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平成25年中小企業経営診断シンポジウム報告

取材・文:同友館編集部

【第1回】対話形式での基調講演

取材日:2013年11月7日

平成25年11月7日(木)、「平成25年度中小企業経営診断シンポジウム」が、東京都の東京ガーデンパレスにて、「未来を拓く経営革新―新たな道を拓く中小企業診断士―」の統一テーマで開催されました。本稿では2回に分けて、シンポジウムの模様をお届けします。

福田尚好・中小企業診断協会会長
福田尚好・中小企業診断協会会長
矢島敬雅・中小企業庁経営支援部長
矢島敬雅・
中小企業庁経営支援部長
南沢典子・代表取締役
南沢典子・代表取締役
松本毅史・取締役副社長
松本毅史・取締役副社長

午前の開会式は、福田尚好・中小企業診断協会会長の開会挨拶で始まりました。挨拶では、「中小企業を取り巻く経営環境は激変している。いま、その伴走者として中小企業診断士の専門性が大きく問われているが、私たちは常に専門性を強化・見える化して、中小企業者が専門家を容易に選択できる環境づくりに取り組んでいかねばならない。これからの経営支援は、従来のような自己完結型支援では難しく、人的ネットワークの構築によるネットワーク型支援を展開していく必要があるが、協会は、この人的ネットワークの構築に力を注いでいきたい」と、今後の抱負が示されました。

続いて、中小企業庁・矢島敬雅経営支援部長からは、「中小企業の経営資源が限られている中、支援策を受けるためのさまざまな手続きをクリアしていくには、これを支援できる中小企業診断士の方々の力が、いままで以上に必要となる。先日、ある金融機関で、『自分たちの専門性は金融面だけなので、売上を伸ばし、新しい販路を開拓できる地元の中小企業診断士の方と協力することが重要と考えている』という話を伺った。これからは、金融機関や、税理士などの専門家を支援の輪の中に取り入れた、ネットワーク型支援の時代。その中核となるのは、まさに地域のホームドクターの役割を持つ中小企業診断士の方々である」との言葉をいただきました。

開会式終了後には、スキンケア商品の通信販売を展開する(有)あきゅらいず美養品代表取締役・南沢典子氏、および取締役副社長・松本毅史氏による基調講演が行われました。「自然、あまのじゃく、野放し、経営」をテーマに、同社立ち上げ時から現在に至るまでを、南沢社長と松本副社長の対話形式でお話しされました。

南沢社長は、高校卒業後は大手化粧品メーカーに就職します。美容部員として多くのお客様の肌に触れる中、「肌の本当の仕組みを考えて、日常の生活を改善すれば、これほど多くの商品は必要ないのではないか」と感じ、より顧客の立場に立った商品を開発したいと考えて、35歳のときに周囲の反対を押し切って独立、起業されました。

当時は、化粧をしない"すっぴん"は常識外でしたが、「顔はしっかり洗わなくてもよい」、「肌が傷むから、そんなに化粧はしなくてもよい」と、一般の会社とは逆の「あまのじゃく」な提案をしていきます。「自然」で、シンプルなことほど贅沢なものはなく、シンプルにすればするほど時間が手に入るため、その空いた時間を豊かにしていこう、というコンセプトをとられました。起業当初は販路がなく、赤字続きでしたが、テレビショッピングを契機に売上が少しずつ上昇。その後、さまざまな紆余曲折を経て、今日のポジションを確立されています。

同社では、南沢社長の理念に対し、松本副社長が実際的な肉づけをしていく、二人三脚の経営がなされています。社員教育としては、理念とビジョンをしっかりと明文化・共有化したうえで、社員のやりたいことを最大限まで引き出して実行力を高める、「野放し」のスタンスで成果を上げ、男女それぞれの得意分野も考えて、社員同士が本音で語り合える社内環境づくりにも取り組まれています。また、社員食堂を地域の人に一般公開し、自分たちで作ったお米や、こだわり農家から仕入れた野菜を食べられるようにもなっています。「スキンケアだけでは肌はきれいにならない」という、カウンセリングで説明していることを実体験できる場にされているのです。

今後に関しては、第一次産業において、生薬やハーブなど自分たちの身体に合った食べ物を作り、自身で健康を守るというメディカルファーム構想を進められています。少子高齢化が進む中、これからの日本のビジネスモデルの1つになると、絶好のチャンスと捉えられているようです。

南沢社長は最後に、「会社だけの視点にとらわれると、物事をリアル化することはできない。社会全体の視点で見て、初めて実現できる。会社は、社会を作り出していく新しい装置の実験場でなければならない」と述べられました。

次回は、午後の第1分科会を中心にお伝えします。

(つづく)