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【第3回】マッチング事例(3)~資金調達事例~

最終回となる今回は、マッチング事例の3つ目として、資金調達の事例を紹介します。神奈川県横浜市で建売事業を行っている企業の事例をご覧ください。

企業ヒアリング

<C社概要>

C社は、30年ほど前に建築業として創業しました。社長は大工からのたたき上げで、平成2年に建売事業と不動産事業に進出し、現在は横浜市で2~3戸の小規模分譲を主体に運営しています。資本金は1,000万円、年商は約3億円です。

今回の資金調達支援の依頼は、FAXによるもので、さらに詳細な内容をヒアリングするため、社長にアポイントをとって訪問することとなりました。

<支援ニーズ>

建売事業の仕組みは、土地を仕入れて分割し、複数の家を建てて顧客に販売するというものですが、近年の金融危機以来、仕入れ代金の融資が厳しくなってきました。業界全体も非常に厳しい状況ですが、土地を仕入れていかないと新たな事業展開が見込めないため、金融機関や公的機関の融資制度を活用したいというニーズでした。

新現役の検索

社長の話を聞きながら、紹介可能な新現役としてE氏が思い浮かびました。E氏は大手金融機関の役員をしていた方で、新現役チャレンジ支援神奈川事務局主催の「交流サロン」をきっかけによく知るところとなりました。「交流サロン」とは事務局独自の企画で、新現役の方々と顔の見える関係を大切にするために隔月1回、セミナーや勉強会を開催し、その後各ナビゲーターの分科会に分かれて自己紹介などを行い、交流を深めてもらっています。

E氏とは、2008年秋に開催された「交流サロン」後の懇親会でお会いしました。本連載の第1回を執筆した臼井氏も同席していました。E氏は臼井氏の「経営戦略分科会」に所属していましたが、新現役同士のネットワークを広げるために、非公式ではありますが、私の「人事・労務分科会」と合同で定期的な懇親会開催を提案され、その幹部をしていた方でした。

C社訪問後、さっそくE氏にC社の支援ができないか相談したところ、「自分の経験が活かせるかどうか、まずはお話をうかがうことにしましょう」と了解をいただき、マッチングの運びとなりました。

マッチング

C社訪問から1週間後、E氏のマッチングに同行しました。まずは、社長から前回聞いた内容と同じ説明がありましたが、E氏の経歴を確認後、社長はさらに詳しく現在の融資状況や今後の事業展開などについて話されました。

その後、E氏は資金調達に関しては情報収集が必要なことや、銀行との付き合い方が大事なことを説明し、事業運営に関しても大手金融機関への勤務経験を持つことから、全般的な観点からのアドバイスが可能であると説明しました。

社長からは、「今までこのような相談をする相手がいなかったので、今回いろいろと話をさせていただいて大変参考になった」との言葉をいただきました。そして月2回、資金調達も含めた経営全般の相談という形で顧問契約を結ぶことになりました。

新たな支援の依頼

マッチング成約後しばらくして、E氏からC社の新たな支援ニーズの打診がありました。内容は、「土地の仕入れに関して、大手不動産会社出身で、神奈川県内の土地・建物に関して売買情報のネットワークを持っている人はいないか」というものです。そこで、大手ハウスメーカー出身のF氏や大手マンション会社出身のG氏を社長に紹介し、成功報酬での契約が成立しました。

融資については、ある金融機関からの借り入れが可能となりました。販路についても、新現役のF氏が持っている人脈を活用して社長と同行営業を行い、良い感触が出始めているとのことです。

中小企業は、C社のようにさまざまな課題を抱えているため、今後は最初のニーズだけにとどまらず、継続して企業とコンタクトをとり、複数の視点から課題解決のお手伝いをしていきたいと思います。

(おわり)