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診断士カレイドスコープ

ダブルライセンスによる診断士資格の活かし方

取材・文:木下 綾子(中小企業診断士)

【第2回】会計士×税理士×診断士 加藤会計事務所 加藤 ゆりさん

取材日:2013年12月15日

第2回目は、会計士資格と税理士資格、診断士資格を持ち、会計・税務・経営の視点から仕事の幅を広げている加藤ゆりさんにお話を伺いました。

お客様に喜んでもらえる仕事がしたい

加藤 ゆりさん

― これまでのご経歴を教えてください。

会計士試験合格後、監査法人で会計監査を約10年、税理士法人で財務デューデリジェンス、株価評価、コンサルティングなど会計監査以外の仕事を1年経験しました。その後、親戚の会計事務所に移り、税理士登録をして3年が経過したところです。

― 会計士の領域である会計監査とは、どのような仕事でしょうか。

主に上場企業と大会社と呼ばれる企業は、金融商品取引法や会社法で、財務諸表の開示が義務づけられています。それが、適正に嘘偽りなく表示されているかを客観的な立場で見て、投資家や株主に正当性を証明する会計監査が、会計士の主な仕事です。会計監査は、社会的に大きな役割を担っていますが、私は顧客企業から喜ばれる実感をあまり持つことができませんでした。そして会計監査を続けるうちに、「もっと目の前のお客様に喜んでもらえる仕事がしたい」という思いが強くなっていきました。

診断士資格取得で仕事の幅が広がる

― 診断士資格の勉強を始めたきっかけを教えてください。

親戚の事務所に移って少しした頃、知人に誘われて予備校のガイダンスに参加したのがきっかけで診断士資格を知りました。個人の会計事務所での仕事の中心は、中小企業や個人事業主への税務や経理のサービスです。中小企業の経営に関する幅広い知識は、税理士業務を行っていくうえで必要だと感じ、勉強を始めました。

― 診断士資格を取得して、現在はどのような仕事をされていますか。

診断士資格を取得後、コラボレーションをする仕事が増えました。たとえば、消費税関係のセミナー講師や執筆です。私は人前で話すことが苦手で、これまで講師の仕事は一切考えていませんでした。しかし、お世話になっている中小企業診断士の方にお誘いいただき、消費税転嫁対策セミナーの講師に挑戦して世界が広がりました。2013年には、消費税関係の書籍も出版させていただきました。

また、これまでの税理士としての仕事に加え、コンサルタント会社と提携して事業再生案件にも携わるようになりました。中小企業診断士と会計士でチームを組み、中小企業診断士は事業デューデリジェンス、私は会計士として財務デューデリジェンスを担当し、最終的に計画策定、実行支援まで行います。現在、数件のプロジェクトに参加しています。

― なぜ事業再生に携わろうと思ったのでしょうか。

税理士としてのお客様も、今後もずっと順風満帆に行くとは限りませんので、危機的な局面が来た際にはお手伝いできるように、という思いから事業再生に興味を持ちました。

現在いただいている案件では、会計士として財務デューデリジェンスを担当していますが、これまでの経験が活かせるのも魅力的でした。会計士として役に立ちながら、中小企業診断士として事業も診られるようになることが目標です。

事業の立て直しと財務の立て直しは両輪です。中小企業診断士が売上、P/L、業務効率化などの面から立て直し、会計士はこれまでの会社の歴史の中で傷んでいる基盤を、財務的な観点から立て直します。私は両方の資格を持っているため、両者の視点がわかるというご期待から、事業再生案件に声をかけていただいているのだと思います。

会計系の士業にも経営の視点が必要

― 診断士資格を取得して、ほかに変化はありますか。

加藤 ゆりさん

会計士も税理士も、売上の伸ばし方は専門分野ではありませんので、それを学ぶことも診断士資格の勉強をする大きな目的の1つでした。取得してまだ2年目ですが、以前にも増してお客様からの信頼を得られるようになりましたし、経営に関する相談を受ける機会も増えました。診断士資格を取得してから、仕事の幅が広がったと思います。

会計士と税理士、中小企業診断士では、同じ物事を見ても視点が異なります。会計系の士業も、今後はこれまで以上に経営の視点を持たなければなりません。中小企業こそ、経営のアドバイスを必要としています。特に、もっとも中小企業との接点が多い税理士が力をつけることが、中小企業を救うことにつながりますし、税理士自身の差別化にもなります。診断士資格を取って、視点が変わってきましたね。

― 3つの資格を活かして、これからどのような仕事をしていきたいですか。

最近、従妹が税理士試験に合格しましたので、将来的には一緒に事務所をやっていく予定です。彼女には税務業務の柱となってもらい、私は中小企業診断士や会計士の資格を活かした活動をしていきたいです。外でさまざまな方と出会い、コラボレーションするような仕事を作って、面白いことにどんどんかかわっていければ、と思っています。そして、さまざまな仕事にチャレンジし、将来的には目の前のお客様にもっと喜んでいただける支援ができるよう、できることを増やしていきたいですね。

― 会計士と税理士、中小企業診断士の3つの視点を活かして、仕事の幅を広げているのですね。本日はありがとうございました。

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(つづく)

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