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診断士カレイドスコープ

中小企業経営診断シンポジウム/中小企業診断協会創立55周年記念大会報告

取材・文:堀切 研一(中小企業診断士)三上 学(中小企業診断士)

【第3回】経営者・金融機関・中小企業診断士の連携が企業を変える!

取材日:2009年11月5日

第2回に引き続き、ここでは2009年11月5日に行われたシンポジウムのうち、第4分科会の模様をレポートいたします。

第4分科会――中小企業の将来を支えるノウハウが満載

小林 勇治 氏
小林 勇治 氏

第4分科会の前半では、小林勇治・中小企業診断協会副会長より、「企業ドック構想で経営革新の実現を!!~企業の将来を支える健康診断システム~」と題したお話をいただきました。また後半では、経営者・金融機関・中小企業診断士が連携して経営革新を行い、業績を拡大している山形・埼玉・福岡の各成功事例に関して、トークセッションが行われました。

経営革新を推し進める企業ドック構想

わが国を取り巻く環境が悪化し、各企業の置かれている状況も刻々と変化する中、私たち中小企業診断士にはますます、企業の成熟度や財務状況を正確に把握し、状況に応じた適切な診断・支援を行うことが求められています。小林勇治・中小企業診断協会副会長からは、協会の推進する企業ドック構想について、お話をいただきました。

企業ドック構想ではまず、診断対象となる企業の状況を、財務面と事業面に分けてスコアカードで点数化し、正常先、窮境初期、窮境中期、窮境末期などにランクづけします。そのうえで、「経営革新」、「協業、新連携(M&Aを含む)」、「企業再生」、「再チャレンジ」、「創業支援」など、企業の成熟度に合わせて支援していこう、というものです。まさに人間ドックのように、問題点があれば早期発見し、早めに対応していくための"企業の健康診断システム"なのです。

まずは、この"健康診断"を受けていただくための気づき啓発運動から始まり、初期診断、診断報告、経営計画や企業再生計画の申請、債務者区分のランクアップ、実践支援、利益改善などの一貫した診断システムを導入することで、一時的な応急処置でなく、企業の将来を見据えた長期的支援が可能となります。これには、中小企業支援機関や金融機関、民間コンサルタントなども含めた連携が不可欠です。そのために、中小企業診断士の内部だけでなく、広く人脈の構築や情報交換をしていく必要性を強く感じました。

経営者・金融機関・中小企業診断士のトークセッション

八木 田鶴子 氏、落合 寛司 氏、田邊 良憲 氏
八木 田鶴子 氏、落合 寛司 氏、田邊 良憲 氏

前述のとおり、分野を超えた連携が必要とのお話が小林副会長からありましたが、引き続き経営者と金融機関、および参加された経営者の企業に対して実際に支援を行った中小企業診断士をお招きし、具体的な連携事例に関するディスカッションが行われました。コーディネーターの八木田鶴子氏(東京支部)による司会で、熱いトークセッションがスタートしました。

パネリストとして、企業からは次の3名が参加されました。世界で初めてトロイダルコイルの全生産工程を自動化した、山形県の株式会社ウエノ・上野隆一代表取締役社長、「中小企業地域産業資源活用プログラム」の認定を受け、地域資源「西川材」の特徴を活かしたドアや家具などの製造を行う埼玉県の株式会社サカモト・坂本勉代表取締役、平成3年の台風19号で造倉が全壊したものの、その後、中小企業診断士の支援もあって、売上を2.5倍に拡大した山口合名会社・山口郁代営業部長(8代目当主承継予定)です。

上野 隆一 氏、坂本 勉 氏、山口 郁代 氏
上野 隆一 氏、坂本 勉 氏、山口 郁代 氏

また、金融機関からは次の2名が参加されました。国の施策に基づく政策金融機関として、財務面・情報面など、多面的に中小企業支援を行う株式会社日本政策金融公庫・田邊良憲債権部再生支援グループ長、中小企業診断士をはじめとする外部専門家との連携や大学との連携にも積極的に取り組み、先駆的な中小企業支援を行う西武信用金庫・落合寛司専務理事です。

活発な意見交換

企業を支援された中小企業診断士の廣江篤司氏(東京支部)、平野種悠氏(福岡県支部)からは、「経営革新計画」や「中小企業地域産業資源活用プログラム」などの施策を活用しつつ、地域資源を活かした事業展開や販路開拓、生産拠点の強化などの支援策を行った経緯について、ご紹介いただきました。

パネリストの皆さんは一様に、施策を活用して会社内部の仕組み構築や、人材育成を着実に実行するとともに、自社の活動を地域経済活性化に結びつけて地元に貢献したいという熱い思いをお持ちで、中小企業のあるべき姿を考える際に、大変参考になるお話でした。

経営者交流タイム
経営者交流タイム

また、落合氏からいただいたメッセージは、あらためて中小企業診断士としてどうあるべきかを考える、よいきっかけになりました。その内容は、「医者が専門分野を持っているように、中小企業診断士も『私はこの分野が得意だ』と、専門性をわかりやすく掲げてほしい。それにより、金融機関や中小企業支援団体も、どの中小企業診断士に依頼すべきかが明確になる」というものでした。

第4分科会では、中小企業経営者の参加が多かったこともあり、現状に即したご質問やご意見が多く、大変参考になりました。また、最後には経営者交流タイムも設けられ、参加者が名刺交換や情報交換を活発に行うなど、貴重な機会となりました。

(つづく)