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勤務先での資格の活かし方

がんばる企業内診断士

つながりを持って多彩に活動する

司会・文:宮脇 幹太(中小企業診断士)姫野 智子(中小企業診断士)

【第3回】会社と診断士活動の融合

取材日:2013年10月13日

最終回は、中小企業診断士になって会社に対する考え方やかかわり方がどのように変化したか、踏み込んでお話しいただきます。

今後の活動計画

司会:今後、このようなことをやっていきたいという計画や目論みはありますか。

座談会風景
座談会風景

中村:中小企業診断士として成果を出したいという思いがあって、企業に提案してそれで終わりではなく、お互いに実利を出せるような活動をしたいと考えています。そのためにも、麻畑さんがやられている事業承継や経営革新、事業再生など、さまざまな専門分野のベースをきちんと勉強したいですね。それから、いま取り組んでいるセミナーツールの拡充ですね。

大橋:今年は、「取材の学校」という取材や執筆を学ぶプロコン塾に参加したことで執筆のチャンスが増えましたので、経営者向けの記事やビジネス書など、今後は執筆の幅を増やしていきたいと思っています。

太田:私は、自分1人でも相談に乗ることができる実力と自信をつけたいと思っています。そのために、経営支援の場数を踏みたいのですが、いまは育児で外出も難しいため、ここ1、2年の目標としては、社内で診断士資格を活かす方向へシフトしようと考えています。そういった仕事が社内にないか、情報を集めているところです。

実務ポイント獲得の考え方

司会:制約がある中でも、前向きにチャンスを見つけるということですね。ところで、企業内診断士の大きな悩みの1つは実務ポイントの獲得ですが、皆さんはどのようにその機会を得ていますか。

大橋:実践的にやっている研究会であれば、ある程度の実務経験は積めると思います。インプット中心の、講義を聞くだけの研究会だと難しいでしょうけれど。私は、1年目で30ポイントを取りましたが、この研究会に入ったら、これくらいの実務ポイントを取得できるだろう、という計画を立てていました。

中村:宣伝するわけではありませんが(笑)、城北支部企業内診断士フォーラム(KSF)は実務の場数をどんどん踏んで、結果として実務ポイントを獲得することを研究会の目的の1つにしています。

大橋:私はポイントが足りていても、あえて協会の実務従事に行くこともあります。自分が足りないスキルや未経験の分野での実績を作るためです。

司会:支援実績など、ご自身の経歴書を充実させていこうという意識は持っていますか。

太田:結果的には、そこに行き着くかもしれません。経験や場数が欲しいですね。

大橋:経歴書を充実させるために、実務従事を活用するのはありだと思います。

司会:なるほど、目的ありきということですね。

会社と診断士活動のシナジー

司会:会社での経験を診断士業務に活かせていること、あるいは診断士業務が会社に活きていることはありますか。私自身は、中小企業診断士になってから人前で話す機会が増えたおかげで、話すスキルが上がったかなと思っていますが。

中村:中小企業診断士の経験が会社に活きたパターンで、資料を作ったり発表したりする機会が増え、場数を踏むうちにスキルは上がっていますね。あとは、要点を的確に整理する力も向上していると思います。

大橋:会社で感謝されたのが、ある人事施策を作るときに他社の事例を紹介したことです。それがきっかけで、社内が動き出したということがありました。

司会:たしかに、他社の話を聞きやすい立場にはありますよね。企業内診断士でお互いの信頼関係ができていれば、正面から聞きづらいことを教えてもらうことも可能かもしれません。

麻畑:中小企業診断士の活動をしていると、さまざまな方から刺激を受けたり、これまでになかった考えや発想に触れられたりしますので、それが会社の仕事に活きているという面はあります。さまざまな場面で、アイデアの源泉になっていると思います。

