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診断士に向けた熱いメッセージ

中小企業診断士に期待する

特別編:他士業専門家座談会―士業連携にあたって中小企業診断士に期待すること

司会:宮崎 洋一
参加者:久我 祐司 /  田中 謙二 /  茶谷 豪 / 
中田 哲也 /  西内 孝文 /  古屋 尚樹
ゲスト参加:平村 一紀 (中小企業診断士)

【特別編 第3回】士業連携のさまざまなかたち(2)

顧問契約をベースとした士業連携のかたち

司会:企業再生支援のなかで、「診断士の方はチームのまとめ役的な存在である」というようなイメージを古屋先生からいただいたのですが、ご自身も診断士の資格をお持ちの西内先生、その辺りを含めていかがでしょうか。

西内:診断士を持っているといっても、一応メインは税理士でやっているのですが、やはり顧問契約を持っているというのがいちばん強いですね。お客さんとしては同じお金を払っているのだからそれを有効活用しようという意識が働きますので、追加料金がかかるかどうか分からないけどまず相談してみようという意識をすごく持たれるのです。

茶谷・西内・古屋さん

中小企業診断士の方も顧問契約を持たれていれば社長といつでも話せる状態ですので、社長が困っているのはこういうことだろうとか、先読みして提案ができると思います。その際に他の士業などのつながりを持っているのは非常に武器になります。例えば同じような案件で苦しんでいるところを救った経験があって、「経験があります」ということであれば使える可能性も出てきますし、他の士業と話していくうちにそういう案件で支援を思いつくこともあるでしょう。そういったコンシェルジュのような形でもできるのかとは思います。

やはり自分が社長と話していって、こういうニーズがあるというときに他の人を紹介できるネットワークを持っているというのがよいのではないでしょうか。私もそういったところは少し意識していまして、紹介できるところはどんどん紹介していくようにしているのですが、けっこう喜ばれます。

司会:西内先生は社会保険労務士でもあるのですよね。ある意味、連携に重きを置くのか、お一人でダブルライセンス、トリプルライセンスを取っていくのか。そういう選択が個々の士業の方に出てくると思うのですが、その辺りはどのように思われますか。

西内:基本的にライセンスを持っている必要はないと思います。私は少し特殊でして、自分で言うのもなんですが、向上心が高いというか(笑)。何かやり始めると止まらないで、つい資格まで取ってしまう。少し変わり者なのであまり参考にはならないかもしれないですが、資格まで取らなくても、基本的にその業界のことを知っていて、お客さんのために何ができるかという情報収集さえしっかりして専門家の方々と仲良くしていれば「どういうことができる」とか「どういうサポートができる」というのは頭に入ってきます。あとは、その引き出しの中から取り出して提供できる状態さえ作っておけばよいと思います。

司法書士の世界はこれからますます連携が必要となる

司会:それでは、司法書士、行政書士のお立場から、久我先生、いかがでしょうか?

久我:私も司法書士がメインなので、行政書士はほとんど登録しているだけという状態ではあるのですが、やはり仕事の内容として相続があり、事業承継とか会社関係も結構あります。そうすると税金の関係などもあって、どうしても自分のところだけでは回せない。

例えば生前贈与したいというお話もよくありますが、贈与税のことをあまり考えずにそういうことを決めてこられるケースもあるので、私のところでとりあえず「税金は大丈夫ですか?」という話をすると、「少し待ってくださいね」という話になって、もう1回税理士さんのところへ行ってくるというような流れになります。

また、登記ができても、そのあと年が明けてから税務署に何か言われて慌てて直すというケースもありますので、そうならないように先に手を打っておくというのは絶対に必要だし、お客さんが自分であちこち回らないで済むように、こちら側であらかじめ他士業と連携をしておくというのは必要だと思います。

会社関係をやっていても、実は司法書士と中小企業診断士の方とは、直接の接点はあまりありません。登記が発生する場面というのはだいたい会社の基本的なことが変更される部分なので、そこまで来るときに話は全部終わっているのです。だから「あとはこれをやってください」というような形で来るケースが多いですね。

ただ今回、会社法に法律が変わっていろいろな手続き上、会計が分からないと司法書士も数字の判断ができなくなってきました。そうなってくるとますます税理士さんや公認会計士さん、場合によっては中小企業診断士さんと一緒に最初から関与していかないとなかなか難しいものがあります。例えばM&Aをやるというときも登記だけ持ってこられても、これは正しいものなのか、登記できるものなのかどうかというところがよく分からない。

そういう意味ではわれわれも勉強していかなければいけませんが、他の方々といろいろな形で連携していくというのは重要なことだと思っています。

知識という商品は絶えずアップデートしていくもの

司会:いま、法律が変わった、というお話があったのですが、その辺りのところは、こういう専門家の方々がより密に連携を取ってサービスをしていこうという動きには、やはり重要なファクターになっているのでしょうか。茶谷先生いかがですか。

茶谷:会社法が施行されたからというだけではなく、日本の社会というものがある程度暗黙の了解のようなもので成り立っていたのが、法律やルールにのっとってきっちりと解決しましょうという方向になってきています。

そういう変化の中で、利用者の側でも以前と比べると問題が顕在化する前に予防的に弁護士に相談するとか、税理士に相談するとか、そういう場面は増えてきているので、より横断的に見てやる必要があります。

また、先ほどワンストップという話があったのですが、お客さんにとって1カ所で相談してすべて解決するというのがいちばん望ましいのは間違いないわけです。それを実現する手段として、1人がダブルライセンス、トリプルライセンスという形で対応するのか、あるいはネットワークという形でそれぞれの専門分野を持ち寄ってワンストップサービスを提供するのか。

方法論としては両方あり得ますが、会社法でも商法の時代から毎年コロコロ変わっていましたけれども、これだけ変化が早いと、資格を取るときに勉強したからそれで一生飯が食えるということではなく、当然アップデートしていかないと陳腐化してしまう。われわれの商品というのは知識しかないわけですから、絶えずそれを改善していく努力をしないと役に立たなくなるというのは普通のメーカーと同じではないかと思います。

1人で対応できることには限界がありますので、あまり広く手を広げすぎるのではなく、それぞれの専門家と連携を取ることが必要だと思います。

(つづく)