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診断士カレイドスコープ

演劇とコンサルティングのシナジー効果

取材・文:稲垣 桃子(中小企業診断士)

【第3回】人と異なる強みを活かして

取材日:2010年9月22日

中小企業診断士兼演劇プロデューサーとしてご活躍の櫻田登紀子さん。最終回となる今回は、現在の中小企業診断士としてのご活躍ぶりと、演劇とのシナジー効果について語っていただきます。

中小企業診断士としてビジネスの世界へ

櫻田登紀子さん

― 中小企業診断士の仕事は一般的に、コンサルティング、執筆、セミナー・研修講師に分けられますが、もっとも比率が大きいのはどれでしょうか。

いまのところ、コンサルティングですね。業種はまだ、絞っていません。診断士活動を始めたばかりの頃は、行政の仕事がメインでしたが、一緒にやらせていただいた先輩が、若手育成に意欲的な方でしたので、たくさんの機会を与えていただきました。

おかげさまで、中小企業診断士になってから、調査を含め、2年間で100社ほどの企業を訪問することができました。短期間で、中小企業の経営者100人にお目にかかれたのは、非常に幸運だったと思います。その後も、顧問としてコンサルティングを行っている会社が数社あります。

― コンサルティング以外では、どのような実績があるのでしょうか。

2008年に(社)中小企業診断協会東京支部中央支会のマスターコースに入り、その中の出版企画で、書籍執筆を行いました。マスターコースのメンバーとの共同執筆ですが、編著者として書籍を出版できました。

― 『決断と再生~中小企業をどん底から救った男たち』(2010年/同友館)ですね。

はい。7つの中小企業再生の実話から構成されています。企画会議があった当時は、ちょうどリーマンショックが起きた頃でした。こうした非常事態にこそ、中小企業の支援につながる書籍を出したいと思い、企画案を提出しました。

企業再生の本は、世の中にたくさんあります。既存のものとどのような違いが出せるかが、企画のポイントでしたが、あるセミナーのパネルディスカッションで企業再生事例を聞いた際、台本のない実話が語られていて、とても感動したんです。こうした話を、もっと自分も聞きたいし、中小企業の経営者にも読んでほしいと思ったのが、始まりでした。

テーマがテーマだけに、専門性が高く、とっつきにくいものが多いですよね。私は、すぐに眠くなってしまって(笑)。だから、もう少し読みやすく、物語を読んだ後にスッと知識が入っているような本があったらいいな、と思ったんです。

― 私も先日、櫻田さんと一緒に創業セミナーの講師をさせていただいたんですが、ほかにはどのようなセミナーをしていらっしゃるんですか。

現在は、コンサルティングがメインなので、講師業は本格的にはやっていませんが、創業のほか、販路開拓やマーケティングをテーマとしています。

― (社)中小企業診断協会の活動では、「Amiの会」の幹事をされていらっしゃいますね。

はい。2010年度から、「Amiの会」の幹事として活動しています。「Amiの会」は、(社)中小企業診断協会東京支部の懇話会の1つで、主として東京支部に所属する女性診断士が集まって会合を持っています。会の目的は、「女性診断士を中心とした診断士の交流、情報提供を促進する」ことですが、2ヵ月に1回開催される例会には、男性や中小企業診断士以外の方も参加できます。1991年に始まり、来年20周年を迎える同会は、今年度は14名の幹事で構成されています。

例会では、各分野で活躍される方に講演をしていただいています。私が担当する10月の例会では、「文化」をテーマに、女優で演出家・劇作家の渡辺えりさんをお招きし、「夢みる力~演劇に魅せられて~」というタイトルで講演をしていただく予定です。

中小企業診断士と演劇のシナジー効果

― 劇団の中で、中小企業診断士が役立てることは何だと思いますか。

劇団も1つの企業なので、中小企業にとっての中小企業診断士の役割と同じですね。それから、資格を持つことで、プロデューサーとしての外部に対する信頼性が増すのかな、と。後援や協賛といった資金調達が進めやすいなど、公的な資格があると、話が進めやすくなるんです。特に海外に対しては、コンサルタントの資格が有利に働くと考えられます。

