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診断士カレイドスコープ

業界特化で道を拓く―エンディング総研・小泉悟志さん

取材・文:福島 正人(中小企業診断士)

【第3回】1つの業界で突き抜ける

取材日:2013年8月12日

エンディング産業に特化して支援を続ける小泉さん。最終回は、小泉さんの今後の展望~若手中小企業診断士へのアドバイスを取り上げます。

理想の葬儀社を作りたい

― 小泉さんの今後の活動について、お聞かせください。

小泉悟志さん

葬祭業界への新規参入支援をしていきたいです。葬祭業界に興味を持つ人は多いけれど、なかなか新規参入してこない。ハレの日に関する仕事ではありませんので、どうしても精神的なハードルが高いんです。この業界のことをよく知っている私たちが、そのハードルを越えるお手伝いをしたいと思っています。また本音を言えば、葬祭のコンサルタント業だけでなく、自分で"理想の葬儀社"を作ってみたいという気持ちもあります。

― 小泉さんにとって、理想の葬儀社とは。

葬祭業界にはまだまだ、一般社会と慣習が異なる部分がありますので、そこを変えていきたいですね。利用者にとって、必ずしも利用しやすい価格での葬儀にはなっていないと思いますので、これを変えていく。

葬儀社の役割は、簡単に言うとプロジェクトマネジメントです。お花の手配、返礼品の手配、仕出しの手配、火葬場の手配などをやっていく。私は、コンシェルジュサービスのような形で、よりクリーンな葬儀社を作りたいと思っています。たとえば、コンシェルジュとして5万円をいただき、お花や料理を手配していく。そうすれば、お花や料理は、利用者にやさしい価格で購入できるわけです。

― なるほど。

適正な価格で葬儀を提供し、お客様と信頼関係を築く。そうすれば、アフターサービスを行うことも可能です。誰かが亡くなった後は、遺族が困っているわけです。相続やお墓・仏壇、そういった部分をフォローする。お客様に安心して任せていただく。私自身は、コンシェルジュのような形で、お客様をしっかりサポートするのがよいのではないかと思っています。

現在の葬儀社は通常、アフターサービスまではしてくれません。「ここまでが私たちの仕事、ここからは別」と割り切っていることがほとんどです。相続の相談を受けるには、専門知識が必要ですしね。

― たしかに、アフターフォローをするのは大変かもしれません。

アフターフォローで連携したいのは、地域の士業です。中小企業診断士・弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナーなどが、遺族の役に立つことができます。士業にとっては仕事になりますし、お客様にもメリットがある。葬儀社は地域密着産業ですので、地域の士業の方たちとは連携しやすい。いい加減な仕事をすれば、地域で信用をなくしてしまいますから、お互いに安心して連携することができるんです。

機能別コンサルから業種別のコンサルへ

― 中小企業診断士にも、エンディング産業支援を広めているそうですね。

小泉悟志さん

平成24(2012)年6月に、(一社)東京都中小企業診断士協会城西支部で、エンディング研究会を立ち上げました。セレモニーホールや納骨堂を見学したり、葬儀社の診断をしたりしています。特に意識しているのは、実践的な研究会にすることです。ただ勉強だけですと、継続していくことが難しい。お客様と接点を持ち、実践型で取り組んでいくことが大切だと思います。お客様から報酬をいただき、企業診断・報告会を行う。もちろん、診断実務ポイントももらえます。エンディング研究会でしっかり学び、中小企業診断士としての活動につなげてほしいと思っています。

― エンディング産業でも、これからは中小企業診断士が活躍していくわけですね。

いままでは、人事コンサルや営業コンサルなど、機能別のコンサルタントが多かったと思います。そういう機能別のコンサルも必要だとは思いますが、これからは業種で深くやっていくほうが、お客様から受け入れてもらいやすい。1つの業界で突き抜けることが大切だと思います。

中途半端に業務範囲が広いと、お客様に信頼されません。「何でもできます」ではわかりづらい。「●●業界に特化しています」のほうがはるかにわかりやすいですし、チャンスも広がります。その業界から信頼され、業界とのパイプも太くなりますからね。

たとえば私は、葬祭業界の専門誌で執筆をしています。これは、私がエンディング産業に特化しているから、執筆させてもらえるわけです。専門誌で執筆をすることは、私自身の信頼性向上にもつながりますし、記事を使ったセミナーもできます。これは、業界に特化しているからこそできることです。

さまざまな業界がありますが、その業界を究めている中小企業診断士は少ないと思います。逆に言えば、若手中小企業診断士にとっては、まだまだチャンスがあるということです。業界に特化して専門性を高め、研究会などで仲間を募って道を広げていく。そうすれば、中小企業診断士の活動が、どんどん広がっていくと思います。

― 中小企業診断士の活動が、さまざまな業界に広がっていきそうですね。どうもありがとうございました。

(おわり)

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小泉 悟志(こいずみ さとし)
株式会社エンディング総研代表、エンディングビジネス研究会代表。現・りそな銀行退職後、2社のベンチャー企業を経営。その後、取締役として「家族葬のファミーユ」の経営を行う。現在は、葬儀社専門コンサルタントとして10社以上の顧問となるかたわら、業界専門誌『仏事』などで執筆も行っている。
●株式会社エンディング総研 http://www.ending-souken.jp