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診断士に向けた熱いメッセージ

中小企業診断士に期待する

(株)日本経営協会総合研究所 取締役 経営人事ソリューション部長 柴野数郎さんに聞く

取材・文:宮崎 洋一

【第1回】実務に直結する研修が求められる時代

取材日:2007年6月19日

中小企業診断士の仕事の1つの柱として、研修・セミナー等の講師という領域があります。長年、企業研修の企画・コーディネートに携わり、診断士とのつきあいも深い、(株)日本経営協会総合研究所(NOMA総研)の柴野数郎取締役に、研修講師としての中小企業診断士に期待することをお聞きしました。

柴野数郎さん多岐にわたる研修プログラムを提供

― まず、NOMA総研さんの事業内容から簡単にお聞かせください。

弊社は、母体である(社)日本経営協会の事業の再編成にともない、「人事テスト・出版・調査研究・経営診断」の事業を統合し1989年に発足しました。ですから現在の事業も、その流れを受けたものになります。主として1)経営人事コンサルテーション、2)調査・診断、3)人材育成・開発、4)人事アセスメントの4つの事業を展開しています。

人事アセスメント及び調査・診断は、具体的には各種アセスメントツールの開発・提供、採用面接支援、従業員意識調査・組織診断といったものです。例えば、「総合適性検査SCOA」は、採用ミスマッチを防ぎ定着率を高めるためのツールとして多くの企業でご活用いただいております。また従業員意識調査・組織診断は、従業員の意識や組織風土の実態を客観的・定量的に把握し、「組織変革=企業風土改革とモラールアップ(やる気)」を促す施策を提言するサーベイシステムで、現在大手企業からのご依頼を多数いただいております。

経営人事コンサルテーション及び人材育成・開発は、人事制度や人材開発体系の構築をはじめとするコンサルテーションや、企業研修のトータルコーディネートなどを行います。

そのほか、書籍の刊行や映像ツールの販売といったビジネス出版事業も手がけております。

― そのなかで、本日は、中小企業診断士も講師として活躍している「企業研修」に焦点を当ててお話を伺ってまいりたいと思います。一口に企業研修といっても様々なテーマがあると思いますが、どのようなテーマが中心となっているのでしょうか?

弊社では「研修プログラムガイド」という冊子を作成してお客さまに配布しています。

この冊子は3つのパートで構成されています。1つは「創造と革新のニュー・リーダー育成・強化プログラム」です。例えば「次世代経営幹部育成研修」であったり、「変革型リーダー養成プログラム」といったものが含まれます。企業が生き残っていくために不可欠な「自ら変化を推進していくことのできる創造革新型のニュー・リーダー」を育成・強化することが、このプログラムのねらいとなります。

2つめは「ビジネス・コミュニケーション・スキルアップ・プログラム」です。組織活性化のために必要なコミュニケーション・スキルを向上するための研修です。例えば、「ビジネス・コーチング研修」「ネゴシエーション研修」「メンター研修」「アサーション研修」といったメニューになります。

柴野数郎さん

そして3つめが「階層別・課題別プログラム」です。弊社がこれまでに実績を積んできた研修プログラムから60コースほどを選択してカテゴリー別に例示しています。企業研修のベーシック・メニューといえるものです。

もちろん、この冊子はカタログのようなもので、これまでに実施してきたものを要約し例示しているにすぎません。実際には、お客さまからお話をいただいて、ヒアリングを行い、個々のお客さまの事情にあわせてカスタマイズした研修プログラムをご提案するというかたちになります。

時代とともに変化する研修ニーズ

― そのような多岐にわたる企業研修の講師として、中小企業診断士が活躍する場があるのですね。ところで、柴野さんご自身が、中小企業診断士の方と一緒に仕事をするようになったのはいつ頃からですか?

わたしが中小企業診断士の先生方とお付き合いさせていただくようになったのは、経営人事コンサルテーション及び人材育成・開発の部署に異動になったのがきっかけです。平成元年頃のことです。

平成元年頃というのはバブル景気真っ最中で、企業が研修を増やしてきた時期なのです。そこで「どんな研修をしていこうか」といったときに、中小企業診断士が勉強してきた内容と重なる部分が多かったのです。当時の診断士試験は8科目だったと思いますが、そういう8領域の知識を生かした研修ですね。ですから、こちらも先生方にいろいろと教えてもらいながら一緒に仕事を進めていった、という感じでした。

*当時の中小企業診断士試験には、商業、工鉱業、情報の3部門があり、いちばん合格者数の多かった商業部門を例にすると、各部門共通の4科目「経営基本管理」「財務管理」「販売管理」「労務管理」、及び「中小企業の経済的知識」「店舗管理」「仕入管理」「商品知識」の4科目、計8科目で構成されていた。

― 平成元年頃というと、およそ20年前ですね。振り返ってみて、研修のニーズあるいはメニューといったものに変化はあるのでしょうか。

私どもは、総合研究所の設立以前から40年近く、企業研修に携わってまいりましたが、従来型の研修として、「管理者研修」や「階層別研修」といったものがあります。

バブル期の大量採用時代は、企業のほうも比較的細やかに研修を実施していました。「階層別研修」ということで、わたしの担当したある会社でも初年度に3回、春、秋、冬と実施して、その後、3年目、5年目、8年目と定期的に行う、というようなきめ細やかな研修体系を持っていました。

しかし、バブル崩壊後は時間も費用もあまり掛けられないということで、例えば、階層別研修をやるのであれば、次世代経営幹部を育成するためのリーダー研修に費用を集中しよう、という動きが出てきました。

ところが、最近揺り戻しがあり、再び階層別研修へのニーズが高まってきています。なぜかというと、研修をあまりにも限定しすぎたためにマネージャーを育成できなくなった、つまり、マネジメントができない人が増えてきたのです。ということで、「管理者研修」「階層別研修」といったものが脚光を浴びはじめているのです。

柴野数郎さん

― リーダーを育てればいい、というわけではないのですね。難しいところです。

バブル経済へと向かっていた時代は、大量採用を含めて組織を維持・発展させていくために研修をどう位置づけるか、という発想だったのが、バブルがはじけて、組織としての方向性やビジョンを見失った。そこで今度はリーダーをどんどん育成して組織を引っ張ってもらおうとしたのです。するとリーダーは育成できたのだけれども、肝心の組織のほうのタガが緩んでしまった。ここにきて、この緩んだタガをどうしようか、という段階に入ってきた、というようなことが言えると思います。

また、その揺り戻しのなかで、新しいものも求められてきています。それは、「実務に直結する研修にしてほしい」というニーズです。ですから、講師に求められる条件も厳しくなっています。中小企業診断士の資格をお持ちでも、学んだ知識だけではなかなか難しい。そういう時代になってきているのです。

(つづく)

柴野 数郎さん:(株)日本経営協会総合研究所 取締役 経営人事ソリューション部長

柴野 数郎(しばの かずお)/1981年、社団法人日本経営協会入職。1989年、経営教育本部経営協力課に異動、企業研修の担当となり、中小企業診断士とのつきあいがはじまる。2000年、(株)日本経営協会総合研究所に転籍。2005年、取締役就任。

会社名 株式会社日本経営協会総合研究所
設立 1989年7月
資本金 6,000万円
従業員数 50名
主な事業内容 HRMの視点からの、1)経営人事コンサルテーション、2)調査・診断、3)人材育成・開発、4)人事アセスメント、の4つの事業を展開。
本社所在地 〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷3-11-8
ホームページ http://www.noma.co.jp/