― 現在、プロデューサー業はなさっているんですか。

小松幹生さん原作の「明日はお詣り」というお芝居のプロデュースを進めています。夜が明けたら靖国神社にお詣りに行こうと考えている総理と、明日の朝は思い出の神社に行きたいという女秘書の2人芝居です。

テーマは、「日本人は、太平洋戦争をいまだに総括できていないのではないか」という問題提起のようなものです。ただ、政治的な作品ではなく、そうした狙いのお芝居でありながら、楽しく、笑ってみられるような舞台にしたいと思っています。ドラマ「相棒」にも出ている大谷亮介さんの出演と、俳優座の亀井光子さんの演出は決まっていますが、まだ女優さんが決まっていない状況で...。

― 来年の上演に向けて、プロデュースを進めているのですね。「女優募集中」って書いておきます(笑)。

お願いします(笑)。

― では逆に、中小企業診断士の仕事において、演劇が役に立つことはありますか。

「Amiの会」でも渡辺えりさんをお招きしていますが、中小企業診断士で芸能関係者にネットワークを持つ方や業界に明るい方は、そんなにいらっしゃらないと思うので、ほかの方と異なる切り口から仕掛けや助言をできる可能性があるかな、と。中小企業の経営者には、芸術に関心のある方も多いので、共感していただける部分もあると思います。

― というと、演劇とのシナジー効果はあるのでしょうか。

実際の活動はこれからですが、中小企業診断士の活動で得られた経験や考え方を、劇団の経営面に活かす方法を模索していきたいですね。夢と生活が両立する方法を探したいと思います。

逆に、中小企業診断士の仕事では、演劇の世界に生きる人の夢の持ち方を参考に、人間の生きる意味を見失わない視点を企業経営に加味していければ、と思っています。中小企業診断士として経営を追求し、同時に演劇という夢も追っていくことは、特に夢をあきらめてしまった人にとって、プラスの効果をもたらすと思うんです。その中から、変革を起こすようなエネルギーをプロデュースしていきたい。たとえば、セミナーや社員教育であれば、役者や演出家を使って、何か仕掛けができそうですよね。

― 櫻田さんはいま、(社)中小企業診断協会会報の月刊『企業診断ニュース』で、「広がれ、企業内診断士の輪」を連載されていますね。

月刊『企業診断ニュース』「広がれ、企業内診断士の輪」決断と再生

読者の方から、ブログやツイッターで「いつも読んでいます」というメッセージをいただきます。とてもありがたいですね。

たくさんの企業内診断士の方とお会いしていますが、皆さんの活躍をご紹介できる一方で、お勤めしながらの診断士活動において、課題や悩みを抱えていらっしゃる方が多いことを痛感します。中小企業診断士全体の7割を超える全国の企業内診断士の皆さんに、それらを発信することで、微力ながらお役に立てていることを光栄に思います。

― 最後に、このサイトをご覧になっている方に、メッセージをお願いします。

日本の文化や芸術の承継・発展に興味のある方、そして、今回のインタビューを聞いて共感してくださった方は、ぜひ私と一緒に活動しましょう。

― まったく新しい切り口で、楽しいことができそうですよね。今日はお忙しい中、ありがとうございました。

(おわり)

櫻田 登紀子(さくらだ ときこ)
中小企業診断士。筑波大学卒後、(株)バンダイ、大日本印刷(株)を経て、2008年独立開業。得意分野は、新製品・新事業立案支援、国際化を含む販路拡大支援。演劇制作者でもあり、2011年の上演に向けて舞台『明日はお詣り』をプロデュース中。著書『決断と再生~中小企業をどん底から救った男たち』(2010年/同友館)。月刊『企業診断ニュース』連載「広がれ、企業内診断士の輪」2代目インタビュアー。