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診断士カレイドスコープ

世界トップレベルの舞台に立った中小企業診断士

取材・文:大堀 記美子水沼 啓幸(中小企業診断士)

【第3回】「選択と集中」で得た道

取材日:2010年7月15日

金融マンを辞め、努力を重ねて南アフリカW杯という大舞台を経験された相樂さんが、これまで日々心がけてきたものは何なのか。さらに国際副審、中小企業診断士として、今後どのようなビジョンを描いているのかについてお聞きしました。

成功の秘訣は「捨てること」

― 相樂さんのお話を聞いていると、若い頃に立てた目標に一直線に向かっていて、まわりに惑わされず、自分の人生を生きているといった感じを覚えるのですが?

目標に一直線に向かってきたかといえば、ちょっと違うかと思います。一言でいうと、あきらめが早いです。たとえば、若いうちから審判をやるには、選手としてのサッカーを捨てなくてはなりませんでした。そういう意味では「捨てるのがうまい」のかもしれません。

学生時代には、「楽しい大学生活」と「審判員としての修行生活」のどちらか、就職してからは、「安定した生活」と「国際審判員としての海外遠征」のどちらかを選択しなければならない状況でした。そのような中で私は、これまで常に一方を捨ててきたのかもしれません。

相樂亨さん

― 「捨てること」によって、今の道にたどり着いたということですか?

「仕事」、「家庭」、「診断士試験」、「審判」の4つを同時にこなすことは、金融機関に勤務していた当時の私にとって苦しいものでした。「多少の貧乏も覚悟しよう」と考えて退職したわけですが、もし当時、どちらも捨てられずに抱え続けていたら、さらに苦しくなっていたと思います。

― 捨てたことを後悔はしませんでしたか?

基本的に一度捨てたら、捨てたもののほうはみないことにしています。「給料が...」、「社会保障が...」と考えると、きりがなくなります。若い頃に茶髪にもできない、夜遊びもできない、それらを捨てることによって残ったのが、今の道です。世の中の後悔が多い人をみていると、捨てたほうがいいものを無理に抱えて生きている人がたくさんいるように感じられます。診断士試験でも「在庫は悪」と習ったとおりで、抱えすぎはよくない。私は仕事を捨てて、中小企業診断士が手に入った。「捨てじょうず」なだけで、特別すごいことを成し遂げたわけではない気がします。逆に言えば、会社にいながら中小企業診断士になった人のほうが、僕はすごいと思う。

スポーツ団体に対するコンサルティング支援

相樂亨さん

― 現役引退後のアフターキャリアを考えているとのことですが、今後、具体的にはどのように活動していく予定ですか。

スポーツ競技団体に対するコンサルティングを目的にしたいですね。現在、日本のスポーツにはさまざまな団体があります。しかしながら、なかなかうまく運営されていない。そんな中、日本サッカー協会は組織的に運営されていると感じています。

― たしかに最近、スポーツによる地域振興にもスポットライトが当たっていますね。

スポーツは、お金が絡むと難しくなってしまいます。その辺を透明に、さらに組織的に運営できるようになれば、スポーツによる地域振興はもっと進むと考えています。現在、地域に数多くのスポーツクラブがありますが、運営体制は十分だとは言えません。スポーツクラブにこそ、マネジメントの視点が必要なのに、なかなか機能していないのが実態だと思います。将来はマネジメントの視点から、スポーツ団体、クラブ支援を行っていきたいと思います。地域の総合スポーツクラブができる際には、そのハブ人材として活躍したいですね。そのあたりの分野に中小企業診断士として、自分へのニーズがありそうなことが、最近、みえてきたところです。

「優先順位」と「選択と集中」

― 何かをやりながら勉強している診断士受験生、資格を取得した後も、仕事をしながら活動している中小企業診断士は数多いと思います。Jリーグ、国際試合の副審、そして中小企業診断士を掛け持ちしている相樂さんから、何かアドバイスはありますか?

相樂亨さん

まず、優先順位をつけることが大切でしょう。受験勉強をされている方は、資格取得に照準を合わせたほうがよいと思います。「仕事」、「趣味」、「家族」、「診断士試験」など、抱えているさまざまな事象の中で、優先順位のうち2つまでは同時に取り組むことができるでしょう。

たとえるなら、「仕事」、「資格」までは大丈夫。しかし、先ほどの捨てる話と同じで、「家庭」が入ってきたときにつらい。そこには経営と一緒で、一時的に「選択と集中」が必要なのだと思います。家族の協力のもと、「選択と集中」を行うことが、何かを成し遂げるためには必要だと思います。

私の場合は、「審判」がもっとも大事な存在であり、アフターキャリアを考えると、「診断士試験」の優先順位が次に高かったのです。したがって、当時は「家庭」、「仕事」を一時的に捨てることになった。ただ、家庭は妻が賛同し、内助の功で支援してくれたので、本当にその間は助かりました。人生には、「選択と集中」が本当に大切だと思います。

― 帰国して直後のインタビューに快く応じていただき、ありがとうございました。帰国直前の報道からすると、今後、さまざまなメディアから取材を受けるのではないですか?

実は、ここに来る前も地元新聞社の取材を受けていました。これから、テレビなどの取材も予定されています。せっかくの機会ですし、サッカーの審判がどのようなものなのかをアピールできればうれしいので、積極的に受けようと思います。当然、中小企業診断士のアピールもですね(笑)。

― テレビで拝見するのが楽しみです。頑張ってください。

(おわり)

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相樂 亨(さがら とおる)
財団法人日本サッカー協会プロ審判員。国際審判員(アシスタントレフェリー)。中小企業診断士。1976年栃木県出身。金融機関に勤務しながら、Jリーグ審判(副審)として活躍(金融機関は2006年に退職)。2007年国際審判員(副審)登録。2009年1月日本サッカー協会と契約し、アジア初のプロ副審となる。同年4月中小企業診断士登録。