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診断士カレイドスコープ

「“ちいさな企業”未来会議」にコアメンバーとして参加

文:大石 幸紀(中小企業診断士)

【第3回】中小企業診断士の評価と求められる役割

「"ちいさな企業"未来会議」のコアメンバーとしての活動をご紹介する最終回です。今回は、会議で明らかになった中小企業診断士の評価と、求められる役割についてレポートします。

明らかになった中小企業診断士の評価

図1(ワーキンググループ(1)資料より)
図1(ワーキンググループ(1)資料より)
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第2回に記したとおり、平成24年3月29日に行われたワーキンググループの議題の1つは、これまでに実施されてきた中小・小規模企業支援における、課題克服のための経営指導・支援のあり方を見直すというものでした。

具体的には、複雑化・高度化している小規模企業の経営支援ニーズに対する従来の中小企業支援の担い手として、(1)商工会・商工会議所、(2)税理士等の士業、(3)金融機関、(4)中小企業診断士の4つがあげられました。中小企業診断士は、(2)の士業とは別に、単独で取り上げられています。

小規模企業の複雑化・高度化する経営支援ニーズの根拠としてあげられた資料が、図1です。なかでも、「営業力・販売力の強化」が、他の項目に比べて重要視されていることがわかります。

図2(ワーキンググループ(1)資料より)
図2(ワーキンググループ(1)資料より)
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次に提示された資料が、図2です。図1で重要視されていたコストダウンや財務体質の強化については「民間の専門家」、すなわち税理士、公認会計士といった職業会計人が相談の受け口になっている一方で、その他の重点項目に対応する「商品・サービス開発」や「市場・販路」に関する相談においては、民間および公的機関の専門家は、相談相手としての役割を果たせていないことが明確になっています。

いうまでもなく、中小企業診断士は民間のコンサルタントの中で唯一、国家資格を与えられている存在です。しかし、相談相手として機能していない民間の専門家の中には、中小企業診断士も含まれます。以上の結果を受け、中小企業診断士については、次のような指摘が資料上でなされました。

  • 昭和23年に制度を設立→経営支援ニーズが複雑化・高度化する中で、これに的確に対応できる制度となっているか
  • 中小企業診断士の所属先はさまざまで、専門分野も多様→中小・小規模企業が、自らのニーズに合った中小企業診断士を容易に選ぶことができるような仕組みになっていないのではないか
  • 診断士資格は、5年ごとにその間、30日以上の業務等を行うことで更新可能→資格保有者の能力維持は適切に行われているか

会議では、検討すべき項目が多岐にわたったこともあり、中小企業診断士のあり方についての議論に時間を割かれることはほとんどありませんでした。唯一、第2回に記したとおり、「中小企業診断士は、専門・得意分野が見えない。誰に相談したらよいのか、利用者にわかるような見直しも必要ではないか」との意見が出された程度でした。

※これらの課題がまとめられた資料は、こちらから見ることができます。

第2回総会―中小企業診断士に何が求められているのか

コアメンバーに届いた委嘱状
コアメンバーに届いた委嘱状

6月16日、経済産業省で第2回総会が行われ、3月から始まった会議の総括が行われました。そこでは、会議を通じてのとりまとめ案について説明がなされ、意見交換が行われました。

その中で、ますます複雑化・高度化・専門化する経営課題・相談ニーズにきめ細かく対応できる経営支援体制を再構築するための具体的政策として、以下の7点があげられました。

1. 新たな「知識サポート」プラットフォームの構築(「知識サポート」の抜本強化)

2. 経営支援機関の評価・能力の見える化と発信

3. 商工会、商工会議所、中小企業団体中央会、(独)中小企業基盤整備機構等の既存機関自身の経営支援機能の再生強化

4. 中小企業診断士の専門性強化等

5. ITクラウドを活用した経営支援

6. 小規模企業支援法

7. 中小企業経営力強化支援法案の着実かつ迅速な実施

中小企業診断士に大きくかかわる4.については、このように詳細が述べられています。

  • 中小企業診断士の専門性を強化するとともに、小規模企業が自らのニーズに合った中小企業診断士を容易に選ぶことができるよう、その専門分野を特定・明示するなど、現代のニーズや要求水準に合った実効的な制度へと抜本的な見直しを行うことが必要である
  • また、中小・小規模企業の経営支援を強化するうえで、今後いっそうその役割を担うことが期待される税理士、公認会計士、弁護士、社会保険労務士等の若手専門家を養成していくことが重要である。
  • 税理士、公認会計士、弁護士等の士業団体や中小企業団体等の間でも、中小・小規模企業支援の充実のため、十分に連携していくことが必要である。

中小企業診断士については、各人が専門性を向上させ、明示できるように制度を見直すことが求められています。また、中小企業診断士の問題点を指摘する項目の中で、中小企業診断士以外の士業に、経営支援能力を高めることや連携を強化することを期待すると明示されています。この提言を聞いて皆さんは、どのように思われるでしょうか。

いまこそ、私たち中小企業診断士の1人ひとりが、自らのあり方を、支援の仕方を問い直すことが求められています。私は今回の内容を、危機感を持って受け止めました。

※「とりまとめ」は、こちらから見ることができます。

「"ちいさな企業"未来会議」に参加して

過去に例を見ない大型会議「"ちいさな企業"未来会議」。その大きなうねりの中で、自らの大局観のなさのため、論点がどこにあるのかをなかなかつかむことができませんでした。しかし、その結論は今後の私にとって、大きな課題を突きつけられるものとなりました。

自分自身が要求されている中小企業診断士としてのあり方について、どのように向き合っていくのか、そしてどのようなことに取り組んでいくのか。それに対する考えと行動がなければ、この会議に参加させていただいた責任は果たせないと感じています。

(おわり)

【参考】