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気仙沼復興支援プロジェクト第2弾「第一回気仙沼バル」―仮設商店街に地元客の賑わいを

文:加藤 正彦(中小企業診断士)

【第2回】いよいよ開催! 「第一回気仙沼バル」

第1回の記事では、気仙沼バルのイベント概要やその目的、準備の内容についてお伝えしました。今回は、開催当日の様子を時系列で追うとともに、本イベント最大の目的である「気仙沼の地域活性化」、「各店舗の新規顧客の開拓」の達成に向けて、私たちが行った施策をご紹介します。

高まる期待

集合した運営スタッフ
集合した運営スタッフ

4月20日(土)、ついに「第一回気仙沼バル」当日を迎えました。例年ではお花見シーズンを迎える気仙沼も、この日は最高気温が10℃に届かず、3月上旬並みの冷え込みに。夜には、雪の予報まで出ています。

そんな不安な空模様をよそに、集合場所の屋台村に現れたのは、中小企業診断士、商店街関係者をはじめとする総勢40人以上のスタッフたち。おそろいの真っ赤なブルゾンを着込んで勢揃いした姿は、壮観です。

思えば、今回のイベント開催には、当日スタッフ以外にも100名以上の方の応援・支援が集まっています。バル成功を願う気持ちの多さに、自然と気持ちが引き締まります。

全体朝礼で一致団結した後は、各パートに分かれて作業が開始されました。各商店街ではテントの設営、メニュー看板の設置、案内板の掲示など、お客様を迎える準備に余念がありません。

その頃、気仙沼駅では、気仙沼市による誘客イベントが始まりました。気仙沼市の無形民俗文化財「鮪立大漁唄込」の拍子が響き渡る中、私たちバルスタッフも、駅に降り立つ乗客にバルへの参加を呼びかけます。市全体が一丸となって気仙沼を盛り上げる――そんな空気が伝わってきます。

各会場を移動しながら気づいたのは、通りがかりの地元の方が、意外にもよく声をかけてくれたことでした。「いよいよ今日だね、頑張って」、「どんなメニューがあるの?」、「後で、皆を連れてくるよ」。

地元の方の気仙沼バルへの注目度は予想以上に高く、「街のイベント」として認知されているようです。おそらくこのような空気を作ることができたのは、地元に根差す各団体と連携し、地域密着型の広報活動を行った成果でしょう。

イベント開幕、気になる出足

チケットを購入するお客様
チケットを購入するお客様

そしていよいよ16時、記念すべき「第一回気仙沼バル」の幕開けです。何より気にかかるのは、お客様の出足。チケットの事前販売数が思ったより伸びなかったことが、不安を誘います。

そんな中、まず初めに感触があったのは屋台村です。立地の良さと店舗数の多さに加え、翌日開催される「気仙沼つばきマラソン大会」の参加者からの認知を得ていたため、早々からチケット売場は人だかりとなってきました。

少し遅れて、紫市場からも明るい知らせが。オープン時間の遅いお店が多かったため、1拍遅れたものの、人気店舗の集客力の影響もあり、いくつかの店舗にはさっそく行列ができています。

そして、復幸マルシェ。もともと店舗数が少ないうえに、紫市場や屋台村と少し距離があることから、一番人出が懸念されていましたが、気づくとここにも、チケットを手にお店を吟味するお客様の楽しげな声があふれ出しました。

時間差はあったものの、各仮設商店街、まずは順調な滑り出しです。

成功に向けた取組み

提供メニュー
提供メニュー
提供メニューの例
提供メニューの例

今回の気仙沼バルの目的は、「気仙沼の地域活性化」、そして「各店舗の新規顧客の開拓」です。これらの達成に向けて、私たち実行委員会は準備段階から当日まで、さまざまな取組みを行いました。そのいくつかをここでご紹介します。

【地元住人をターゲットとした広報活動】

1.地元住民に向けた情報発信

地元新聞へのチラシ折込みや広告の掲載、気仙沼各所へのポスター掲示、地元関係者による現地での周知活動など、地元住民に焦点をあてた告知活動を実施しました。

2.ネットコミュニティの活用

Facebook、Twitterを通じてイベント情報を発信し、「気仙沼」のキーワードに反応した(おそらく気仙沼に特別な思いを抱く)閲覧者との双方向コミュニケーションで、気仙沼バルに当事者意識を持つファン層を形成しました。

