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診断士カレイドスコープ

世界トップレベルの舞台に立った中小企業診断士

取材・文:大堀 記美子水沼 啓幸(中小企業診断士)

【第1回】ワールドカップのピッチに、中小企業診断士が!?

取材日:2010年7月15日

サッカーの世界最高峰の大会、ワールドカップの舞台に中小企業診断士がいたことをご存じでしょうか。診断士2年目の相樂亨さん(34)です。相樂さんは、2010南アフリカワールドカップにて、西村雄一主審をサポートする副審として活躍されました。7月12日の決勝戦を終え、帰国したばかりの相樂さんにお話を伺いました。
 今回のレポートでは、南アフリカでのエピソードだけでなく、国際舞台に立つプロ審判、そして中小企業診断士としての今後についてお伝えします。

今までに味わったことのない経験

相樂亨さん

― 決勝トーナメント準々決勝でのオランダVSブラジル戦は、注目の一戦でしたね。ピッチに立つときは、どのような気持ちでしたか?

スパイクを履き、着替えて、1時間前にアップし、トレーニングをして、10分前に並び、チェックしてから入る。試合前の流れはいつもどおりですから、特に緊張することはありませんでした。これまで何千試合もやってきていますし、FIFAの大会も3回、また、ワールドカップでも予選を経験していますから。

けれども、試合が始まり、ブラジルが逆転されてから緊張感が高まりました。われわれも経験がありますから、「ブラジルがリードされ始めるとまずい」ことはわかっています。

― 「まずい」というのは、どういうことでしょうか。

「どんなことをしても勝つ」というスイッチが入るのです。勝っているときは(イエローカードをもらいたくないから)やらないことを、やり始めます。彼らはプレイだけでなく、ファウルもうまい。何かあると、審判のせいになる。ちょっとしたミスも許されなくなります。

この試合中には退場者も出ましたが、われわれ審判は、試合の流れを読んでしっかり対応していく必要があるのです。ブラジルベンチからの圧力も強く感じましたし、厳しい試合でした。

1ヵ月間にわたる南アフリカ滞在

相樂亨さん

― 南アフリカの印象はどうでしたか? 治安なども心配されていました。

治安については、よくわからなかったですね。私たちはずっと、囲まれたホテルの中で過ごしていましたし、ホテルとスタジアムの往復だけでしたから。

ただ、現地の方が楽しんでいる、盛り上がっているというのはよくわかりました。サッカー普及のことを考えると、南アフリカで開催できたことはよかったと思います。

― 素朴な質問なのですが、現地ではどのような食事をされていたのでしょうか。

食べ物については、どの大会もそうなのですが、現地のものは食べられません。ホテルが用意した、万国共通の、まったく問題ない料理を1ヵ月間食べます。エジプトに行っても、中東に行っても、どこに行っても食べるものはいつも同じです。

現地の食べ物が合わないという心配はありませんが、変化もありません。今回は、ふりかけや焼肉のたれ、キムチの素などを持参しました。

― 南アフリカという遠い国に1ヵ月のご滞在。ご家族は心配されたでしょうね。

長期間、家を空けることについては、妻も両親も慣れているんです。1年のうち、100日は家にいないですし、1ヵ月くらい外国に行っていることも珍しくありませんから。妻も最近、まわりからよく聞かれるらしいのですが、「いつもいないし...」と(笑)。日本代表の選手と同じような生活ですね。

それから、今回は出国前に立ち上げたブログが便利でした。ブログを更新していれば、私が元気であることが皆に伝えられますからね。このブログをみていただき、安心してもらっていたようです。

― 6月25日に、34歳の誕生日を南アフリカで迎えられたそうですね。どう過ごされていたのでしょうか。

1次リーグのパラグアイVSニュージーランド戦の最中に日本時間で12時を回り、誕生日を迎えました。この試合のボールを記念にいただくことができましたし、とても思い出深い誕生日となりました(上記写真のボール)。

ワールドカップで得られたもの

― 今回、ワールドカップで副審をされたことには、どのような意義がありますか?

まず、審判にスポットライトを当てられたのが、とてもよいことです。中小企業診断士同様、なかなか注目されませんから。これをきっかけに少しでも審判に興味を持ち、難しさを知ってもらえたらと思います。すぐに「審判へたくそ!」と言うのではなく、「あの場面は難しそう」と思ってくれる人が増えると嬉しいです(笑)。

相樂亨さん

もう1つ、重要なことがあります。それは、日本サッカー協会が今までやってきたことが間違っていなかった、と証明できたことです。西村さんと私の2人が「特別」だったわけではありません。私たちは日本で教わったこと、Jリーグでやってきたことを、外で表現しただけですから。それが評価されたということは、いつもやっていることが正しい、ということです。「日本人審判なら、誰が行っても決勝戦までやれる」との評価を得られたことが大きいと思います。

(つづく)

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相樂 亨(さがら とおる)
財団法人日本サッカー協会プロ審判員。国際審判員(アシスタントレフェリー)。中小企業診断士。1976年栃木県出身。金融機関に勤務しながら、Jリーグ審判(副審)として活躍(金融機関は2006年に退職)。2007年国際審判員(副審)登録。2009年1月日本サッカー協会と契約し、アジア初のプロ副審となる。同年4月中小企業診断士登録。