中村:ただ、会社でいかにも「中小企業診断士の知識です」という形で提案すると、拒絶されてしまいますね。

一同:そうですね。

中小企業診断士の知識・スキルを活かすための留意点

中村:たとえば会議で、「アンゾフの成長ベクトルでは~」とそのまま持ち出しても拒絶されますが、線を引いて図解しながら具体的に要点を説明すると、案外受け入れられます。知識の出し方って、あるんだなと思います。「SWOT分析をしよう」などと言うと皆さん、構えますからね(笑)。会社では、持っている知識や理論を「だし」のように使うのがいいかもしれません。

司会:シナジーはあると思いながら、会社と診断士活動は別物と割り切る方もいますし、両者に接点を見出せない方もいるでしょうね。距離感は、人それぞれということでしょうか。

麻畑紀美子さんと大橋信太郎さんさん
麻畑 紀美子さんと大橋 信太郎さん

大橋:会社の特性にもよりますよね。日常的に中小企業とかかわっている会社であれば、中小企業診断士の経験が実際に役に立つこともあると思うんです。そうではない会社では、社内で中小企業診断士に対する理解がなかなか得にくいでしょうね。

麻畑:私の場合は、社内に実務的な財務経理の知識を持っている方がいないため、教えてもらったり相談したりできない分野については、研究会などで仲間を見つけて、知識を継続的に得られれば、と思っています。そのようにして、診断士活動で身につけた知識や経験を、社内に還元していきたいと思っています。

中村:幅広くビジネススキルのベースが上がったのは、間違いないですね。インナーマッスルが鍛えられているような感じです。

太田:たしかに自信はつきました。何かを説明する際のバックボーンができた感じです。

仕事への意識の変化

司会:診断士資格を取ってから、人生やキャリアの考え方に変化はありましたか。会社の枠を超えて、ご自身のキャリアの目標が広がったなどというご経験があれば、教えてください。

中村:変化はきっとありますよね。会社の仕事以外にやることが増えていますので、時間をもっと効率的に使うことや、何のためにこれをやるのかということを常に考えるようになりました。細切れの時間ができたら、いつも何をしようかと考えます。

大橋:人生の量が2倍になった(笑)。 労働時間自体もそうですが、頭を使って考えることの量も質も倍になりました。会社での失敗は、最終的には会社が責任を負いますが、中小企業診断士の仕事は、自身のアウトプットがそのまま評価されますので、仕事に対する当事者意識が違います。

太田:会社の仕事は、業務の流れの中で自分に割り振られるものですが、中小企業診断士の仕事はそうではなく、なぜ自分がこれをやっているのかという意味や目的を考えるようになりました。

ライフステージに合わせた活動

司会:会社とのかかわり方の意識が変わったような気はしませんか。違う道もあるという気持ちのゆとりができて、逆に会社の仕事に力を入れようと思ったり...。

太田:よくわかります。

中村:私は、会社と二足のわらじをはきながら、自分の専門分野を見つけていきたいと思っています。現時点でこれをやりたいから独立したいというものはありませんし、独立しなくても、会社と折り合いがつけば現状のスタイルでいいのかな、という気持ちはあります。

太田:構えられてしまうかもしれないと思い、私は職場では中小企業診断士であることを伏せていました。でも、いまは会社に貢献したい気持ちが強く、「中小企業診断士としてもがんばります」と先日、初めて上司に話しました。その後、いただく仕事の質が少し変わったように感じています。「どうして、これまで隠していたんだろう」と思いましたね。私の勤務先にも、中小企業のお客様がたくさんいらっしゃるはずで、独立ではなく、そういった方面で中小企業診断士であることを活かそうと、前向きになってきているところです。

司会:本業とともに診断士活動にも力を入れていく中で、中小企業診断士としてやりたいと思っていることが、実は社内でも実現できるかもしれないと回帰していく感じですね。両立を真剣に考えながら活動している方々ならではのお話を伺うことができました。本日はありがとうございました。

(おわり)