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農商工連携支援コンサルタントスキルアップコース受講レポート

文:新木 啓弘(中小企業診断士)安田 孝志(中小企業診断士)山下 哲博(中小企業診断士)

【第3回】沖縄県八重山郡(波照間島)

フル稼働していた製糖工場

NPO EASTが主催する農商工連携支援コンサルタントスキルアップコースの実地研修として、2010年1月23日~24日、日本最南端の有人島・波照間島にある製糖工場を訪問しました。「1月の波照間島なら南十字星がみえるかも...」と楽しみにしつつ、研修当日を迎えました。参加者は受講生11名、講師1名、事務局2名の総勢14名です。

石垣島から高速船で1時間、約55キロの旅で波照間島に到着です。工場長さんからサトウキビ農業と製糖工場についてご説明いただき、その後、工場見学をさせていただきました。この工場では、1日に100トンものサトウキビの処理が可能で、約15トンの黒糖が生産されます。涼しくなって糖度が上がる12~1月にサトウキビの収穫が始まり、それに合わせて工場が始動します。始動した工場はその後、24時間2交代でフル稼働し、約4か月の間に1,800トンを越える黒糖を産出するそうです。

製糖工場見学

工場の中に入ると、黒糖の甘い香りがしてきます。黒糖づくりには大きく5つの工程があります。圧搾(搾り汁の抽出)⇒清浄(絞り汁をフィルターに通す)⇒濃縮(搾り汁を加熱)⇒仕上(仕上缶で炊いた後、冷却撹拌)⇒包装(業務用固形、粒状等に加工)と工場の中で一気に行われ、約10時間で黒糖製品に加工されます。

サトウキビの搾りかすは、ボイラーの燃料に活用してコスト削減に努めたり、シーズンオフは装置器具をすべて分解して整備したりと、さまざまな面で製造効率向上を図っていたことが印象に残りました。

島内はサトウキビ一色

島内はサトウキビ一色

工場を出ると、2メートル以上はあるサトウキビの畑が一面に広がっています。10年前までは、機械を使わない手刈という収穫方法が全体の8割を占めていたそうですが、ここ10年で刈倒機を使った収穫が増え、手刈の比率は約1割に下がりました。それでも、サトウキビを刈り倒した後のトラックへの積み込みなどは人力で、依然として重労働です。

波照間島の人口は588名、世帯数は259(平成18年3月末)であるのに対し、波照間製糖の契約農家数は107です。工場のピーク時には70名が働き、島民の大半が黒糖づくりにかかわることになります。黒糖製造という産業が、多くの波照間島の人々を島にとどまらせ、暮らしを支えていることがわかりました。

石垣島へ向かう帰りの高速船は、大揺れでした。船酔いの体に、宿に帰ってから楽しんだ泡盛は効果てきめんで、天体観測どころではなく、熟睡してしまいました。

沖縄全体の黒糖産業の状況を学んで

翌2日目は、沖縄県黒砂糖工業会の販売促進アドバイザーである、中小企業診断士の嵯峨井一弘先生から、沖縄全体の黒糖産業の現状について講義を受けました。黒糖工場は県内に7か所あり、トップ3の工場では作業効率が高いものの、作業量の少ない工場では作業効率や施設老朽化等の課題があり、単価ごとの製造コストが高くなっているようです。

また、黒糖産業全体で課題になっている「過大在庫の解決策」、「越年在庫の価値維持」というテーマに沿って、グループディスカッションも行われました。黒糖づくりは、離島の農家の生活支援という意味合いが強いため、生産調整ではなく売上増大のための用途開発、ブランド開発といった視点から議論がまとめられました。

波照間島には、幻の焼酎といわれる「泡波」があります。島外ではプレミアム価格で取引されているほどで、長寿県・沖縄の人々のストーリーを織り交ぜ、観光資源となるスイーツやお土産品の開発をしてもよいのではないかと感じました。

(おわり)

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