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中小企業診断士の広場

勤務先での資格の活かし方

がんばる企業内診断士

つながりを持って多彩に活動する

司会・文:宮脇 幹太(中小企業診断士)姫野 智子(中小企業診断士)

【第1回】活動のきっかけづくり

取材日:2013年10月13日

中小企業診断士のうち、相当数が企業内診断士であると言われていますが、その活動の内容は幅広く、さまざまです。今回は、会社の枠を超え、独自で先鋭的な活動をされている4名の方にお話を伺いました。

診断士登録から現在まで

司会:本日は、企業内診断士という立場で活躍されている皆さんに、活動の内容やきっかけ、やり方、他の中小企業診断士の方々とのつながりの持ち方など、活躍のヒントとともに、本業や家庭を持った中での活動の工夫や悩みなどもお伺いしたいと思います。最初に自己紹介をお願いします。

中村昌幸さん
中村 昌幸さん

中村:中村昌幸です。東京協会城北支部所属です。登録は2006年で、1回資格更新をしました。勤務先は電子部品商社で、大企業との取引や技術者に対しての仕事が中心なので、社内で直接、診断士資格を活かすような仕事はありませんね。中小企業診断士としては、城北支部執行委員や板橋区診断士会理事のほか、「城北支部企業内診断士フォーラム(以下、KSF)」という研究会の代表を務めています。また、社内で診断士資格を活かさないのはもったいないと思い、使い方を考えているところです。知る限り、社内の中小企業診断士は私だけです。

太田:太田佐和子です。2010年登録で、東京協会城南支部所属です。通信会社でソリューション営業のサポート業務を担当しており、大企業相手の業務が中心です。2012年は出産・育児のため、休職していましたが、今年から職場に復帰しました。1年目は独立志向が強く、「『夢をカナエル』プロコン養成」(以下、「夢カナ」)と「女性のビジネス支援」の2つのマスターコース(※中小企業診断士の資質向上を目的にした講座のこと)に入っていましたが、2年目からは活動のボリュームを絞っています。勤務先には中小企業診断士も結構いるようですが、社内では特に診断士会のようなものはありませんね。

大橋:大橋信太郎です。2012年登録で、東京協会三多摩支部所属です。情報機器メーカーに勤務し、最近まで会社の労働組合の役員をやっておりました。仕事で資格を活かす場はほとんどありませんが、組合時代、経営側と交渉する際に、中小企業診断士としての経営の知識が役に立ったと思います。社外での診断士活動もいろいろとやっており、関東経済産業局の専門家派遣事業にも登録しています。

麻畑:麻畑紀美子です。私も2012年登録で、所属は千葉県協会です。勤務先は人事・労務業務のアウトソーシング会社で、他の企業に常駐してその会社の採用活動を行うなど、人事を中心とした業務に長く携わっていました。いまは、自社の財務経理を担当しています。太田さんと同じく、私も1年目は「夢カナ」と「国際会計と財務戦略」という2つのマスターコースに入っていました。

多彩な活動内容

司会:現在、中小企業診断士としては主にどのような活動をされていますか。

大橋信太郎さん
大橋 信太郎さん

大橋:1つの柱は研究会で、三多摩支部の「中小小売業の情報化研究会(以下、POS研)」に所属しています。最近の主な活動としては、ホームページはどうあるべきかを経営の視点で考え、構築の支援を行っていて、Webツールを使った戦略の1つとしてマニュアルも作成しました。もう1つは、同年度に合格した8名でやっているYTDというグループの活動で、弁理士や社労士、元官僚といった方を講師としてお招きし、企業内診断士のキャリアアップに役立つ教養的なセミナーを隔月で開催しています。今後は、定年後に独立する人向けの創業支援を、メンバーで知恵を出し合いながらやっていく予定です。

司会:太田さんは育児中とのことですが、現在はどのような動きをされているのですか。

太田:現時点では、あまり活動らしい活動はしていません。1年目はマスターコースをベースにセミナーや執筆、コンサルに数多く携わりましたが、2年目は少し範囲を絞って、執筆と、独立診断士の方々と一緒に活動していました。子どもが生まれた後も、診断士活動を続けたい気持ちは強く、現在は自宅でもできるデータ集計や支部メーリングリストのメンテナンス、HPリニューアルといったバックアップ的な活動をしています。また、独立診断士の方のサポートもさせていただいています。

