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診断士カレイドスコープ

MPAの“ヒミツ・アソビ・ホンキ”を探る~中小企業診断士の研究会活動について

文:村上 知也(中小企業診断士)但田 真紀(中小企業診断士)松本 圭介(中小企業診断士)

【第3回】MPAの"ホンキ"

MPAの活動を紹介してきた当連載も、今回がいよいよ最終回。彼らの"ホンキ"とはいったい?ぜひお読みください。

プロローグ

近くのカフェでコーヒー

土曜日だというのに、Cさんは今日も仕事です。会社と中小企業診断士を両立する生活にも慣れてきました。今日はいい天気。近くのカフェでコーヒーを飲みながら、愛用のノートPCでメールを受信します。受信メールを順番に眺めていたところ、あるメールに目がとまりました。

宛先:チームMPAメーリングリスト
件名:【重要】新規プロジェクト参加者募集、概要メモ送ります
日時:Sat, 19 Sep 2009 05:31:40 +0900 (JST)
「あ、なんだか面白そう......」
カタカタカタ......。Cさんはさっそく、メールに返信します。
「Cです。新規プロジェクトの件、私も参加を希望します」

MPAの動き方

当連載の第1回ではMPAの概要を、第2回ではよく遊び、よく学ぶMPAの力の源泉をご紹介しました。第3回となる今回は、「MPAの"ホンキ"」と題し、診断実務を中心にMPAの活動をご紹介したいと思います。

MPAは、プロジェクト単位で活動しています。チーム全体のメーリングリスト(以下、ML)上で参加者を募り、その後、参加希望者が集まって、打ち合わせや個別MLで議論を進めるという活動スタイルです。

また、MPAのメンバーは企業内診断士が多数を占めるため、他の中小企業診断士と同様、基本的には平日の夜と土日を中心に、自宅や喫茶店でデスク作業をしたり、会議室や喫茶店で打ち合わせをしたりしています。メールの送信時間から、メンバーの活動時間がある程度見えてくるわけですが、深夜2時に「こんばんは」とメールを出した人が、朝6時に「おはようございます」とメールを出すなんてこともよくあります。

MPAの診断実務

これまでのMPAの活動を振り返るとき、ある商工会議所(以下、X商工会議所)との関係を語らないわけにはいきません。

X商工会議所は、東京近郊のある地方都市の商工会議所。2007年には会議所周辺の個店支援を、2008年には上記会議所が相談を受けているショッピングセンターの支援を、そして2009年は合宿の開催地でもあり、個店の方々とディスカッションを実施するなど、毎年お世話になっています。

2008年ある商工会議所にて

駅前にある大型ショッピングセンターは1980年代に設立され、地域の中心的役割を担ってきました。一般的なショッピングセンターとは異なり、地元の商店街の個店が集まったテナント構成で、さながら商店街が1つのショッピングモールに集積しているといった運営形態をとっています。しかし、設立から年月がたつにつれて、市場環境も変化し、その存在感は薄れつつありました。

そこで、私たちの進め方は、ショッピングセンターの現状を踏まえ、他の商店街などの地域活性化の取組みの中から使えそうなアイデアを集めてみるというものでした。あるメンバーは、公的機関の公開資料や書籍などを参考に、活性化に成功している事例リストを作成。また、あるメンバーは「公開資料のみではうわべだけの提案になってしまう。現場の声を聞かなくては」と、成功事例として紹介されている商店街組合に突撃取材を試み、座談会のセッティングまで行いました。

こうした取り組みもあって、報告会では好評をいただきました。おかげで、現在もX商工会議所とは懇意にさせていただいています。

以下に、これまでのMPAの代表的な活動実績を簡単にご紹介します。

●小売業(パン)
支援メンバー:5名
課題:安定的な売上確保、顧客ターゲットの明確化
支援内容:品ぞろえ改善、新商品の開発、チラシの作成、外看板設置の提案
●飲食業・小売業(台湾フルーツの輸入販売、台湾料理)
支援メンバー:8名
課題:法人設立、業務フローの確立、販路・仕入先の確保、店舗運営体制の確立
支援内容:法人設立・検討事項の提案・手続きの支援、受注~請求・入金確認に至る業務フローの改善、会計業務体制の整備および会計ソフトの導入支援、新メニューの提案、仕入先・販売先等の紹介、既存顧客向けホームページの作成および提供

そのほか、数人単位で動いている多数のプロジェクトがあります。

これからのMPA

2009年度のMPAは、「経営革新計画の申請・承認」という新たなテーマに取り組んでいます。「経営革新」の実務担当者を招いて経営革新計画の勉強会を行い、ある企業の「経営革新計画の承認」に向けて、総勢17名のメンバーが参画し、支援活動を開始したところです。先日、支援先との顔合わせを兼ねたキックオフミーティングと懇親会が開かれました。

なお、キックオフミーティング後の1週間で、約50通のメールがプロジェクトのメーリングリストを飛び交いました。これから、2009年度のMPAの大型プロジェクトが始まります。

MPAの"ホンキ"とは?

さて、ここまでのMPAの紹介記事を見て、読者の皆さんはどう感じたでしょうか。

  • 「MPAって、なんだか活動的な研究会だなぁ」
  • 「なんだか学生のサークルのようだなぁ」
  • 「どこからこのモチベーションが沸いてくるんだろう」

人によって感じ方もさまざまだと思いますが、この記事を書いている私自身もときどき、「MPAはなぜこんなにアクティブなのか」と不思議に感じます。

なお、MPAでは入会時に以下の条件を求めており、特に1.~3.は必須としています。

  1. 守秘義務が守れる人
  2. 協調性がある人
  3. 真剣に取り組める人
  4. ネットワークが広い人(販路関係)
  5. 仕事をとってくる人(相談・執筆等)
  6. 何か一芸のある人

もちろん、守秘義務については、日頃から意識して行動していますが、協調性や真剣に取り組むといったことは周囲から口酸っぱく言われるわけではありませんし、ふだんから意識して行動しているわけではないと思います。しかし、メンバーたちは「合宿であれ、診断実務であれ、信頼できる仲間たちと何かに真剣に取り組む楽しさ」を、さまざまな活動を通して経験的に肌で感じており、だからこそ仲間を大切にし、さまざまなことに"ホンキ"で打ち込めるのではないかと思うのです。

まるでコイのよう

MPAは、数ある中小企業診断士の研究会の中でも、トップクラスのアクティブ集団ではないかと思います。MPAのMLに仕事の依頼や相談を投げかけると、瞬く間にメールが飛び交い、次々と人が集まってくる様子をたとえて、ある会員はこう言いました。

「MPAのみんなは、まるでエサに群がるコイのようだね。コイって、池にエサを投げ入れると、バシャバシャと群がってすごいでしょ? あれだよ、あれ!」

エピローグ

日程調整のメール

その日の夜。Cさんは、別の仕事を済ませた後に自宅に戻り、メールを受信しました。MPAのMLでは、すでに10名を超える参加希望者があり、Dさんが事務局に決まり、初回打ち合わせの日程調整のメールが流れていました。

宛先:チームMPAメーリングリスト
差出人:D氏
件名:【重要】初回打ち合わせ日程の件
日時:Sat, 19 Sep 2009 19:52:43 +0900 (JST)
「あ、もう日程まで決まったんだ......」
カタカタカタ......。Cさんはさっそく、メールに返信します。
「Cです。○月○日の初回打ち合わせ、参加可能です。楽しみですね!」

(おわり)