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診断士カレイドスコープ

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文:大石 幸紀(中小企業診断士)

【第3回】中小企業診断士への期待は大きい

受講者も無事、予定数を確保でき、いよいよ講義研修がスタートしました。長丁場ならではの苦労や失敗もありましたが、同時に大きな手応えも感じられる、非常に意義深い取組みでした。

さまざまな失敗を乗り越えて

知的財産権の講演を行うヘンリー幸田先生
知的財産権の講演を行うヘンリー幸田先生

平成21年8月28日の、大寺規夫氏(中小企業診断士)を講師に迎えた「農商工連携の意義と研修のねらい」を皮切りに、全35回の講義研修がスタートしました。100人入る会場は毎回満員で、受講者の皆さんには窮屈な思いをさせてしまう結果に......。

また、事務局のさまざまな失敗もありました。リハーサルでは問題のなかった音響設備が、講義本番では音が出なかったり、講師がトイレの時間をなかなかとってくださらなかったり......。なかでも、もっとも受講者にご迷惑をおかけしてしまったのが、教室前方に映したPowerPoint®の画面が暗かったり、文字が小さく見えにくかったりしたことでした。その後は、PowerPoint®は必ず明るい背景色でつくること、文字の大きさは30ポイント以上にしていただくことを、講師との打ち合わせ時に必ずお願いするよう、改善しました。

いつも満員の講義研修
いつも満員の講義研修

そのほか、講義終了時には毎回、受講者全員にアンケートを書いていただきました。受講者は中小企業診断士やコンサルタントなので、評価は非常に厳しいですが、思ったことを率直に伝えてくださるからこそ、小さな不満が大きなクレームに発展する前に対処できたのだと思っています。びっしりと感想を書いてくださる方も多く、感謝しています。

講師は、中小企業診断士、コンサルタント、大学教授などを中心にお願いしましたが、農商工連携事業計画認定者の中小企業経営者や、八丈島の漁船の船長など、実務者にもお願いしました。ちなみに、受講者アンケートでの評点がもっとも高かったのが、その船長でした。講演のテクニック以上に、自らの仕事や島への情熱が受講者の心を打ったのでしょう。

事務局も総動員の実地研修

実地研修は、北は新潟の佐渡島から南は沖縄の波照間島まで、全国12ヵ所で行いました。各地の農漁業者や中小企業にフィールドをご提供いただき、農漁業の体験従事や農作物の販売実習、農商工連携に取り組む企業の視察を行いました。

受講者が280人もいたため、実地研修は1人1ヵ所しかご参加いただけません。そのため、受講申込時に希望する実地研修を確認したのですが、多くの方が離島での実地研修を選ばれました。離島での研修の受け入れ可能数は限られていましたので、抽選によって受講者を決めさせていただきました。多くの方のご希望に添えず、大変申し訳ありませんでしたが、苦情をいただくこともなく、第2希望の研修を受け入れてくださったことに感謝しています。

実地研修:山古志のヤーコン収穫体験
実地研修:山古志のヤーコン収穫体験

実地研修でもっとも苦労したのは、宿の確保でした。実地研修先によっては、受講者の人数分の部屋がある宿泊先のない場所もあったため、相部屋をお願いしました。初対面の方と寝起きをともにするというのは、あまりない経験だったようで、受講者の中には、なじめなかった方もいらっしゃったようです。

また、新潟県長岡市の旧山古志村でのヤーコン収穫体験では、事務局は受講者の作業記録をとることに専念する予定でした。ところが、予想以上に豊作で、その日のうちに収穫作業が終わらず、急遽、収穫作業に刈り出されることになりました。受講者は、往復の車の中で体を休めることもできますが、事務局はそうもいかず、体力的にもっともキツい研修となりました。

中小企業診断士への期待を感じる

このように、さまざまな経験をさせていただいた実地研修ですが、何よりも素晴らしかったのが、研修を受け入れてくださった農漁業者や中小企業の、事業に対するひたむきさでした。離島の方々は一様に、自分たちの仕事が島の未来にどのように結びついているかを強く意識されていました。島にある限られた産業によって、どうすればさらなる雇用を生み出していけるのか――その思いが、強く伝わってきました。

農商工連携計画が認定された企業は、社会的な使命を強く意識した企業ばかりでした。認定を受けたことで、自社の取組みが公的なものであるという意識を持たれるのでしょう。私たちの研修の趣旨をご理解いただき、視察を快く受け入れてくださいました。

そして、研修受け入れ先に共通して感じたのが、私たち中小企業診断士や中小企業支援専門家に対する期待でした。もっと農林水産業のことを知ってほしい、川上と川下をつなぐコーディネート機能をもっと発揮してほしい、という思いが強く伝わりました。私たちには、この期待に応えることが求められているのです。

最後になりますが、本事業は講師の方々、実地研修を受け入れていただいた方々、そして受講者の方々に支えられ、閉講することができました。この場をお借りしてお礼を申し上げます。ありがとうございました。

(おわり)

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