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中小企業診断士親子鷹に聞く―新木利雄さん・啓弘さん

取材・文:福島 正人(中小企業診断士)

【第2回】中小企業診断士の誇り

取材日:2011年3月5日

こうして、中小企業診断士資格を取得した利雄さん。そのことが転機となり、新しい道を歩み始めます。

中小企業診断士だから、恥ずかしい仕事はできない

― 資格を取得してから、大きく人生が変わるわけですね。

利雄さん(父):1979(昭和54)年に、阿波池田商工会議所に転職しました。「中小企業診断士の資格を持っている人がいる」ということで、商工会議所から声をかけてもらったんです。もし資格を取っていなかったら、いまの人生はありません。私が歩んできた人生のバックボーンになっているのが、中小企業診断士資格なんです。

― 人生のバックボーンが中小企業診断士だと。

利雄さん(父):だから私は、中小企業診断士資格に誇りを持っています。「中小企業診断士だから、恥ずかしい仕事はできない」、「中小企業診断士だから、経営に関する知識を知っていて当たり前だ」と思い、プレッシャーも感じながら努力してきました。

― その後30年以上にわたり、阿波池田商工会議所で活動してきたわけですね。

新木利雄さん

利雄さん(父):最初は経営指導員からスタートし、1994(平成6)年に中小企業相談所長、1997(平成9)年に事務局長、2004(平成16)年からは専務理事を務めています。これまで異業種交流を推進したり、地場産業の振興に取り組んだりしてきました。商工会議所の会員には小規模の企業が多く、田舎ですので人間関係も濃密です。労働保険など実務面の支援もありますが、よろず人生相談所である必要があるんです。

― 30年の間には、さまざまなことがあったのでしょうね。

利雄さん(父):企業の栄枯盛衰を見てきました。旧・池田町(現・三好市)の地場産業は、家具木工業や縫製業でした。いまでも何社かは残っていますが、仕事はどんどん中国にとられてしまいました。運転資金のショートで倒産する企業も見てきましたが、とても寂しいですね。

― 現在は、どのような業種が多いのでしょうか。

利雄さん(父):阿波池田商工会議所の会員で一番多いのは、商業・サービス分野です。そのため、商店街や商業系の取組みも行っています。これまでに、阿波池田地域商業近代化地域計画の作成や阿波池田商店街連合会の結成、中心市街地活性化基本計画の策定などに取り組んできました。

― 最近力を入れているのは、どのような活動ですか。

利雄さん(父):短時間労働者労務改善事業に取り組んでいます。厚生労働省関係の施策です。パートタイマーの待遇改善を切り口にして、労務管理の総合的な改善を目指しています。また、地域雇用創造推進事業にも取り組んでいます。東京から中小企業診断士の先生にもお越しいただき、協力いただいているんです。

― さまざまな人が協力し合って、地域を盛り上げているわけですね。

利雄さん(父):地域活性化に取り組むには、幅広い分野の人たちと連携する必要があります。たとえば阿波池田商工会議所では、医師会の会長さんや農協の理事長さん、介護福祉法人の理事長さんにも役員になってもらっています。商工サービスとは距離のあった分野の方にも役員になっていただき、手を携えて活動しています。

― 医師会や農協を巻き込んでいるのは、珍しいですね。

利雄さん(父):徳島県の商工会議所の中でも、ここまで幅広くスクラムが組めているところは少ないと思います。お互いに理解し合い、歩み寄りながら、地域活性化に取り組んでいます。

嬉しかった息子の中小企業診断士資格取得

子ども時代の啓弘さん(父・利雄さんと)
子ども時代の啓弘 さん(父・利雄 さんと)

― 今度は、啓弘さんのお話をうかがいたいと思います。

啓弘さん(子):私は1970(昭和45)年に徳島市内で生まれ、2歳の頃、三好市(旧・池田町)に引っ越しました。父が勤めていた商工会議所までは、歩いて5分くらいです。父はお昼もご飯を食べに帰ってきて、よく遊んでくれましたね。

― 高校時代までは、三好市(旧・池田町)で過ごしたのですね。

啓弘さん(子):池田小学校と池田中学校、池田高校の出身です。大学からは東京に行き、東京電機大学工学部を卒業して、SIベンダーに就職しました。

― なるほど。そこからどのように中小企業診断士へとつながっていくのですか。

啓弘さん(子):32歳の頃から、中小企業診断士資格の勉強を始めました。当時、営業の仕事をしていたのですが、売上があまり伸びないことがあり、「マーケティングの勉強をしよう」と思って勉強を始めたんです。

左:新木啓弘さん(子)、右:新木利雄さん(父)

― そして見事、中小企業診断士試験に合格した。

啓弘さん(子):2007(平成19)年に資格を取得しました。当時の座談会記事が、中小企業診断士の広場にも出ています。

利雄さん(父):息子が合格したのは、とても嬉しかったですね。同じ資格を持っているからこそ、わかる部分もある。仕事をしながらの勉強だったので、よく頑張ったと思います。

(つづく)

■新木 利雄(しんき としお)
阿波池田商工会議所専務理事、中小企業診断士。1946年生まれ。日立製作所勤務を経て、阿波池田商工会議所に入所。中小企業相談所長、事務局長などを務める。2011年、中小企業庁長官賞(経営改善普及事業発足50周年記念表彰)を受賞。
阿波池田商工会議所

■新木 啓弘(しんき よしひろ)
新木経営情報研究所代表、中小企業診断士、ITコーディネータ。1970年生まれ。2007年4月中小企業診断士登録。ビジネス競争力を高めるための経営基盤として、情報セキュリティマネジメントシステムの構築を推奨。身の丈に合った構築支援により、好評を得ている。そのほか、経営相談、IT経営応援隊事業等の活動を主に行う。経営資源の情報にスポットを当て、経営に役立つ情報の利活用を模索中。
新木経営情報研究所