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気仙沼復興支援プロジェクト第2弾「第一回気仙沼バル」―仮設商店街に地元客の賑わいを

文:加藤 正彦(中小企業診断士)

【第3回】イベント終了―振り返りと次回に向けて

前回までは、バルイベントを実施することになった経緯、企画・準備の様子、そしてバル当日の賑わいについてレポートしました。最終回となる今回は、「第一回気仙沼バル」を実施しての振り返りと、今後の展望についてお伝えいたします。

最終報告会の実施

2013年6月22日(土)、私たち診断士チームは、再度気仙沼を訪れました。「第一回気仙沼バル」が開催されてから、およそ2ヵ月後のことです。訪問の目的は、3仮設商店街事務局の方を交えて、今回のイベントの結果報告と振り返りを行うことでした。

イベントを成功のうちに終えたこともあり、集まったメンバーは一様に明るい表情を見せ、前向きな意見交換が行われました。さっそく、最終報告会の内容をもとに、今回のバルイベントの結果を見ていきましょう。

アンケート結果から見る成果と課題

<お客様の集客への効果>
<お客様の集客への効果>
(クリックで拡大、以下同)

<店主によるバル企画への評価>
<店主によるバル企画への評価>
店主様アンケート(n:32)

<参加者居住エリア別来街回数>
<参加者居住エリア別来街回数>

<参加者の年代と性別>
<参加者の年代と性別>
お客様アンケート(n:165)
※宮城県内は気仙沼市を除く

<参加者のグループ構成>
<参加者のグループ構成>

<循環車両運行実績>
<循環車両運行実績>

<3商店街回遊状況>
<3商店街回遊状況>

まずは、今回のバルイベントに参加した店舗の店主様から収集したアンケートの結果です。

<お客様の集客への効果>では、ほぼ全店で「効果あり」、「やや効果あり」との回答でした。また、<店主によるバル企画への評価>においても、9割以上の回答が「良かった」、「大変良かった」という結果になりました。一部の低い評価としては、バルイベントでお客様が多く入店したために、地元の常連客をお断りしなければならなかったなどの理由が見られました。店主様、お客様にバル企画への理解を深めていただくことが、これからの課題となります。

続いて、お客様アンケートを確認します。気仙沼市から参加された方は全体の45.5%で、そのうち22.7%の方が、バル開催地である3仮設商店街を初めて訪れたという結果でした。地元客の来街のきっかけづくりとしては、一定の効果があったものと考えられます。

また、<参加者の年代と性別>と、<参加者のグループ構成>から、気仙沼市内からの参加者は女性の比率が高く、さらには女性同士での参加が多いことがわかりました。女性の方は普段、仮設商店街に対して訪問しづらいイメージを抱いていたのかもしれません。今回のバルイベントが、仮設商店街に触れる機会となったのであれば、大変嬉しいことです。次回開催時には、この結果を踏まえ、女性客をターゲットに各種集客の施策を検討するのも面白いと考えます。

次に、<循環車両運行実績>を確認します。今回のイベントでは、商店街間の移動手段を確保するために、バル専用車を2台用意しました。結果、循環車両の利用者は延べ人数181人と、3仮設商店街間の回遊促進に貢献できました。

また、回収した使用済みチケットから、3商店街の回遊状況の分析も試みました。3商店街すべてを回遊した方は61名で、全体の13.9%という結果でした。

最後に、診断士チーム内で収集したアンケート結果を振り返ります。そして、今回の活動を通じて得た気づきや、感想の一部を以下にご紹介いたします。

  • 気仙沼バル専用のFacebookページを運営し、そのファン数が1,000人を超えたことは、十分な成果。
  • チラシやポスターは、デザインだけでなく必要な情報を端的に記載し、イベント内容を的確に伝えることが重要と痛感した。
  • 運営マニュアル、パンフレットなど、次回以降も流用可能なナレッジを蓄積できた。
  • 3商店街が連携して行う初めてのイベントであり、診断士チームが深く関与せざるを得なかった。
  • 診断士チームを中心に、運営メンバーが多数関与。イベント規模に応じた適正人数への是正が必要。

