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診断士カレイドスコープ

異色の“デザイナー診断士”に聞く

文:平井 彩子(中小企業診断士)

【第1回】デザイナーが診断士資格と出会うまで

デザイナーとして仕事をするうえで、課題をクリエイティブで解決することにこだわる影山大祐さん。たどり着いたのは、診断士資格でした。第1回目は、その道のりについてお聞きしました。

デザイナー下積み時代

― デザイナーの世界は、とても大変だと聞きます。

影山大祐さん

デザイナーは上下関係が厳しい世界で、デザイン事務所に勤めていた最初の3年間は毎朝、トイレや部屋の掃除をしながらの下積み期間でした。専門学校を卒業しても、すぐには社会で通用しませんので、雑務が多かったですね。パソコンの前に座っている時間よりも、立っている時間のほうが長かったくらいです。

ですが、1年目の終わり頃に、同じチームの先輩が2人辞めてしまったので、タイミング良く仕事を回してもらえるようになったんです。その後、自分でも「会社に貢献できているな」と感じ始めたのは、3年目くらいからでしたね。

― デザイン事務所にお勤めの頃は、どのようなお仕事をされていたのですか。

大企業の仕事が多く、ポスター、新聞、雑誌などのマス広告の企画制作が中心でした。ただ、仕事をこなしてはいるけれど、クライアントや代理店の意向が重視されますので、自分の意見が反映されることはありませんでした。

― その不満を、どのように解消されたのですか。

映画のポスターやパンフレットなどを制作している会社に転職したんです。代理店が間に入りませんので、クライアントの意向を聞いて提案するまでのすべてを、自分で行えました。

朝10時に出社して、深夜3時、4時まで仕事をする生活で、休みはそれほどありませんでしたが、つらくても仕事のストレスは感じませんでした。誰かの意見に振り回されなくていいですし、組織もフラットでしたからね。自分の時間はありませんでしたが、充実感はありました。やはり、自分に多くを任されていると、モチベーションを高く保てるものですね。

診断士資格との出会い

― 診断士資格を取得しようと思ったきっかけを教えてください。

「マス広告の効果が、今後下がっていく」と感じ始めたんです。インターネットの時代では、紙媒体でマスに向けて広告するのは、以前ほど効果的ではないなと。

昔ならば、広告やポスターで見たことがないようなものを作ると、珍しくて目を引くことができましたが、いまはどんな物でもたいていは、インターネットで見ることができます。また、個人でもデザインをすることが比較的簡単にできる時代ですので、デザインだけをやっていくことに疑問を持ち始めたんです。

デザインって一見、誰にでもできそうじゃないですか? そういった、誰にでもできそうなものではなく、もっと経営に関することを知って、きちんと効果のあるものを作りたいと思ったんです。そんな危機感から、診断士資格を取得しようと思いました。

― それで、診断士資格にたどり着いたんですね。仕事のスタイルを変えて現状を打破しようという発想ではなく、資格を取得しようと思ったのはなぜですか。

仕事のスタイルを変えるにしても、いまのままではダメだなと思ったんです。昔からビジネス書を読むことが好きだったこともあり、診断士資格に興味を持ちました。起業された方の本などは、よく読んでいました。

また、デザインの仕事をしていると、会社の経営などに関する基本的な知識が、ほかの人に比べて少ないんです。ですので、それをきちんと知っておかないと、お客様とちゃんと話ができないとも思いましたね。

「ずっと会社員でいることはないだろう」

影山大祐さんと平井彩子さん

― 診断士資格を取得した後のキャリアプランは、明確に決めていたのですか。

はっきりとは決めていませんでしたが、ずっと会社員でいることはないだろうと思っていました。デザインという正解が1つではない仕事では、人によって意見も違うため、会社員でいる場合は、お客さんにご提案する前の段階に、社内での判断が入ってしまいます。立場上の力関係で決まってしまうこともあるので、そうではなく、自分の考えに責任を持って仕事をしたかったんです。

― なるほど。でも、上司の方にも論理的な根拠があるのでは...。

もちろんそうなのですが、自分のほうにも根拠があるわけで。デザイナーが10人いたら、10人とも違ったものを作るでしょうし。クライアントと、「どちらが効果的か」という議論をするならわかるのですけれどね。

― お客様とぶつかってしまうこともあるのでしょうか。

稀にありますね。そんなときは、まずは説明して、それでも納得していただけなかったら、お客様が主張されているものを作って比較したりしていました。

― 大変なお仕事ですね。影山さんは、頑固な中にも柔軟性をお持ちなので、中小企業診断士になることができたのでしょうね。

そうかもしれません(笑)。

― 常に、現状に危機感を感じ、ブラッシュアップを続ける影山さん。次回は、独立のきっかけと現在の仕事についてお聞きします。どうぞお楽しみに。

(つづく)

影山 大祐(かげやま だいすけ)
アートディレクター/デザイナー
1982年生まれ。2012年中小企業診断士登録。(一社)東京都中小企業診断士協会フットサル同好会所属。(株)メタモ、(株)パラドックス・クリエイティブなど、デザイン事務所や広告代理店に約10年間所属。その後、2012年9月に独立。広告、ロゴ、パンフレット、装丁、パッケージ、店舗ツールなど、さまざまな業種・ジャンルのデザインを制作。また、福島県の伝統的工芸品である大堀相馬焼の新ブランド立ち上げにも携わる。http://www.md-tokyo.com/