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勤務先での資格の活かし方

がんばる企業内診断士

中小企業診断士バリューチェーン 診断士資格で一本道から複数の選択肢を手に 島袋 智輝さん

取材・文:【第1回】高森 厚太郎(中小企業診断士)・【第2回】篠島 真哉(中小企業診断士)

【第1回】中小企業診断士のフレームワークで工場長賞を受賞

2017年9月19日更新(取材日:2017年6月10日)

企業内で働く中小企業診断士は、企業活動全体を俯瞰しながら、それぞれの工程で企業活動を支えています。本シリーズでは、製造業のバリューチェーンにかかわってきた中小企業診断士を、バリューチェーンの上流から順に紹介しています。
2回目となる今回は、化粧品の開発と商品化を担当している島袋智輝さんに、その工程や専門分野でどのように仕事に取り組んでいるのか、また前後の工程をどのように意識して活動しているのかを伺いました。

企画~開発~商品化~量産化という化粧品製造バリューチェーン

―現在の仕事内容をお聞かせください。

大手化粧品メーカーの技術戦略室という技術部隊のサポート部門で、研究者の予算管理や特許、工場のトレーサビリティを考えたりしています。過去には、工場の生産管理業務や化粧品の品質保証を目的としたロット・トレーサビリティの構築(何の原料がいつ、誰の手によって、何の商品に使われたのかをトレースする仕掛け)、研究員が利用する化粧品処方管理の仕組みの構築等を手掛けてきました。

―化粧品製造の流れを具体的に教えてください。

化粧品製造の流れは、経営系での売上の見立てをもとに、商品の企画やコンセプトが立ち上がることから始まります。消費者の動向――たとえば「最近、部屋干しが増えたよね」とか、「こういう色が流行っているよね」といったところから商品企画が立てられ、そこから技術部隊に話が落ちてきます。
技術部隊では、中身や容器、使い勝手、感性工学等を考えながら、試作品を完成させていきます。これが「開発」のフェーズです。試作を踏まえ、商品化が決定されると、マーケティングや生産準備が始まります。この「商品化」のフェーズを経て、技術から工場へと仕事がバトンタッチされていきます。そして工場では、同じ中身、同じ容器で同じものが量産化されていく。最後に、工場で生産されたものが営業を経て物流に乗り、市場へ渡っていきます。
つまり、私の属する技術部隊は、会社やブランドコンセプトを踏まえた「こういう商品を作ってほしい」という商品企画提案を受けて、中身の処方をどのような構成でいこうか、パッケージをどうしようかとか考え、いろいろと試しながら決めていく、化粧品製造の中流に位置する仕事です。私は「開発」と「商品化」のフェーズの面倒を全般的に見ていることになります。

俯瞰して物事を見られるようになった

―島袋さんが診断士資格を取得しようとしたきっかけは何でしょうか?

一つは、幅を広げて俯瞰して物事を見られるようになりたかったことです。入社以来10年間、ずっと化粧品の技術畑でしたのでね。そしてもう一つ、自分自身の市場価値を上げたかったという思いもあります。勤め先が大きい会社ですので、一つの部署に長くいると、「このままで良いのかな」、「ここ以外では使い物にならないのでは」と思えてしまって……。

―診断士資格は、現職にどのように活きていますか?

一つ目は、工場系の改善提案に活かされています。ECRS(業務改善の4原則。Eliminate(排除)、Combine(結合)、Rearrange(入替)、Simplify(簡素化))等のフレームワークを使った改善提案で、「ECRSを使って口紅の計量の仕方を変えましょう」という提案を行い、工場長賞をいただきました。
二つ目は、全体を見て仕事ができるようになったこと。たとえば、いまはさほど売れなくなっていても、昔から売れ続けている商品は上流工程での費用が発生していませんので、「金のなる木」であることがわかります。「この商品は売れているからすごいんだ」ではなく、「『会社の事業として』実はこの商品は儲かっているんだ」と理解できるようになりました。
三つ目は、資料づくりがうまくなったと思います。他部署、すなわち上流工程や下流工程とのつなぎの部分での打ち合わせで、フレームワークを使って整理した資料を準備できるようになり、話がしやすくなりました。

(つづく)

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プロフィール

島袋 智輝さん

島袋 智輝(しまぶくろ ともき)
1980年生まれ。大手日用品メーカーのビューティケア事業部にて化粧品の技術者として従事しつつ、2015年中小企業診断士登録。製造業やビューティケア業界を中心としたコンサルティング、執筆、セミナーと幅広く活動中。