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勤務先での資格の活かし方

がんばる企業内診断士

脱力系資格活用術 中里 樹さん

取材・文:勝亦 健雄(中小企業診断士)永澤 謙太郎(中小企業診断士)

【第2回】美容業界の実態と診断士に求められる役割

取材日:2015年9月13日

支援機関勤務を経て、現在は美容関係の雑誌編集の仕事に携わるという変わった経歴をお持ちの中里樹(なかざと たつき)さん。今回は、美容業界の実態と中小企業診断士が果たすべき役割について語っていただきました。

美容室は全国に23万軒以上


―診断士の視点から見た美容業界の特徴を教えてください。

その前に、全国に美容室ってどのくらいあると思いますか?

―5万軒くらいでしょうか。

実は、厚生労働省の調査では23万軒以上とされています。私たちがよく利用するコンビニが5.5万軒と言われていますので、その多さを実感していただけると思います。

実際の数は、公表されている統計データによって違いますので、より正確な数字の把握は難しいのですが、少なくとも増え続けていることは確かです。しかも、そのほとんどが中小零細規模の事業者です。

―増え続けているということですが、実際にどのよう人たちが開業しているのですか。

昔、テレビドラマで美容師さんが主役のドラマがあったじゃないですか。そのドラマを見て、「美容師の仕事っていいな」と思って美容師を目指した世代が美容室に入り、30歳くらいで独立開業するケースが多いです。確か日本政策金融公庫の調査で、そのような結果が出ていたと思います。

―店舗が増えることはよいことなのでしょうか。

難しい質問ですね(笑)。業界の発展という意味ではプラスに作用すると思いますが、その一方で、内部から見たら競合が増えることにもなりますし…。
また、少子高齢、人口減少社会では、美容師免許を持つ人材をいかに確保していくかという新たな経営課題も出始めていると聞きますので、必ずしもよいこととは言えない一面がありますね。

―美容室でも過当競争が始まると。

そうですね。大手資本のカット専門店などが業界に参入したことで、価格競争的な部分もあると思います。しかし、診断士試験で学んだように、中小・零細事業者がとるべき戦略は価格戦略ではないと思うのです。

個人的には、付加価値を上げるための取組みが必要ではないかと思います。コストの多くを人件費が占めるという業界特性の中で、メニューを多様化し、予約が入ってないときの人材を上手く活用するなど、付加価値と同時に生産性を上げていくことも1つの方向性になるのではないかと思います。

診断士の活躍の余地はある

―厳しい世界なのですね。

その分、中小企業診断士がかかわれることはたくさんあると思います。経営のことを十分に学ばないまま、実際に独立開業をする美容師さんもいると思います。業界誌を読んでも、集客の仕方やリピーターの獲得ノウハウといったようなことがよく掲載されていて、マーケティング、戦略、組織、会計、オペレーションマネジメントなど、診断士資格の勉強で学んだ知識やスキルの多くが美容室の店舗運営支援に活かせるはずです。

しかし、実際に美容業界を得意分野として活動している中小企業診断士は、美容室の数に比べてまだまだ少ないというのが実感ですね。

―こうした状況の中、個々の美容室ではどのような経営改善に向けた取組みがされているのでしょうか。

個々の美容室ではさまざまな取組みを行っていると思います。これまで美容室に通われていたお客さまが、高齢などを理由に美容室から足が遠のいてしまった場合でも、女性はずっとキレイでいたいものです。

訪問美容など、そうしたニーズに応えていくことも、少子高齢社会への対応で求められてくると思います。ただ、すぐにできるのかと言ったらそうではなく、訪問美容ができる場所や手続きについては、都道府県条例などで定められていますので、確認が必要です。

あとは、メニューを多様化し、付加価値を上げる取組みなどをされているところや、シャンプーなどのいわゆる店販商品の販売に力を入れている美容室などもよく聞きますね。

(つづく)

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中里 樹(なかざと たつき)
大学卒業後、小売業者に就職。中小企業診断士が寄稿した雑誌記事に感銘を受けて資格取得を決意。2008年に中小企業診断士試験に合格し、2009年診断士登録。支援機関職員を経て美容関連の現在の会社に移り、雑誌の編集などに携わる。社会保険労務士試験合格者。