ち上げ、現在に至っています。第三セクターではなく、民間企業として地域の物産販売を全国に手掛けたのは沖縄県勢が初めてだと自負しています。

事業に対する私の考え方については、弊著『沖縄の物産革命』に詳しく書いています。

― 沖縄の代表産業として観光を挙げる人が多い中、なぜ物産なのでしょうか?

沖縄経済は他依存型の「3K」です。それは基地、公共工事、そして観光ですが、3Kでは沖縄の経済は自立しないと考えています。観光は、経済が発展途上の段階ではよいかもしれませんが限界があります。それはローテクノロジーで、かつ自らの努力で事業をコントロールできないからです。蛇口(売上)は向こう(観光客のいる本土側)が持っているので、経営計画や利益計画が作りにくい。これでは、豊かになれるはずがありません。

韓国、シンガポール、香港、台湾など諸外国に目を向けると、途上段階では観光業に力を入れていましたが、それだけでは喰べていけないので、1980年代初頭から先端産業に切り替えてきました。沖縄の課題は、モノづくりや高付加価値経済にいかにシフトするか、だと考えています。

― それでモノづくりを主張しておられると?

例えば小売業だと、仕入れた代金は本土に流れていきます。しかし、モノづくりに取り組むと、農林水産業、製造業、運送業、機械工場、印刷業など産業は連動し発展します。すべて沖縄にお金が落ち、経済波及効果が大きいからです。付加価値は何回転もするのです。

現在、格差社会が問題になっています。格差社会では、強い所はより強く、弱い所はより弱くなります。地域間格差には実は産業構造の格差もあります。沖縄の地域経済が発展するには、モノづくりをベースにした、3Kより付加価値の高い産業構造に変えなければなりません。だから「物産」なのです。

― その中で(株)沖縄物産企業連合はどんな役割を担っているのでしょうか?

マーケットを外に求めていく際は、販路開拓が問題になります。マーケティング活動も必要です。零細企業が86.5%を占める地場の製造業では、それがなかなか難しい。そこで、弊社がその役割を担っているのです。

経営に欠かせない「市場の読み」

宮城弘岩さん

― ところで、沖縄ブームは現在どうなっているのでしょうか?

沖縄ブームは、2000年の九州沖縄サミット、またNHKでの「ちゅらさん」の放映がきっかけとなって始まったのですが、2004年で一段落した感があります。その間、いろいろな流れがありました。

まず、物産ブームに伴い大手流通業が参入してきました。最初はスーパー、コンビニ、ドラッグストアなどの小売、次に卸です。それまで年25%程度の伸び率だった取扱量がほぼ倍々で増えるようになりました。2004年がピークで、それ以降はサッと引きましたね。今はピーク時の半分くらいです。

次の流れとしては、2005年から沖縄風居酒屋への参入者が増えました。たまたま沖縄出身ということで事業を立ち上げている事例が多い。その流れで、ここ2年は食材供給が増えてきています。ただ、中身は沖縄料理と似て非なる、というケースが多いですね。物産のブームとしては2004年で完成し、現在では厳しい局面にたたされている企業も出てきています。

― 沖縄ブームの盛衰と言えば「もろみ酢」が有名です。

沖縄の物産ブームはもろみ酢が引っ張って来たと言っても過言ではありません。当社も一時期は売上の約30%をもろみ酢の販売が占めていました。いったん山を超えると落ちるのが早く、2004年から2005年にかけて半分になりました。翌年はさらにその半分です。

大変だったのは泡盛業者で、ブームがピークに達している時に設備投資をして、稼働開始時には市場が30%に縮小していました。それで、固定費を賄うためにたたき売りをしたものですから、単価が下落し余計自分の首を締める結果になりました。当時、もろみ酢に特化していた企業ほど、大きなダメージを食らっています。

― 市場の流れをよく読んで行かないといけないということですね。

そうです。簡単に儲かるからと安易に考えてはいけない、ということです。沖縄県の企業が倒産するのは構造的な問題ではなく、経営者の手腕の問題です。経営者として必要な資質として先見性がありますが、先が見えている人がどれくらいいるのか? 残念ながら、3年先まで見えている人はほとんどいないでしょう。今は、市場が大きく変わるターニングポイントに差し掛かっています。業界の方向性を読み、自社に対する影響をよく考えるべき時期に来ているのです。

宮城 弘岩さん:(株)沖縄物産企業連合 代表取締役社長

宮城 弘岩(みやぎ ひろいわ)/1940年生まれ、沖縄県南風原町出身。早稲田大学、国立台湾大学経済学研究所(修士)卒業。国際監査法人プライスウォーターハウス、(株)山崎鉄工所(ロボットメーカー、現ヤマザキ・マザック、在名古屋)、(社)沖縄県工業連合会専務理事、同副会長、(株)沖縄県物産公社代表取締役専務を経て、現在、(株)沖縄物産企業連合代表取締役。(社)中小企業診断協会理事、同沖縄県副支部長、中小企業診断士。著書として、『沖縄の物産革命―わしたを超えて―』『沖縄自由貿易論』など多数。

会社名 (株)沖縄物産企業連合 代表取締役社長
設立 2001年7月13日
資本金 3億1,075万円
売上高 30億円
従業員数 180名
本社所在地 沖縄県那覇市田原2丁目7番7号 パークサイド上原
ホームページ http://www.okinawa-takarajima.com/