今回の「第一回気仙沼バル」は、気仙沼で行う初の街バルイベントであり、また、3つの仮設商店街が連携することも初の試みでした。外部の人間である私たち診断士チームの働きかけがあり、実現した仮設商店街同士の連携ではありますが、イベント実行段階においても、商店街間を補完する役目として、診断士チームが深く関与して進める必要がありました。またチーム内でも、イベント企画・準備・開催の実行部隊として動くには、慣れない面が多々あり、多くの人間が右往左往しながらかかわっていたため、効率的な運用ができていたとは言えません。イベント規模を考慮すると、運営主体・規模について課題が残ります。

一方で、試行錯誤で作成した各種マニュアルや広告・宣伝ノウハウは、次回以降にも活かせる貴重な財産となりました。

総括

「第一回気仙沼バル」の総括を、筆者の感想を交えてお伝えいたします。

まずは、大きな問題もなく無事イベントを終了できたことが、1つの成果と考えます。来客数も400人を超え、また、その半数以上が地元からの参加者であり、成功と言える結果になりました。その中で、スタンプラリーや循環車両の配備によって、商店街から商店街へとお客様を流動させ、それぞれのお店にとって新規顧客の獲得機会を得ることができました。市役所や商工会議所の後援を受け、さらにはJR東日本の「仙台・宮城デスティネーションキャンペーン」の特別企画に認定されたことによって、気仙沼市を挙げてのイベントとして、地域住民にも認知されたと思います。

今回のイベントの目的だった「気仙沼の地域活性化」、「各店舗の新規顧客の開拓」の2点については、ある程度達成したと考えます。

続いて課題としては、以下の2点が挙げられます。

  • 継続的な開催により、地域イベントとして定着化
  • 上記実現のための運営体制の適正化

今回のイベントを単発で終わらせては、意味がありません。継続的に開催し、地域のイベントとして定着させることで、中長期的な地域活性化に貢献することが重要となります。そのためには、今回の活動を通して得られた気づきや成果を活かしていかなければなりません。

具体的には、運営主体を段階的に現地メンバーへ移行していくこと、診断士チームの支援体制として、役割と規模の適正化を図ることが挙げられます。ここで規模の適正とあるのは、あくまで主要運営メンバーの体制のことです。バル当日には多くの人手が必要となるため、引き続き、より多くの方の支援が求められます。

そして、私たち診断士チームとしても、支援活動を継続させることが重要なのは言うまでもありません。現地運営メンバーに主体を徐々に移すことで、自立したイベント運営を促し、私たちの役割は、たとえば広告宣伝機能に特化し、情報発信をすることで復興支援に寄与していく、といったような計画的かつ継続的な支援活動が必要と考えます。

最後に、個人的な感想ですが、"復興支援"と言うととても大変そうに思われることがあります。たしかに、時間とお金をかけて活動する負荷や、気仙沼という地理的な制約から、現地の方との情報共有に苦労することはありました。しかしそれらは、どのような活動にも付き物で、復興支援に特有のものとは思いません。今回の活動に限ると、そうした負荷や苦労を超えて得るものが大きかったと感じます。

また、単純に笑顔が絶えない楽しいプロジェクトでした。被災地が大変なのに、楽しいとは不謹慎だというご意見もあるかもしれません。しかし、常に悲壮感を漂わせて自己犠牲の精神を保つだけでは、支援は長く続きません。現地訪問時には、気仙沼の美味しい食べ物に舌鼓を打ちながら、チームの仲間や商店街の方々と楽しい時間を過ごした経験は、私にとって大切な思い出となりました。「何となく大変そう」といったイメージでこのような機会を逸してしまうのは、非常にもったいないと思います。

 本レポートをきっかけに、復興支援へのハードルが少しでも下がることがあれば、とても嬉しく思います。秋には、第2回の企画も立ち上がっています。新たな仲間が増え、一緒に貴重な経験を共有できることを思うと、いまから楽しみです。

(おわり)

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※気仙沼復興支援プロジェクト第1弾の模様は、こちらでご紹介しています。

・気仙沼復興支援プロジェクト「できることから始めよう」