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診断士に向けた熱いメッセージ

中小企業診断士に期待する

中小企業再生支援全国本部統括プロジェクトマネージャー 藤原敬三さんに聞く

取材・文:福島 正人(中小企業診断士)

【第4回】50年前からのメッセージ

中小企業診断士にとって、さらなる活躍が期待される再生支援の分野の第一人者で、今年度、新たに設立された全国組織の統轄プロジェクトマネジャーに就任された藤原敬三さんにお話をお聞きするシリーズ第4回。最終回となる今回は、「再生支援」の仕事にかける藤原さんの熱い思い、そして、仕事のパートナーとして期待の大きい中小企業診断士へのメッセージです。

藤原敬三さん中小企業再生に対する熱い思い

― 藤原さんのお話を聞いていると、中小企業再生に対する熱い思いを感じます。その背景にあるのは何なのでしょう?

私の父親は、中小企業庁の指導課長をやっていました。最近知ったのですが、50年以上前に『企業診断』という雑誌に論文を書いているんです(表1)。そこには、中小企業支援や診断制度について記載されていました。そういう意味では、50年前からの因縁というかDNAのようなものを感じますね。

― 診断員(現在の中小企業診断士)は、企業のお医者さんの役割を果たす任務があるわけですね。

50年前でも、現在と同じようなことが考えられていたんです。問題点は変わっていない。これを読んでいて、「やっぱりやらなければいけない」と思いますよね。

<表1:診断制度の強化拡充について>

(1)企業診断制度は、ろうろう医療制度にたとえられる。診断員は企業の医者であるとも云われる。中小企業診断ということは、国家の独占的行政施策と考えてはならないことは、医療制度に国立病院・公立病院の他に私立病院・個人の開業医の存することを見ても判るであろう。

(2)患者を治療し健康体にするのが医者の使命であるのと同じように中小企業の欠陥を是正し合理化・近代化させるのが中小企業診断指導者の任務である。この任務を果たすためには普段の研鑽が必要である。

(3)国または地方公共団体が現在の狭義のいわゆる「診断」に自らを窒息させる必要はない。出来る限り市町村・商工会議所のような公共団体や純民間の中小企業診断指導者と手を握って協力していくこと

『企業診断』第3巻14号より

再生支援と中小企業診断士

― 再生支援に取り組む上で、中小企業診断士はどのように関わっているのでしょうか?

再生支援は、いろいろな専門家が得意分野を持ち寄ってやらないとうまくいかない。法務は弁護士がいますし、会計は会計士、税務は税理士がいる。でも一番大事な事業の面は、診断士さんしかいない。つまり「いかに営業利益を改善させることができるか?」ですね。

― 営業利益を改善させる...

利益目標は、確実に達成できるものでなければなりません。目標未達になれば、すぐ不良債権に逆戻りです。そのためには、計画作りだけでなく、着実に実行させ、確実に達成させる支援も診断士さんの重要な役割なんです。東京の場合は、ほとんどの案件に中小企業診断士の先生に入っていただいています。

診断士に期待する

― 再生支援に携わる診断士に必要な資質には、どのようなものがありますか?

一番期待したいのは"熱意"ですよね。創業者の方は、ある意味"自分が一番"と思っている部分もあるので、そこを熱意で動かしていかなければいけない。社長に「この会社潰れていいのか! あんたの命だろ」と言える人ですね。

もう1つは得意分野を持つことですね。自信がなければ熱くなれない。「この分野なら誰にも負けない」ということであれば、迫力も出てきますし、オーナーも動かせる。

藤原敬三さん

― 最後に中小企業診断士の役割について、メッセージをお願いします。

全く悪いところがない健康な人間は少ないのと同じように、中小企業の大半はなんらかの病気を抱えています。病気を早期に発見し、早期に再生させることが何より大切であり、さらに言えば予防が重要です。そのためには、様々な病気に関する知識の普及と定期的な健康診断をしていく必要があります。

企業のかかりつけの医者としては、税理士や診断士が考えられますが、私は常々「セカンドオピニオンが重要」と言い続けています。たとえば、一人の顧問税理士さんに頼りきりになっていてはだめ。診断士でもいいし、再生支援協議会でもいいから、セカンドオピニオンを求めることが必要なんです。中小企業診断士には、そういった役割も期待したいですね。

(おわり)

藤原 敬三さん:中小企業基盤整備機構中小企業再生支援全国本部統括プロジェクトマネージャー

藤原 敬三(ふじわら けいぞう)/1976年、第一勧業銀行(現みずほ銀行)に入行、支店長時代に不良債権処理を経験する。銀行の審査部企業再生専任審査役を経て、2003年3月東京都中小企業再生支援協議会支援業務責任者に就任する。2007年、中小企業再生支援全国本部統括プロジェクトマネージャーに就任。