麻畑:1年目は、気になる研究会にはできる限りすべて出席するようにしていました。休みの日はほとんど、研究会に関する活動を行っていましたね。ただ、そうするとインプットばかりで、アウトプットの機会が持てませんし、せっかくよいお話を聞いても頭を整理できず、消化不良を起こしてしまっていたので、今年は出席する研究会を絞り込みました。いまは、事業承継に大きな関心を持っていますので、「後継者の軍師」アカデミーを受講しています。

中村:私が所属している城北支部は、若手にも積極的に機会をいただける気風もあり、初年度から東京都の商店街支援事業に参加することができました。いまは、商店街支援や板橋区の出前経営支援事業など、さまざまな活動をしています。勤務先とはまったく異なる仕事で、楽しいですね。また、KSFという研究会の活動目的は、企業内診断士が自分たちの活動の場を作っていくことです。先日は、金融機関の職員を対象に、マーケティングセミナーを開催しました。いまは、中小企業診断士の知識を使い、診断士以外をターゲットにセミナーを提供することを目論んでいます。

広く関心を持つこと

司会:事業承継は非常に専門的な分野ですが、麻畑さんが軍師アカデミーにまで通って深めようとされている目的は何でしょうか。

麻畑紀美子さん
麻畑 紀美子さん

麻畑:実務補習先の1社が事業承継中で、将来の事業領域に関する診断だったのですが、事業承継のことをきちんと知っていれば、もっと充実した提案ができたのではないかという思いがあったのが1つの理由です。事業承継は特別なことではなく、企業を支援する際に、いずれは出てくる話だと思いますし、関心があることをそのままにしておきたくなかったので、とにかくやってみようと思いました。また、私が長く携わってきた人事という切り口からも、代を譲る側と譲られる側、双方のこれからのキャリアをどう形成するのかを考えなくてはならないという点で、深く関係していると感じました。勤務先でも、いつか出てくるはずの課題ですので、そのときに経営に近い立場で役に立てるようになっておきたいとも考えました。

司会:「企業診断ニュース」(中小企業診断協会発行)で、事業承継の特集も執筆されていますね。

麻畑:「夢カナ」の執筆プロジェクトです。私自身、事業承継支援に携わりたいものの、ハードルが高くて、どこから携わっていけばよいのかがまったくわからなかったのです。そこで、同じような思いを持っている中小企業診断士は多いのではないかと考え、仲間と一緒に一から学んで記事を書きました。

大橋:知らないことをそのままにしておかないというのは、チャンスをつかむために重要な考え方ですね。同感です。

司会:太田さんは、1年目に2つもマスターコースに入った理由は何でしょうか。

太田:私は実家が自営業だったため、将来的には中小企業の経営に携わる仕事がしたいと考え始めたのが、中小企業診断士を目指した動機です。当初は独立を考えていましたので、そのために役立ちそうな研究会を探していました。その際、「自分が将来独立したときに、こう働きたい」と思える中小企業診断士の方を探して相談し、勧めてくださった2つのマスターコースに入ることを決めました。

つながりを持ち続ける努力

司会:いまは育児、会社に加えて、できる範囲で診断士活動をやっておられるのですね。どれか1つでも大変なところ、そのモチベーションはどこにあるのでしょうか。

太田佐和子さん
太田 佐和子さん

太田:何らかの事情で会社を辞めたとしても、手に職があればいいなと思ったことも、中小企業診断士を目指したきっかけの1つです。そのタイミングがいつ来るかはわかりませんので、常に準備万全の状態にしておきたいんですね。現在あまり独立は考えていませんが、中小企業診断士の方とのつながりを大切にして、声がかかったときに動けるようにしておきたいというのが、現在のモチベーションです。

司会:それほどお忙しいと、診断士活動から遠のいても不思議ではありませんが、太田さんはつながりを持ち続ける努力をされているんですね。

太田:やはり、中小企業診断士の方々と話すことも仕事をすることも、楽しいというのが大きいですね。さまざまな場を共有できたのに、なくしてしまうのはもったいないという気持ちもあります。

中村:診断士同士ですと共通の理解がベースにありますし、一緒に何かをすると、物事が早く進んで面白いというのも活動の源泉ですね。

(つづく)