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中小企業診断士バリューチェーン 激動を生き抜く上流バリューチェーン~テレビ製造事業管理のプロに聞く~木下 岳之さん

取材・文:【第1回】田原 弘貴・【第2回】川原 茂樹

【第2回】組織間連携で価値を生み出す

2017年9月14日更新(取材日:2017年6月5日)

製造業のバリューチェーン上流の事業管理の立場で、製造から販売までさまざまな連携をされてきた木下さんにお話を伺う第2回。今回は、組織間連携のコツを教えていただきました。

社外との連携で価値を生み出す秘訣

―テレビ事業では、海外に行かれることも多かったのでしょうか?

海外展開に関する生産から販売まで、現地の自社工場やパートナーと話し合うために20以上の国と地域に行きました。海外では関税や物流費がかかりますので、どこで作るか、部品はどこから供給するか、販売体制はどうするかなど、さまざまな調整が必要です。

―海外の製造パートナーとお付き合いをされる際は、どのようなことに苦労されますか?

まず、パートナー選定では複数社によるコンペを行い、QCD(品質、コスト、デリバリー)を比較します。そして最後は、本当にできるかどうかを見極めるために現地や実績も見て、具体的な実現方法を確認しながら決めていきます。

しかし、海外のパートナーはそれでも約束を守らないことがあるため、先々まで想定し、問題になりそうなことをあらかじめ契約書に入れておくことが大切です。品質や仕様、数量などさまざまな条件についてよく話をしておく。たとえば需要が落ちたり、急増したりしたときも対応できるように、「発注量が変わった時はどう対応しますか?」などと事前に確認しておきます。そのためには経験が重要なんです。

― 一方で、販売パートナーとのお付き合いにおいては、どのようなことに苦労されるのでしょうか?

テレビのように価格変動やモデルの切り替えの早いものは、販売店からの受注だけでなく、最終的な実売の動きを見て次の納入量を予測しないと、適切な生産計画が立てられません。そのために、販売店のシステムとつないでもらい、情報を一元管理する。さらに、コミュニケーションも重要です。受注が増える場合も「なぜですか?」と確認し、広告やプロモーションなど変化の背景を理解しないと適切な対応はできません。

事業管理の役割と醍醐味

―社内の調整でもっとも難しい相手はどこでしょうか?

基本的に、営業と製造では文化というか、重視している部分が違います。営業は「他社が下げてきたから価格を下げてくれ」と簡単に言いますが、工場や設計が一生懸命に1円単位でコストダウンしているのに、そう簡単には下げられません。また、販売店の要求に1台でも不足すると猛烈なクレームを受けますので、絶対に品切れしないように言ってきますが、売れ残った場合は平気な顔をしている。計画をしっかりと作り、そのとおりにきちんと作ることを大切にしている製造とは相性が合わないんです。

ですから、営業と製造のコミュニケーションを良くさせるのは大変です。任せておくとまったく話が進まない。事業管理は、その間で思いっきり板挟みになります。日々辛いですね(笑)。

―板挟みの中で、うまく立ち回るコツを教えてください。

まずは、さまざまな立場の人の話をよく聞きます。全体最適の視点で背景、理由を理解した上で、その意図がきちんと伝わるように関係者へ説明します。戦略上、短期的には痛みを伴う施策でも、最終的に会社の利益につながることがわかれば納得してもらえますし、お互いの理解も深まる。頑張って成果が出ると信頼関係もできてきて、初めは何回言ってもダメだったのが、こちらの話を聞いてもらえるようになり、人脈も広がる。この好循環を維持することが大切ですね。

事業部の目標を達成するためには多くの確認が必要です。収益の計算、材料の確認、製造キャパの確認など、すべてを押さえて作戦を立てます。

―すごくマメにやられるのですね。

マメにやることと、言われたことを鵜呑みにせず、1つひとつ自分で考えて確認することが大切です。たとえ嫌われても、「なぜですか?」と確認したり、想定から外れた場合のプランも作ったりしてもらう。そうしておくと工程の後戻りが発生しませんので、結果的に喜ばれます。

相手が言ったことに対して切り返すためには、こちらもその内容に精通していないといけません。難しいですが、それがメーカーで管理業務をする醍醐味だと思うんです。

―今後、診断士資格を活かせる場面があるとすると、どのようなところでしょうか?

もともと、会社で活かせると思って中小企業診断士の勉強を始めました。いままでは事業管理の立場で事業のほうに目が向いていましたが、現在は経営企画の立場で社長と話をする機会が多くなりました。少し目線を上げて、社長にアドバイスができるくらいを目指したい。そのときは間違いなく、診断士資格を活かせるでしょうね。

(おわり)

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プロフィール

木下 岳之(きのした たかゆき)
1970年生まれ。2017年中小企業診断士登録。大学卒業後、電機メーカーに勤務し、主にテレビの事業管理に従事。国内や海外工場に勤務するなど、部品から完成品までをグローバルに担当。現在は素材メーカーにおいて、経営戦略等の経営企画を担当している。

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