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「研究会に行こう!vol.2」

取材・文:太田 佐和子(中小企業診断士)

【第2回】「良い食品販売研究会」訪問記その2

取材日:2011年5月16日

研究会のあとはやはり懇親会です。研究会についてもっと詳しく知りたかったため、皆さんと一緒に、近隣にある中華料理屋に向かいました。「食」をテーマにした研究会だからか、皆さん懇親会での飲食を楽しみにされていたようです。さっそくビールで乾杯し、皆さんにお話を伺うことにしました。

研究会の活動内容

― この研究会の特徴を教えてください。

  • この「良い食品販売研究会」の研究テーマは第二次産業と販路開拓などの第三次産業を中心に扱っています。そして、この会とは別に、第一次産業について研究する「農業のしくみ研究会」という研究会があり、2つの研究会をセットで活動することで、食品の原料から加工・販売までを一気通貫で研究できる体制となっています。メンバーも2つの研究会に入っている方が多いですね。
  • いい食べ物を育てて、いい加工を行って、いいものを流通する、この3つが整わないと、消費者までいい食品が届かないですよね。でも一番重要だと思うのは、「いい食べ物を育てる」ことなのです。たとえば今日の研究会で肉用牛の話がありましたが、牛をどれだけいい環境で育てることができるか、が味に一番大きく影響してくるのです。松澤先生は「ストレスを多く感じて育った牛はドリップが出やすい」とおっしゃっていました。いい環境で育てると栄養素が違ってきてドリップも出にくい体質になるのだそうです。そのようなことも研究会で学べたらいいと思っています。

― 2つの研究会を通じて一気通貫で学べるのですね。他にはどのような特徴がありますか?

  • 私たちのもうひとつの特徴は「実際をやる」ということでしょうか。最近この2つの研究会の上位組織として、実際に生産する、実際に加工する、実際に販売する、ためのNPOを立ち上げました。NPOは、研究会の成果を実践することを目的としており、NPOを受け皿にして仕事を受注する仕組みになっています。ここが、他の座学だけの研究会と異なる特徴です。

― 「実際をやる」ということですが、具体的にはどのような活動をされているのですか?

  • 最近の活動では、福島県矢祭町の酒造店支援を行っています。今多くの酒蔵では販売量の減少に悩み事業の継続について不安を抱えているんですね。私たちは一企業の経営支援だけではなく、一地域の中で酒蔵が担う、休耕田化の防止や雇用の確保など地域における役割にも着目しながら、経営者や地元の方々とともに事業の活性化の支援を行ってきました。もともと酒好きが多いということもあり、今は販路の拡大について有志のメンバーで取組みを行っています。

メンバーはさまざま

― メンバーはお酒好きが多いとのことですが、そもそも皆さん食品の専門家の方々なのですか?

  • メンバーにはもちろん「食品」を専門とする方々もいますが、今まで食に関わってこなかった方もたくさん参加しています。この研究会では「食」を切り口に、マーケティングや財務などの様々な手法を自分たちで考えて実践していますので、「食」以外にも、そういった面での面白さ・学ぶメリットはありますよね。また実際「食」の話を聞いてみると、自分が口にしていたものについて詳しく知ることができて、それも面白いです。

― 「食」に対して個人個人が勉強を深めたりもしているのですか?

  • 日本政策金融公庫が「農業経営アドバイザー」という資格を設けています。合格すると登録してもらえ、農家から相談があった場合、アドバイザーとして派遣してくれる制度です。私たちメンバーでも何名かは取得していて、現在受験勉強中の方もいらっしゃいますね。受験科目には「農業簿記」なんて科目もあるんですよ。
  • この農業経営アドバイザーですが、登録は個人名で行うものの、仕事は信頼を得ている「団体」にきます。私たちはその団体を持っていますので、来た仕事はメンバーが引き受けて行っています。仕事の幅も広がりますよね。

研究内容を知ってもらいたい

― ところで、(社)中小企業診断協会が毎年秋に開催する「中小企業経営診断シンポジウム」に、毎年参加していますね。

  • 「食」について学びながら並行して経営理論も学び、支援ツールを作り、そして実際に支援する。我々は活動を通じてものすごくいい研究をしていると思っているのです。それをより多くの方に知ってもらいたいと思い、「中小企業経営診断シンポジウム」に2年連続で出ています。2009年には東京支部長賞をいただくこともできました。30分という発表時間ではなかなか伝えきれないのですが、逆に短時間で要約して発表するという訓練にもなりますからね。

おわりに

― 食品に対する震災影響

取材をさせていただいたのは、東日本大震災発生から約2カ月後のこと。懇親会の場でもやはり、震災についての話題が真っ先にあがりました。海の中の瓦礫や水の濁りが漁業にあたえる影響、放射能被害により殺処分となった畜産農家の経営について、第一次産業に対する補助金・助成金など、この震災が「食」に与える影響は図りしれないものです。自分たちが学び支援する「食」の分野において、何か自分たちにできることはないか模索をしたいと話し合われていたことが非常に印象的でした。

― 試飲・試食の評価方法

この日のチーズのように、これから試飲・試食を行うにあたっては、何らかの評価指標があったほうがよいという話が出ました。安心・安全は大前提ですが、やはり、おいしくないものは売れないとのこと。言われてみればその通りなのですが、この"おいしい"の基準を決めることは非常に難しいものです。支援先の製品が"おいしい"のかどうか、どのように評価すべきか、引き続き検討していこうという話になりました。

― 食に対して少しこだわってみよう

今回参加してみて、皆さんが「おいしいもの」「おいしい食べ方」を共有しあっているのを聞き、本当においしいものをおいしいと言えることはとても幸せなことだと改めて感じました。一方私は、懇親会の最中に「あなたは食に関してどういう点に興味をお持ちですか」と質問を受け、回答に詰まってしまいました。自分が生きていくのに必要不可欠な「食」について、自分があまりに無頓着であることに気づき、少し反省するところもあります。この日、皆さんとの会話の中で私の食のこだわり(小さなものですが)を引き出していただき、「調べてぜひ研究会で発表してみてはどうか」と提案をいただきました。これをきっかけに、食について少しこだわってみようと思ったのでした。

(おわり)

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