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中小企業再生支援全国本部統括プロジェクトマネージャー 藤原敬三さんに聞く

取材・文:福島 正人(中小企業診断士)

【第3回】再生できる企業・できない企業

中小企業診断士にとって、さらなる活躍が期待される再生支援の分野の第一人者で、今年度、新たに設立された全国組織の統轄プロジェクトマネジャーに就任された藤原敬三さんにお話をお聞きするシリーズ第3回。今回は、「事業の再生」を重視する考え方や「再生できる企業」「再生できない企業」の相違点といった、再生支援を成功に導くポイントについてお聞きしました。

藤原敬三さん中小企業再生支援全国本部

― 2007年から、中小企業再生支援全国本部統括プロジェクトマネージャーになったわけですが、どのようなことを目指しているのですか?

これまで47都道府県の再生支援協議会がそれぞれ作り上げてきたノウハウを共有して、より良いものにしていきたいと思っています。もちろん東京都の再生支援協議会で作り上げてきた手法も、全国に紹介していきたいと思っています。

"財務の再生"と"事業の再生"

― 一口に"事業再生"と言っても、どのような手法があるのですか?

民事再生法などを使えば、債務の圧縮はできます。でも、事業の再生はまた別なんです。債務を圧縮しただけで、事業の再生をしなければ、結局また苦しむことになります。再生というと、"財務の再生"と"事業の再生"があります。財務の再生はできても、事業の再生は本当に難しい。経営者がいて、働く人がいて、それが一体となって動いていかなければならない。だから手間ひまかけて取り組んでいくわけです。

― 再生支援をする時には、どのようなことを調べていくのですか?

まず、経営が苦しくなった原因はどこにあるかを調べます。再生させるには、その病巣を取り除かなければいけない。東京の再生支援協議会の場合は、原則として過去10年の動きを全部調べます。場合によっては、20年間調べることもあります。悪くなった原因はどこにあるんだと...。

― 原因を追究していく...

バブルの時に過剰設備を購入していたら、そこに関与した金融機関はどこか調べたりします。ゴルフ会員権の購入なんかもそうですね。そういう事実を一つずつ積み上げて、報告書に記載していく。すると、金融機関などの債権者もその報告書を読んで反省するわけです。経営者が言いたくても言えないことを、客観的立場から報告書に記載していきます。「銀行にも貸し手責任あるよね」と客観的事実から言えることもある。メインバンクに押し付けるというわけではなく、客観的事実から支援分担も自然と決まっていく。

再生できる企業・できない企業

― 再生できる企業とできない企業の違いは、どこにあるのでしょうか?

再生できるかどうかは、キャッシュフローベースで営業利益が出せるかどうかですね。この利益がでなければ、たとえ無借金になったとしても、また借金が必要になり雪だるまになってしまいます。そのためには、経営者自身が"本当に再生したい気持ちがあるか"が大切ですね。たとえば、銀行への返済が滞っているのに、経営者が贅沢な生活をしていたりする。それでは、再生できませんよね。

藤原敬三さん

― 経営者を動かすには、どのようなことが必要なんでしょう

経営者さんって、過去の成功体験から抜け出せていないところがある。そこを納得していただき、人と人とのコミュニケーションの中で、経営者を動かしていくことも必要です。

― 再生がうまくいったときは、どのような気持ちですか?

再生がうまくいったとき、経営者さんに喜んでいただくのが一番うれしいですね。再生が終了して、一年後に経営者さんが決算書を持ってきたりする。「おかげ様でうまくいってます」と言われると本当にうれしい。再生支援協議会は公的な組織で、企業から報酬はいただきません。その分、より純粋な気持ちで取り組み、一緒に喜ぶことができるのでしょう。

藤原 敬三さん:中小企業基盤整備機構中小企業再生支援全国本部統括プロジェクトマネージャー

藤原 敬三(ふじわら けいぞう)/1976年、第一勧業銀行(現みずほ銀行)に入行、支店長時代に不良債権処理を経験する。銀行の審査部企業再生専任審査役を経て、2003年3月東京都中小企業再生支援協議会支援業務責任者に就任する。2007年、中小企業再生支援全国本部統括プロジェクトマネージャーに就任。