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アサヒグループ診断士の会×Vividyコラボ企画「企業診断プロジェクト」レポート

文:上品 香代(中小企業診断士)鶴見 麻衣(中小企業診断士)姫野 智子(中小企業診断士)

【第3回】中小企業が情報ツールを武器にするために<提案内容の詰め~プレゼン>

「アサヒグループ診断士の会」と「Vividy」がコラボレートして行った合同診断の模様をお届けする第3回。最終回となる今回は、いよいよプレゼンが行われます。

最終工程は、提案内容に磨きをかけてピカピカに!

いよいよ、プレゼン前の最後のミーティングです。ほどよい緊張感の中、各メンバーの出した施策が全体提案の流れと整合しているかについて、チェックしていきました。各リーダーの構成方針に基づき、レイアウトや表現も統一させます。メンバーからの鋭い指摘により、容赦なくボツネタになった施策も。また、提案の妥当性を裏づける「資料編」として、関連書籍の紹介や、ヒアリング結果のまとめ、市場規模の将来性を裏づける各種データ(例:商業施設への来場数見込、観光地の物品需要・購入額、商圏、外食市場etc.)も追加収集しました。提案に説得力を持たせるためにも、必要な作業です。

いざ、プレゼン

プレゼンは、丸源飲料工業様のオフィス会議室で開催しました。提案メンバー全員が企業内診断士ということもあり、ご無理を申し上げて平日夜にお時間をとっていただきました。先方の出席者は阿部社長、阿部常務、システム・業務担当者等の4名です。プレゼンもまた、「トーキョーサイダー」を美味しくいただきながら行われました。

重要な目的の明確化「誰と、何のために?」

丸源飲料工業様は、すでにFacebookやTwitter、ブログ等を活用し、積極的な情報発信を行っていました。試験も兼ねて、意図的にさまざまな情報を発信している様子は、配信実績からも伝わってきます。ただ、そのせいもあってか現時点では、同じ情報でもツールによって配信タイミングのバラつきが見られ、テーマが少し定まっていない印象を受けたので、今後は各種情報ツールの利用目的「誰と、何のために?」を定めて運用していくことを、具体的なSNSの活用施策例を盛り込みながら説明しました。

プレゼン後ほっとひと息
プレゼン後ほっとひと息

一般的に、SNS等の「情報ツール」を活用して情報発信を行う際の留意点は、目的に合った情報ツールを選択し、使い分けるということです。目的も、「皆にわが社の取組みを知らせたい」では抽象度が高いため、さらに顧客をフォーカスして、ターゲットとなる顧客の嗜好やライフスタイルに合わせた時間帯、興味内容に沿って情報を配信し、ファンの拡大と購買につなげていきます。このように、目的に合った情報ツールを選択した結果、企業と顧客が継続的に接点を持ちやすい環境が整うのです。調査時に取得したデータにも、「目的と期待する効果を明確にし、目標も定量的に設定した企業のほうが、SNS活用に対する満足度が高い」という結果が示されていました。

こうした話を織り交ぜつつ、プレゼンは終了。丸源飲料工業の皆様が、メモをとりながら熱心に聞いてくださる様子が印象的でした。質疑応答では、ドキリとさせられるような鋭い質問もありましたが、プレゼンのリーダーが他社の事例や検討の経緯、メリット・デメリットに触れながら説明し、有意義な議論の時間となりました。

丸源飲料工業様からは、「気づきの場になった」、「施策案をもとに、社内で今後検討したい」、「スタッフの良い情報インプット機会になる」といったありがたいお言葉をいただきました。

「明日から、誰が何をすればよいか」が明確な提案でありたい

こうして、身に余るお言葉をいただきましたが、正直、プレゼン内容としては改善の余地がまだまだあったと思っています。たとえば、施策案をアクションスケジュールとして落とし込み、準備から実施までを具体的に、どの部署の人が何人で、どのくらいの工数を使って実施するのか、と示すには至りませんでした。中小企業の経営者は、「では、明日から誰が何をすればよいか」といった、より踏み込んだ現実的な提案を求めてくるものです。私たちのプレゼン内容は、一定の方向性は示したものの、仔細な詰めまでは至らなかったため、反省点が残ります。

「女性の活用」の手前にあるハードル

プレゼン後、丸源飲料工業様から「よかったらこの後、お食事でも」と嬉しいお言葉をいただき、ご一緒しました。アサヒビールを片手に、プロジェクトの秘話や暴露話に花が咲きます。そんな中、Vividyという女性診断士の集まりの話の流れから、「中小企業が女性をもっと活用できる組織・仕組み」についての話題になりました。

