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診断士カレイドスコープ

エリア全体を長期間にわたりプロデュース

文:堀切 研一(中小企業診断士)

【第2回】日吉商店街連合会~歴史・文化・教育の深耕・伝承によるまちの活性化

前回は、川崎市日吉地区の2つの商店街が連携し、大学生やメディア関係者と協力しながら、イベントをフックに商店街の活性化を行った事例を紹介しました。今回は、同じ日吉地区の6つの商店街が、歴史に関する地域資源を掘り起こし、新しい展開を行った試みをご紹介します。

地域資源の「太田道灌公」を押し出す

日吉地区のプロデューサーとなってからの2年間は、南加瀬原町商店会と小倉商栄会の連携を進めてきましたが、3年目の2012年度からは、いよいよ日吉商店街連合会の全6商店街を対象に、活性化に取り組むこととなりました。

商店街の単会には、それぞれ地域資源がありますが、6商店街の連携となると、その地域全体にまたがる大きなものをシンボルとして押し出していく必要があります。

他の地域になくて、日吉地区にあるもの。地域の方にお話をうかがっていると、それは室町時代の武将である「太田道灌公」だとわかりました。日吉に「夢見ヶ崎」という土地があるのですが、その名の由来は、太田道灌公の縁起によるものと伝えられています。その縁起には諸説あり、道灌公が参篭した際の暁の夢に、東北の空に鶴が舞うのを見て、その地に江戸城を築いたとか、飛来した鷲が道灌公の兜を奮って飛び去る夢を見たことから築城を断念した、などと言われています。いずれにせよ、このような逸話から、「夢見ヶ崎」という地名を冠したようです。

加瀬山からGO、歴史発見
地元の小学生による劇
「加瀬山からGO、歴史発見」

そこで、新しく日吉に移り住んだ住民や子供たちに、歴史を知ってもらうための取組みを行うことになりました。若い世代や子供たちに忘れ去られつつある、日吉ならではの歴史・文化・教育を、太田道灌公を中心に掘り起こし、深耕・伝承をしながらまちの活性化につなげるものです。具体的には、毎年11月に実施している日吉商店街連合会主催の「日吉まつり」のサブタイトルを「~道灌祭~」とし、リニューアル。また、お祭り当日を盛り上げるだけでなく、これらの活動をフックに年間を通じて商店街活性化を図ろうと、新しい取組みも行うこととなりました。

2012年7月には、道灌公や夢見ヶ崎にちなんだ歴史勉強会を実施しました。道灌公にゆかりのある加瀬山を題材に、地元の夢見ヶ崎小学校の児童に劇を演じてもらったり、日吉郷土史会の先生に夢見ヶ崎の歴史の講演をしてもらったりしました。また、地元の落語家に道灌外伝の創作落語を演じてもらうなど、地域の歴史の深耕にも努めています。

伊勢原市商店街連合会や太田酒造株式会社との連携

伊勢原市商店街連合会との商店街連携締結調印式
伊勢原市商店街連合会との商店街連携締結調印式

また太田道灌公は、伊勢原・川越・岩槻など、さまざまな土地にも伝説を残しています。そこで、「伊勢原観光道灌まつり」を過去45回実施してきた伊勢原市商店街連合会(5商店街・小沼富夫会長)と連携し、道灌公を通じた歴史の掘り起こし・イベントでの交流・商業振興策の研究・情報共有化などに共同で取り組んでいます。

なお、太田道灌公の子孫が経営する太田酒造株式会社とタイアップした商品開発も行っています。これは、同社が製造する「道灌酒」を、日吉商店街連合会のPB(プライベート・ブランド)として発売しようという試みです。

開発したPB商品は、地域限定商品として地元の酒屋で取り扱っています。この商品の題字は、「日吉まつり~道灌祭~」当日、地域の200名の方に筆耕・応募をしてもらい、大賞の2名の方の題字を、来年度の商品タイトルとして採用します。

太田酒造(株)とのPB商品開発会議 題字コンテスト審査会
太田酒造(株)とのPB商品開発会議
題字コンテスト審査会

クリエーターの力を借りた認知促進

どうかんクン
道灌祭のイベントキャラクター
「どうかんクン」

川崎市では、ビジネストライアルラボという事業により、クリエーターの力を使って商業を活性化する取組みが進められています。その事業を日吉で実施することとなり、クリエーターの「ちよ氏」に日吉まつりイメージキャラクター「どうかんクン」を作っていただきました。キャラクターシールを道灌酒に貼ったり、告知チラシに登場させたりすることにより、道灌祭や日吉地区の認知促進に活用しています。

「日吉まつり~道灌祭~」での新たな取組み

そのほかにも、以下のようなイベントを実施しています。

かぶとコンテスト
「かぶとコンテスト」
道灌パレード
「道灌パレード」
ヤマブキの花
ヤマブキの花を植樹
  • 商店街で買い物をすると景品が当たる「道灌スタンプラリー」
  • 手作りかぶとを作ってきてもらい、審査する「かぶとコンテスト」
  • かぶとコンテスト参加者や伊勢原手作り甲冑隊による「道灌パレード」の開催
  • 太田道灌公に由来があり、幸区の花でもある「ヤマブキの花」を、日吉まつり会場入口の夢見ヶ崎動物公園に植樹
  • ステージ横に企業広告を掲載し、広告収入を確保
  • 地元タウンニュースでの特別号を約8万部発行

(川崎のアイドル「川崎純情小町」が商店を訪問し、その魅力を記事の中で発信。紹介された企業や店舗からの協賛金や広告収入を確保)

2012年度の1年間でこれだけの大きなチャレンジをしてきましたので、当初は関係者の考えを1つにまとめていくまでに、侃々諤々の議論がありました。また、日吉まつりは約30団体、約300名の協力があって成り立っています。これだけの関与者の意識を合わせて協力してもらうために、年間で40回もの打ち合わせを重ねてきましたが、地域の皆さんがそれを1つひとつ丁寧に議論し、実行されたからこそ、これだけの成果が上がったのだと思います。

私は専門家として、2013年度も継続して支援させていただくことになりました。4年目に入りますが、このように長期にわたってじっくり取り組むことができたため、地域全体の革新に携わることができました。中小企業診断士が地域活性化の支援をする際には、数回の専門家派遣しか枠がないことも多くありますが、こうした長期の支援体制は、非常に効果が高いと感じています。

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(つづく)

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※カメルーンで活躍する診断士の活動レポートです。