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診断士に向けた熱いメッセージ

中小企業診断士に期待する

中小企業再生支援全国本部統括プロジェクトマネージャー 藤原敬三さんに聞く

取材・文:福島 正人(中小企業診断士)

【第1回】1000人の雇用を守る

取材日:2007年5月24日

銀行で事業再生に携わった豊富な経験を生かし、東京都の中小企業再生支援協議会を業務責任者として立ち上げ、育て上げた藤原敬三さん。今年度、新たに設立された全国組織の統轄プロジェクトマネジャーに就任された再生支援の第一人者です。中小企業診断士にとっても、さらなる活躍が期待される再生支援の分野で、いま、どんな取組みが行われ、何が求められているのか、4回にわたってお話をお聞きしていきます

藤原敬三さん経営危機の取引先

― 再生支援に関わったきっかけは、どんなことでしたか?

今から10年以上前、銀行で支店長をやっていました。取引先に、経営危機に陥った不良債権先がありました。従業員が1000人以上いて、なんとかその雇用を守ろうと奮闘しました。

― 10年前というと、"雇用を守る"というよりは、"リストラ"という言葉が一般的だった時代だと思いますが...

当時は"リストラ"という言葉はあっても、"再生"という言葉はあまり使われていませんでした。私たちも"再生"を意識していたわけではなく、社会的に見て当たり前の考え方をしただけなんです。とても純粋な気持ちでした。

再生に向けて突っ走る

― 具体的に、どのように再生していったのですか?

スポンサーを見つけ、M&Aの交渉をして事業を残そうと動きました。M&Aの交渉をする時に、銀行本部の承認を取っていてはうまくいかない。支店長として交渉を進めて、銀行本部の承認がないまま突っ走る。サラリーマンとしては危ない橋かもしれませんが、そうしなければ雇用を守ることはできない。

― もし銀行本部の承認が取れなければ、大変なことになるのでは?

スポンサー企業も、最終的な権限が私にないことは分かっているんです。それでも人間同士の信頼関係で、話を進めていく。やっているうちに、熱い気持ちになりましたね。

藤原敬三さん

再生がもたらしたもの

― そんな熱い支店長もいらっしゃったんですね。その再生はどうなりましたか?

結果的にM&Aは成功し、その事業はスポンサー企業に譲渡することができました。その結果、1000人の従業員の雇用を守ることができました。不思議なものでその不良債権先の再生が終わると、銀行の支店自体も活気づきました。お客様の再生が、銀行自身の再生にもつながったんです。

藤原 敬三さん:中小企業基盤整備機構中小企業再生支援全国本部統括プロジェクトマネージャー

藤原 敬三(ふじわら けいぞう)/1976年、第一勧業銀行(現みずほ銀行)に入行、支店長時代に不良債権処理を経験する。銀行の審査部企業再生専任審査役を経て、2003年3月東京都中小企業再生支援協議会支援業務責任者に就任する。2007年、中小企業再生支援全国本部統括プロジェクトマネージャーに就任。