社長・常務ともに、「ある面においては、男性よりも女性のほうが優秀だと感じることがあり、女性たちをもっと活用したい」とのことでした。ただ一方で、大企業よりも少数精鋭で、効率的に業務を推進させていかねばならない中小企業にとっては、女性従業員の出産・育児休職中の組織的フォローや、復職後の配置といった課題があり、中小企業での女性の仕事と家庭の両立への対応は、想像以上に負担が重く、難しい状況にあるという実態も知りました。

2012年版中小企業白書に掲載されている、国立社会保障・人口問題研究所「第4回全国家庭動向調査」によると、「末子の年齢が1歳未満である場合、妻の育児分担割合が80%以上と回答する割合は8割を超える」となっており、復職したくてもなかなか難しい現実があります。復職したい女性の意識改革、家族の協力、国や地域の支援、職場でのフォローと、各々を線でつなげていくために、中小企業診断士として何ができるだろうか、そんなことを考えた帰り道でした。

東京ソラマチ内「AZUMACHO CAFE~トーキョーサイダー倶楽部~」も順調なスタート

ソラマチで買えるグッズはカラフルで可愛い
ソラマチで買えるグッズは
カラフルで可愛い

プレゼンから約2ヵ月後、「トーキョーサイダー」の旗艦店「AZUMACHO CAFE~トーキョーサイダー倶楽部~」も、東京スカイツリーの開業とともに華々しくオープンしました。東京スカイツリーの麓の商業施設「東京ソラマチ」の7階に位置する当店は、予想どおり大盛況。また、東京スカイツリーバージョンのボトルは、その可愛さからお土産として買って帰る方も多く、墨田区地域限定販売がうまくお土産需要にマッチしています。「ご当地サイダー」の強みを活かし、さらなる認知度向上も期待できそうです。

中小企業が情報ツールを武器にするために

SNSをはじめとした「情報ツール」は、多額な初期投資や運用コストを必要とせず、またマスメディアと違って多額の広告費も要さないため、中小企業にとっては大きな武器となります。これらのツールを、情報武装(収集・発信)の手段としてどのように取り入れ、業務に活用していくかは、中小企業にとって共通の課題だと感じました。中小企業ならではの、地域に密着したSNS活用の取組みと工夫によって、その効果は大きく向上するでしょう。

また取組み過程では、トライ&エラーも必要と感じました。丸源飲料工業様は、すでに意欲的に試験をされていましたが、やはり、やってみて気づくことも多いものです。情報の取扱いについてリスクマネジメント的な環境整備をしたうえで、「まずはやってみる」ことも大切だと思います。

化学反応の効果

今回の企業診断では、Vividyチーム(女性陣)とアサヒグループ診断士の会チーム(男性陣)とのコラボレートにより、提案に広がりと深みを持たせることができました。施策検討の際に、「丸源飲料工業様の商材を使ったレシピを提供するとよい」、「製品の原産地等がQRコードで情報取得できると、子どものいるお母さんは安心して購入できる」といったアイデアは、自然とVividy側から出てきました。一方、会社内での情報共有に関する考察や、営業ツールとしてのSNSの活用法といったアイデアは、アサヒグループ側からのものでした。双方の意見の融合により、良い化学反応が生まれたと思います。

Vividyの今後の活動

Vividyの目的の1つに、「女性診断士の活躍の場の提供」があります。平成23年度の中小企業診断士2次試験合格者790名のうち、女性は42名(5.3%)と、まだまだ女性の中小企業診断士は少ないのが現状です。まずは、Vividyのメンバー自身がキラキラと輝き、活躍を体現すること。その活動の中で、女性診断士のさらなる活躍の場が創出されていく、といった好循環を生み出せていければと思います。

先述のとおり、女性の家庭と仕事の両立は、現実的には負担が重く、難しい状況もありますが、女性ならではの視点やしなやかさ、複眼といった強みは、もっと商品・サービスの改善に活用できると感じます。「家庭でもビジネスの場でも活躍したい」、「社会に貢献したい」といった女性の思いを紡ぎ、形にしていける1団体でありたいと思います。

<プロジェクトメンバー>

Vividyメンバー:和気みゆき(リーダー)、鶴見麻衣、姫野智子、上品香代

Petit-Vividyメンバー:和田純子、山村ゆき江

アサヒグループ診断士の会メンバー:成塚祐介(リーダー)、松浦 端、大西隆宏

(おわり)

【参考URL】

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