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診断士に向けた熱いメッセージ

中小企業診断士に期待する

特別編:他士業専門家座談会―士業連携にあたって中小企業診断士に期待すること

司会:宮崎 洋一
参加者:久我 祐司 /  田中 謙二 /  茶谷 豪 / 
中田 哲也 /  西内 孝文 /  古屋 尚樹
ゲスト参加:平村 一紀 (中小企業診断士)

【特別編 第7回】中小企業診断士に期待すること(3)

「MBAプラス現場」が中小企業診断士

司会:先ほど、中小企業診断士がMBA的な資格でもあるというお話が出たのですが、今回の記事というのは中小企業診断士を目指して試験を受けようと思っていらっしゃる方も読者の一部にいらっしゃいます。

経営全般が体系的に学べるというようなMBA的な診断士の資格試験のイメージについて、西内先生、どのような印象をお持ちですか。

西内:1次試験はけっこう記憶ベースでいけるので、受験のコツをつかめば1週間ぐらい勉強しただけで2年目も受かるぐらいですが、2次試験は無理です。最初の年はなめていましたから、やはりだめでしたね。ちゃんとMBAのような形できちんと理論を学んで、その理論をいかに紙に落とせるか、コンサルティングのレポートを書けるかという能力なので、あれは簡単には身に付かない。ちゃんとトレーニングをしないといけない。

その過程で基礎的な知識を持っている応用力が問われると思うのです。そういった意味では実際に社会に出てからも一緒で、自分が学んだことをお客さんにどう表現していって、お客さんのためにどうしていくかというのはまさにMBAだと思うのです。ケーススタディも数をやるとは思うのですが、MBAのようにケーススタディだけにとらわれるのではなく、企業の現場の実態に即したことが結構できるのは診断士のメリットだと思います。

中田・田中・久我さん中小企業診断士は売り上げで結果を

司会:話を「中小企業診断士に期待すること」に戻しまして、田中先生いかがでしょうか。

田中:私の個人的な意見で、「こういう人がいたらいいな」という話になってしまうのですが、売り上げをコーディネートできるというか、自由自在に操れる人。たとえば、違うドメインに移した場合に売り上げがどうなっていくかを予測するとか、そこをきっちりやってくれる人が欲しい。

私の今までの経験を振り返ると、ディフェンス面はけっこう診断士に近いことまで実務をやってきましたので、リストラのようなことはできるのです。しかし、攻めるほうの、売り上げを伸ばすにはどうすればよいかという知識がないのです。マーケティングにも近いのかもしれないですが、例えば今やっている事業が傾いてきて将来性はどうなのか、どうやったら伸びるのか、伸びないのだったら隣の領域に移るべきか、といった場合に、どういうところを生かしてどうやったらよいのか。違う国ではこうなっているとか、アイデアも欲しいですし、会社を伸ばすということに注力してほしい。

経費がどうだとかいっても、結局売り上げが上がっていなければ意味がないので、中小企業診断士に社長がお金を払うとしたら、要するに売り上げで結果を出すしかないのではないかと個人的には思います。大きい会社で工場の大きいラインを変えたりとか、そういうのはあると思うのですが、本当に小さい会社はみんな思いどおり売り上げが上がらないことに悩んでいるので、そちらを机の上の理論ではなく、分かるようにやってほしい。

経営者と一緒になって考える、いちばん身近な専門家

司会:では、久我先生、お願いします。

久我:皆さんのお話を伺っていて漠然と思ったのですが、われわれ専門家の持っている専門分野についての細かい知識を一般の人にうまく伝えられるかどうかという部分でいうと、それがどういう場面で具体的にどういう組み合わせをしたらどのように使えるのかというコーディネートであったり、あるいは、場合によっては、われわれが使っている言葉を普通の人はどういう場面で使えば分かるのか、という通訳的な役割というのもあるのかな、というのが1つあります。

それからいま田中さんがおっしゃったように、売り上げを伸ばす。ある程度コーチのような役割というのもあるのかな。そんなイメージを持っています。

司会:通訳というお話がありましたが、弁護士のお立場で、茶谷先生は、どのように思われますか。

茶谷:弁護士とか税理士自身がいかに分かりやすくクライアントに伝えられるかを追求しなければならないはずですので、中小企業診断士に通訳を期待することは役割放棄かなという気もします。

ただ、今日の話のなかに「片腕として」というのもありましたが、依頼者としても単に弁護士がこう言っているから、税理士がこう言っているからそうなのだというので丸飲みにするのではなく、当然納得した上でやりたいと思います。

そこで、セカンドオピニオンとまでは言えないかもしれませんが、弁護士なり税理士なり会計士なりから何らかの提案があったときに、それはその会社にとってどうなのかということを経営者と一緒に考えることができればよいのではないかと思います。

司会:いちばん経営者の身近にいて経営者とともに考える専門家、というイメージですね。中小企業診断士の理想像かもしれません。本日は短い時間でしたが、さまざまなヒントをいただけたように思います。ありがとうございました。

* * *

座談会を通して「何が得意なのかわからない」、「とらえどころがない」といった得意業務が分かりにくいという表現も異口同音に聞かれました。「典型的な中小企業診断士」モデルを構築し広くPRしていくことは独立する中小企業診断士の果たすべき喫緊の課題であることと感じさせられました。

他士業の皆さんから聞かれた中小企業診断士の強みは大きく2つの側面に集約されるように思われます。ひとつは「コーディネータ的な仕事の仕方」、「専門家チームのまとめ役的な立場である」といったディレクションの機能を担うこと、あるいはプロデューサーとしての役割です。もうひとつは「社長の立場にたつという意味で長けている」、「会社とのコミュニケーションをとれる立場」といった経営者のより身近なパートナーという役割です。

複数の異なる士業の方々とお話するとき、痛感させられることのひとつが他士業との連携に対する"どん欲な姿勢"です。もっと危機感をもち士業間での連携関係を構築することは中小企業診断士であるからこそ求められていることでしょう。

「税理士と中小企業診断士の分業の可能性」など他士業との連携を強化しながら「もうけさせる」、「売り上げをあげる」といった未来志向で、経営支援ができることが求められるという指摘もあり、顧問業務に代表される経営者とのパートナー的役割を中小企業診断士業務として掘り起こしていく必要性を感じさせられました。

(平村 一紀)

(おわり)