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中小企業診断士バリューチェーン 激動を生き抜く上流バリューチェーン~テレビ製造事業管理のプロに聞く~木下 岳之さん

取材・文:【第1回】田原 弘貴・【第2回】川原 茂樹

【第1回】変革の時に何を考えるか

2017年9月12日更新(取材日:2017年6月5日)

企業内で働く中小企業診断士をご紹介する当コーナー。本シリーズでは、製造業のバリューチェーンにかかわってきた中小企業診断士を、バリューチェーンの上流から順に紹介します。
初回となる今回は、デジタル化が進展し、製造業にとって激動の時代となった1990年代後半からテレビ製造業の事業管理をしてきた木下岳之さんに、その経験や仕事術を伺いました。

日本の製造業を襲った「デジタル化」

―木下さんのプロフィールをお聞かせください。

現在は、素材メーカーで経営企画部長をしています。前職は、電機メーカーのテレビ事業部で事業管理をしており、そこではバリューチェーンの構築と運用全体に携わる立場でした。特にテレビのデジタル化(液晶テレビ等の登場)が一気に進んだ時代にそうした事業管理を行っていました。

―テレビのデジタル化について詳しく教えていただけますか。

「パーツを揃えて組み立てれば完成する」というモジュール化が進みました。従来のアナログ製品は、部品を組み立てるだけではうまく完成品はできません。だから部品を内製し、部品同士のすり合わせで完成品を作っていて、それが日本企業の強みでした。

しかし、デジタル化でその強みが活かせなくなりました。作り方がさらに容易になったんですね。デバイスが簡単になって、台湾などから巨大な資本を持った企業が一気に参入し、予想以上の低価格化が始まりました。

付加価値と外製化が製造業バリューチェーンの肝

―その場合、何を考えるのですか?

どこに付加価値を見出すか、そしてどこまで内製するのか、というところです。

テレビ事業でいう内製とは、付加価値を取り込むということです。技術の進歩により、市場がガラリと変わる中で、自社の強みを考え直して、何を外製し、何をこれまでどおり内製するかを決めることが大切だと思うんです。過去の成功体験にこだわっていると、いままでどおり内製しようとしがちです。でも、まったく違う技術ですし、開発費も桁が違いますので、重要なところは内製して付加価値を守りつつ、うまく外製化することが大切になります。

―外製化となると、抵抗も大きいのでしょうか?

はい。特にテレビ事業は組織が大きく、部品ごとで事業部が分かれているような巨大な事業部制になります。すると当然、各事業部は外製化に強硬に反対します。外製化すると、場合によっては自分の事業部が消えますからね。ある部品を外製化してしまえば良い、というのは机上の話であって、会社の場合は人がくっついていますから、なかなか進みません。

―何か秘策はあったのですか?

特にありません。まずは、会社のトップがビジョンを示すことが重要だと思います。

ビジョンを示すことで、我々の強みを活かすにはどうすれば良いかを考えることができ、組織の理解を得られるようになります。個別に話を聞いても、いまの組織が生き残ろうとしますので、組織の変革は難しいと思います。

―差別化という視点からはいかがでしょうか?

部品を外製化して普通に調達しただけでは、他社と変わらない部品になってしまいます。だからといって、都合良く調達先が個別の部品を作ってくれるのかどうかは、きちんと考える必要があります。

また、低価格化の圧力の中で価格を維持するためには、機能追加や性能向上を進めるしかありません。しかし、お客さんが求めていない機能や性能をつけないように、私たちはマーケットのトレンドや他社の動向を考えます。それから、そもそもカスタマー視点ではテレビの付加価値は何だろうか、という点についてもよく考えます。

一方で、お客さんのニーズだけではなく、売る現場のことも考えなければいけません。というのも、お客さんがあまり求めていない機能でも、営業が現場のセールストークで「他社の製品にはついています」と言われて負けてしまう場合が多いからです。

事業管理に求められるもの

―テレビの生産からマーケティングまで、非常に多面的な知識が必要ですね。

そうでないと、バリューチェーンは見られないんですよ。マーケティングなど売るほうだけでなく、組み立て方や部品の種類、機能などを知らないと作るほうのバリューチェーンの話ができませんよね。もちろん、わからないことも山ほどありますが、それを確認したり聞いたりするうちに知識や経験が増えてきます。また、現場を見たりすることで、全体を見てどうしましょうか、といった提案もできるようになるんです。

(つづく)

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プロフィール

木下 岳之(きのした たかゆき)
1970年生まれ。2017年中小企業診断士登録。大学卒業後、電機メーカーに勤務し、主にテレビの事業管理に従事。国内や海外工場に勤務するなど、部品から完成品までをグローバルに担当。現在は素材メーカーにおいて、経営戦略等の経営企画を担当している。

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