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農商工連携支援コンサルタントスキルアップコース受講レポート

文:新木 啓弘(中小企業診断士)安田 孝志(中小企業診断士)山下 哲博(中小企業診断士)

【第1回】新潟県長岡市・小千谷市

ヤーコン収穫に汗を流す

ヤーコン収穫

NPO経済活動支援チーム(NPO EAST)が募集を開始した、農商工連携支援コンサルタントスキルアップコース。私は現在、ITの分野でコンサルティングを行っていますが、農商工連携によるビジネスの可能性について模索し、活動領域を明確にしていきたいという思いから受講しました。今回は、私の参加した、新潟県長岡市(旧山古志村)と小千谷市での実地研修についてレポートします。

実地研修は平成21年11月5~6日の1泊2日、総勢14名で行われました。初日はヤーコン収穫を体験し、2日目は錦鯉の池揚げを視察するというスケジュールでした。

ヤーコンとは、中南米・アンデス高地原産のキク科の根菜です。日本には昭和60年頃に伝わったそうですが、当時はあまり注目されませんでした。それが近年になって、豊富に含まれるフラクトオリゴ糖の整腸作用や、作用メカニズムは不明ながら血糖値抑制効果など、その健康への効果から注目が高まっています。山古志では、地域おこしとして平成16年からヤーコンの栽培を始め、今では全国ヤーコンサミットを開催するまでの特産物となっています。

タオルを巻き、軍手をし、長靴を履いて、収穫開始です。ヤーコンは、ジャガイモのように1株に5~6個くっついて土の中に埋まっています。いちばん大変と思われる掘り起こし作業は、午前中から地元の方に進めていただいていたため、私たちはその後の工程から体験させていただきました。

掘り起こされた株から土をはらい落とし、茎にくっついている塊根部(芋)を、クルクルと回して切り離し、収穫していきます。ヤーコンはとても傷つきやすく、途中でもげてしまったりもするので、慎重を要します。

茎から切り離した芋は、そのまま畑に並べておき、乾いたら段ボール箱に回収していきます。その際、出荷できないものとできるもの、大・中・小の3段階に規格を仕分けながら回収するようにしましたが、初めてヤーコンに触れる私たちは規格の判断に個人差が出てしまい、課題を残す作業となってしまいました。

日が暮れるまで作業を行った後、ヤーコンをどのように加工し、また、どのようなチャンネルへの販路開拓の可能性があるかについて、メンバー間で議論を重ねました。すでに食品加工業者などとの連携による商品づくりにも着手されており、それとは別の発想が必要とのことでしたので、メンバー全員が頭を悩ませました。

世界中からバイヤーが集まる地域資源

錦鯉の池揚げ

2日目は、隣の小千谷市へ移動し、錦鯉の池揚げを視察しました。池揚げという言葉は、一般の方にはなじみが薄いかもしれません。田んぼのような野池で育てていた錦鯉を、取り上げる作業のことです。

錦鯉の稚魚は、野池で育てられます。そして、10~11月初旬にかけて、立派に成長した鯉は、世界中から集まるバイヤーや鯉愛好家にみていただくように、養鯉場の池へと移されるのです。野池の底には配管がしてあり、栓を抜くと水位を下げられるようになっています。水位が下がったら大きな網を入れ、何度も引いて鯉をひき寄せます。最後は手で抱きかかえるようにしてすくい上げ、移動用のトラックに積まれた水槽へ移します。

野池に預けて育てるというのは、他の観賞魚にはみられない錦鯉独特の方法です。19世紀に山古志周辺で始まったといわれ、現在もその手法が引き継がれています。

この地域の錦鯉の愛好家は、もともとヨーロッパに多かったのですが、近年は中国でも増えているそうです。今では世界中のバイヤーが、この時期、この地域に集まってくるといいます。私たちが伺った際も、多くのバイヤーが訪れており、にぎわいをみせていました。

実地研修で感じたこと

視察した錦鯉は伝統があり、すでに世界的な知名度も高いのに対し、多くの地域では、世に知られるチャンスに恵まれず、埋もれてしまっている地域資源や産業が存在します。それらを広めていくには、その地域単独の力だけでは限界があります。埋もれている地域資源や産業を、私たちのような専門家が支援し、伝統や文化といった観点から掘り起こしたり、農商工の連携促進によって光を当てたりすることは、地域活性化にも大きく寄与する意義のある取組みだと、この研修をとおして確信しました。

研修の最後に、中越地震の被災地を視察しました。ニュースでみたことがある爪跡を目の当たりにして、自然の恐ろしさが身にしみました。初めてヤーコンの苗を植えたのは震災の年で、収穫を目前にして全滅してしまったそうです。復興を遂げた方たちの努力は、並大抵のものではなかったでしょう。その姿に、力強さを感じました。

(つづく)

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