【イベントの価値創出】

3.魅力あるメニューの開発

各店舗が当日提供するバルメニューは、イベントの誘客力を高め、参加者の満足度を高めるもっとも重要なファクターと位置づけ、各店舗のメニュー開発には特に重点を置き、メニュー構成や写真撮影のアドバイスを行いました。

4.景品・記念品の贈呈

会場のお祭りムードを高めるとともに、仮設商店街での体験を形に残し、後日の再訪につなげる手段として、さまざまな景品や記念品を準備し、参加者に贈呈しました。

5.地元ゆるキャラの活用

前記「4.景品・記念品の贈呈」と同様に、会場の雰囲気を盛り上げ、記憶を鮮明に残すため、気仙沼の人気ゆるキャラ「ホヤぼーや」を招いて、子どもを中心に参加者と交流してもらい、写真撮影を行う場を設けました。

「ホヤぼーや」との写真撮影
「ホヤぼーや」との写真撮影

【商店街回遊】

6.スタンプラリーの実施

商店街間に人の流れを作り、参加者にまんべんなく商店街の魅力を体験してもらうために、各商店街をめぐるスタンプラリーを開催。達成のインセンティブとして、記念品を贈呈しました。

7.移動手段の確保

夜間および飲酒中でも、お客様が安全に商店街を移動できるように、バル開催中は商店街間の循環車両を運行。また、希望者にはタクシー補助券を配布しました。

これらの取組みが、実際にどれだけの効果をもたらしたかは、初のバル開催である今回の結果だけで測ることはできません。ただ、第2回、第3回と継続的に開催する運びとなれば、徐々に効果が見えてくるはずです。

お客様の反応

夜もなお賑わう会場
夜もなお賑わう会場

辺りはすっかり暗くなり、各会場で特設大型ライトが点灯し始めた頃、バルも佳境に入ってきました。

2軒目、3軒目と飲み歩き、陽気になったお客様で、多くのお店は大盛況です。ただし中には、一般の予約が入って貸切営業をしているお店や、バルメニューが早くから売り切れ、通常営業に切り替えているお店もあります。また、待ち人数が多すぎて、どのお店にも入れないと訴えるお客様も出てきました。その場では、スタッフ間の連携プレーで、比較的空いている他の商店街にお客様を誘導し、対処しましたが、今後の開催に向けて、運営面での課題は残るところです。

ここでいくつか、会場で直接お客様からうかがった声をご紹介します。

「普段は仙台に住んでいるのですが、今日は地元(気仙沼)の友人に誘われ、日程を合わせて帰ってきました。この機会に皆で集まれて、よかったです」

「商店街にはよく来ているけれど、いつも入るお店は同じ。今日は初めて、ほかのお店に入ってみることができました」

「この4月に、仕事で気仙沼に赴任してきました。これまで、ここ(復幸マルシェ)には来たことがなかったので、今回は足を延ばす良い機会になりました」

今回のバル開催については、「地元の人は遠巻きで、観光客だけが盛り上がる」ことを懸念する声も聞こえていました。しかしながら、当日会場で受けたのは、地元7:その他3と、予想以上に地元の方の参加者が多いという感触です。これもひとえに、昨年からの継続的な支援によって商店街との信頼関係を築き、相互に協力しながら活動したこと、また、地元の商工会議所や観光協会の協力を得て、地域へ密なアプローチを行ったことにほかなりません。

終了―次回に向けて

そして迎えた21時。バル終了の時間です。お店では、引き続きお客様が飲食を楽しむ中、バルイベントは撤収開始となりました。折しも、空からは大きな雨粒が。危ういところで、空模様にも恵まれました。

翌日の片付けの中、お店や商店街の方からは、「昨日は大賑わいだったね」、「次はいつやるの?」といった声がかかりました。いくつかの課題を残しつつも、全般的にイベントは成功裏に収まったと言えそうです。

果たして成果はあったのか? そして、次回開催に対するニーズはあるのか? 参加者、店舗、それぞれから回収したアンケートを集計すれば、より具体的な成果や評価が見えてくるはずです。

最終回となる第3回の記事では、実際の成果や、今後のバル開催に向けた課題とその分析をお伝えします。

(つづく)

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※気仙沼復興支援プロジェクト第1弾の模様は、こちらでご紹介しています。

・気仙沼復興支援プロジェクト「できることから始めよう」