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アサヒグループ診断士の会×Vividyコラボ企画「企業診断プロジェクト」レポート

文:上品 香代(中小企業診断士)鶴見 麻衣(中小企業診断士)姫野 智子(中小企業診断士)

【第1回】企業戦士パワーの集結<立ち上げ経緯~ヒアリング>

企業内診断士の会として、また女性診断士の会としてそれぞれ精力的な活動を続ける「アサヒグループ診断士の会」と「Vividy」。今回は、その両者がコラボレートして行った合同診断の模様を、3回にわたってお届けします。

Vividyの新たな取組み―合同企業診断プロジェクト

Vividyが開催したセミナーはお陰様で満員御礼
Vividyが開催したセミナーはお陰様で満員御礼

「自分らしくいきいきと、診断士活動をしたい」―そんな思いを持つ女性診断士が集まって結成されたVividy。これまでに、キャリアアップセミナーや創業支援セミナーを共同開催するなど、活躍の場を広げてきました。

そして2012年、Vividy代表の渡辺まどかさんが、中小企業診断士の本領発揮の場となる企業診断活動を模索する中、多数の企業内診断士が活躍する「アサヒグループ診断士の会」メンバーとの合同診断の話が持ち上がりました。アサヒグループ診断士の会の皆さんは、異業種交流会の企画や書籍出版、「中小企業診断士の広場」での執筆活動等、多方面に活躍していて、今回持ち上がったコラボ企画にも当初からとても積極的で、実現に向けてさっそく行動し始めたのでした。

最強の(?)企業戦士がメンバーとして集結

アサヒグループ診断士の会のメンバーは、ご存じのとおり、日頃はバリバリと企業内で働く皆さんの集まりです。今回はその中から、アサヒビール勤務の3名が参加することになりました。また、Vividyには独立診断士も多いのですが、今回の合同診断のメンバーは、企業戦士パワーを遺憾なく発揮できる企業内診断士のみで構成することになり、企業内診断士、さらには会社勤務のPetit‐Vividy(診断士受験生)メンバーが手を挙げました。アサヒビールのメンバー3名と合わせて、総勢9名でのグループ診断です。診断士受験生は、試験合格後の診断活動の具体的イメージをつかむため、オブザーバーとしての参加です。なお、代表の渡辺さんは、コラボ企画のコーディネーター役としてバックに控えることになりました。

診断先は話題性あふれる企業様に決定

ソラマチに間もなく出店する企業様に決定
ソラマチに間もなく出店する企業様に決定

診断先は、食品製造販売業者の丸源飲料工業株式会社様に決定しました。こちらの阿部常務は、アサヒビールOBです。プロジェクトが決定する少し前に、常務とアサヒビール診断士の会のメンバーがFacebookで知り合ったことがきっかけでしたが、診断活動の場を提供いただけないかと相談したところ、2つ返事でご快諾いただいたのでした。丸源飲料工業様は、いま話題の東京スカイツリーの麓にある商業施設「東京ソラマチ」に、「AZUMACHO CAFE~トーキョーサイダー倶楽部~」をオープンされています。オープン2ヵ月前の多忙な時期にもかかわらず、「意欲ある若者たちの活躍を見てみたい」と、広い心で私たちを受け入れてくれたのです。このような貢献意欲を持った経営者に出会えることも、診断活動の大きなメリットです。

事前ヒアリング

正式な企業訪問をさせていただく前に、同社の常務に事前ヒアリングをさせていただきました。診断にあたっての課題をお聞きすると、社内外におけるコミュニケーションツールとしてのソーシャルメディアについて、有効活用するための気づきが欲しいとのこと。GoogleApps等の最新の技術動向にも興味があり、新たなツールの導入も含め、IT投資意欲もお持ちとのことでした。

初ミーティング―ITレベルを高めなければ...

