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診断士カレイドスコープ

業界特化で道を拓く―エンディング総研・小泉悟志さん

取材・文:福島 正人(中小企業診断士)

【第2回】葬祭業界で人を育てる

取材日:2013年8月12日

中小企業診断士の勉強を始めた小泉さん。試験勉強が、ベンチャー企業での実務に役立つことに気づきます。第2回は、中小企業診断士合格~エンディング産業での活動までを取り上げます。

中小企業診断士試験にストレート合格

― 中小企業診断士の勉強はいかがでしたか。

小泉悟志さん

中小企業診断士の勉強は、実務につながりました。たとえば人事制度について学ぶと、自分の会社にも必要だと思う制度があったりします。そこで社長に提案すると、「いいね。やってみて」と言われ、制度を導入していく。すると、その制度の良い点・悪い点が見えてくるんです。

― なるほど。中小企業診断士の勉強が、実務でも役立ったのですね。

実務として企業経営にかかわっていたので、中小企業診断士の勉強はやりやすかったですね。元々銀行員ですので、財務には自信がありましたし。結果として、運良くストレートで合格することができました。

― ストレート合格とはすごいですね。仕事のほうはいかがでしたか。

私が入社した頃は20人くらいのベンチャー企業でしたが、5年間で、パートも含めて600人くらいの体制に成長していました。そのような時期に管理系の仕事を任せてもらったのは、自分にとっては大きな経験ですね。結局その会社は、約80億円でリクルートに売却され、子会社になりました。

葬祭業界もサービス業

― その後、どうされたのですか。

小泉悟志さん

リクルートの子会社になると、どうしても親会社に合わせるスタイルになります。そうすると、管理系の仕事は考えなくてよくなり、仕事としてはとても楽ですが、私自身としては面白くなかった。子会社になって3ヵ月くらいはいましたが、もう一度原点に返りたくて、転職することにしました。約1年、人材紹介会社に勤務した後、役員として葬儀社に転職しました。

葬儀社に入って、「こんなに粗利の高い業界があるんだ」と思いました。人材の質は、正直に言って、そこまで高くありません。従業員教育もほとんどできていない。けれど、粗利は高いんです。

高齢社会で、死亡者は増えていきます。これまであまり参入のなかった業界ですが、今後は新規参入がどんどん増えてくるはずです。業界内での競争が始まります。一方、葬祭業界のコンサルタントはあまり多くない。こうして、さまざまなことが見えてきました。

― 葬祭業界にコンサルニーズがありそうだと...。

インターネットが普及し、一般の人でも良い葬儀社と悪い葬儀社の区別がつくようになってきています。ならば、外に出て、葬祭業界のコンサルタントとしてやれそうだなと。私はコンサル業界に転職し、葬祭業界向けのセミナーをやってみました。FAX-DMを送ると、15社くらい葬儀社が集まります。そして、セミナーに参加した葬儀社から、コンサルを依頼されるようになりました。

― 葬祭業界にどんどん足を踏み入れていかれたわけですね。

株式会社エンディング総研を立ち上げ、エンディング産業支援に特化して取り組むことにしました。エンディング産業は、狭い範囲で考えると、葬儀社・生花業者・返礼品業者・料理業者・人材派遣会社で構成されていて、市場規模は2兆円くらいです。さらに広く考えると、墓石業者・仏壇業者・保険業者・相続関連(税理士・司法書士など)・保険業者・金融機関なども関係します。その市場規模は、4~10兆円くらいになります。

― エンディング総研では、どのような活動を行っているのですか。

セミナーとエンディングクラブに力を入れています。セミナーは自社開催のほか、外部の展示会などと連携して行っています。エンディング産業に特化したセミナーで、特徴を出しています。

エンディングクラブは、定額制の会員組織です。月に5回、講座を開いて、会員企業は1講座2名まで参加できます。定額制ですので、お客様にとってはとてもリーズナブルに人材育成をすることができます。

たとえば、ビジネスマナー講座やEメールの書き方講座、アナウンサーに依頼して司会術講座を行ったりもしています。今後は、メイク講座やファッション講座も開いていく予定です。葬祭業界もサービス業ですから、第一印象が大事で、そこを高めていくための講座となっています。

― 葬祭業界の人材を育成していくわけですね。

専門葬儀社の規模は、従業員5人くらいから、大きくても30人くらいです。自社単独ではなかなか研修ができないため、エンディングクラブに社員を派遣してもらい、人材育成をするわけです。

エンディングクラブで喜ばれるのは、横のつながりができることです。葬儀社は地域に密着していますので、業界他社と交流する機会が少ない。けれど、エンディングクラブの講座に行くと、同じ業界の人たちと交流できます。参加者同士で、一緒に食事に行ったりしているそうです。

なかには、京都から参加している会社もあります。エンディングクラブのような葬祭業界に特化した講座サービスは、ほとんどありません。ですから、わざわざ京都から東京の講座に来るわけです。「受講料より交通費のほうが高いよ」って言われますけれどね(笑)

― 京都からも講座に来るとは、すごいですね。

個別のコンサルも行っています。葬儀会社の2代目から相談を受けることが多いですね。創業社長はカリスマ性で会社経営ができますが、2代目はそうはいきません。会社の仕組みを作っていきたいという思いが強く、当社に相談してきます。

相談で多いのが、人事・労務系の問題です。葬儀社は24時間365日稼働している業界ですので、労働問題が生じることがあります。未払い残業などで、裁判になっている事例も多い。ですから、就業規則を作るなどして、クリアな体制にしていく必要があります。私は社会保険労務士と連携して、支援しています。

(つづく)

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小泉 悟志(こいずみ さとし)
株式会社エンディング総研代表、エンディングビジネス研究会代表。現・りそな銀行退職後、2社のベンチャー企業を経営。その後、取締役として「家族葬のファミーユ」の経営を行う。現在は、葬儀社専門コンサルタントとして10社以上の顧問となるかたわら、業界専門誌『仏事』などで執筆も行っている。
●株式会社エンディング総研 http://www.ending-souken.jp