意気込んでミーティングに臨みます
意気込んでミーティングに臨みます

その後、一部のメンバーが事前ヒアリングした内容をもとに、メンバー全体の初顔合わせ兼ミーティングを行いました。その際、グループメンバーはあらかじめ、先方のIT活用の現状について、ネット検索を中心に各々が調べて持ち寄りました。この時の私たちは、先方のIT活用度の高さに驚きを隠せませんでした。何しろ、ホームページ、ブログ、Facebook、Twitter等を、すでに幅広く活用されているのです。ネット検索程度だったのですが、もしかしたら大手並みにIT活用意欲が強いのかもしれない、との可能性を感じていました。

ミーティング前にメンバー間で自己紹介をしたところ、それぞれが口を揃えるように、「IT関連は強くありません」と後ろ向きの発言からスタート。中小企業診断士の属性から言うと、一般的に少なくとも2割程度は、IT関連職であったり情報処理技術者等の資格保有者であったりします。ところが、今回はメンバー9人ほぼ全員が、ITとは無縁のスタッフ部門に所属していることが判明しました。

とはいえ、嘆いてばかりはいられません。「では、経営者が保持されているITレベルまで、どのように高めたらいいのか?」という話題に至りました。そして、「ソーシャルコミュニケーションにかかわる本を片っ端から読んで向学しなければ、提案レベルまで達しないのではないか」という、焦りにも似た共通認識を持ちました。

また、スケジュールについて確認すると、最終提案の3月下旬まで、約2ヵ月しかないこともわかりました。とにかく、早期のレベルアップが求められます。

課題の明確化と質問事項の抽出

そこでまずは、丸源飲料工業様の課題を明確にすることからスタートしました。課題は第一に、丸源飲料工業様におけるソーシャルコミュニケーションの方向性を検討するうえでの気づきとなる、有用な情報を提供すること。第二に、主として外食店舗向け業務用飲料、およびデザート食材(以下、外食店舗向け販売商品)を製造・販売している会社として、企業広報、社外コミュニケーションを今後どのように行うべきか、どのような可能性があるかを提案すること、と設定しました。さらに、企業訪問の際の質問事項も抽出しました。

情報共有ツールの決定

今回は9名の大所帯での活動になるため、情報発信・共有のツールについても決定しました。情報発信についてはメーリングリストを使うこと、情報共有場所としてはDropboxを使うこと等です。ただし、企業の重要な情報をクラウドで管理するにはリスクも伴うため、セキュリティについては十分な注意を払うことを確認し合いました。

ヒアリング―サイダーを飲みながら

ミーティングから約10日後、メンバー6名が企業訪問を行いました。社長と常務を前に、現状の課題やこれからの方向性、社内体制や仕事の仕方について、具体的なご意向をうかがいました。

丸源飲料工業様は、外食店舗向け販売商品の製造・販売が主業ですが、「トーキョーサイダー」というBtoC商品も発売されており、そのサイダーをいただきながらのヒアリングでした。

 社長曰く、「そもそもソーシャルメディアは、人とひととの信頼関係から成立しているので、他のメディアと比べて、直接的な販促ツールとして期待してはいけない」とのこと。反対にこちらが教わることも多く、感銘を受けながらヒアリングを終えました。

地域貢献の姿勢にも感銘

先述のとおり、丸源飲料工業様は、東京スカイツリー関連をはじめとした地域貢献の体制も構築しています。その一環で、社長は一般社団法人墨田区環境協会の理事長も兼任されています。

当時は、間もなく開業する東京スカイツリーの盛り上げ役として墨田区に貢献されていたため、新聞等でも理事長としての社長のコメントが多く紹介されていました。メンバーは、診断活動中の短い期間だけでも、日本経済新聞、毎日新聞、日経MJ等、多数の紙媒体で目にしました。もちろん、地域とのネットワークを自身の事業に戦略的に活用しているのもありますが、それ以上に、商売をするうえでお世話になった地域への恩返しや、地域が一体となって地元を盛り上げていこうという気概に満ちあふれていることを感じました。

企業内にとどまらず、地域という大きな舞台で振興を遂げようとしている壮大な志に触れ、私たちもへたな提案はできない、と武者震いしたものです。

<プロジェクトメンバー>

Vividyメンバー:和気みゆき(リーダー)、鶴見麻衣、姫野智子、上品香代

Petit-Vividyメンバー:和田純子、山村ゆき江

アサヒグループ診断士の会メンバー:成塚祐介(リーダー)、松浦 端、大西隆宏

(つづく)

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