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気仙沼復興支援プロジェクト第2弾「第一回気仙沼バル」―仮設商店街に地元客の賑わいを

文:加藤 正彦(中小企業診断士)

【第1回】固定客獲得に向けたバルイベントの企画

2013年4月20日(土)、気仙沼の仮設商店街で、食べ歩きイベント「第一回気仙沼バル」が開催されました。このイベントには、私たち中小企業診断士が、企画から運営まで深くかかわっています。その模様を、今回から3回に分けてお伝えしていきます。

はじめに

「第一回気仙沼バル」当日の様子
「第一回気仙沼バル」当日の様子

現地事業者が直面する課題およびその解決の糸口は、震災被災地特有のものではありません。衰退する地方産業や、変革の中で苦境に立つ商業事業者などに共通する点があると考えています。現地の復興を願いつつ、ビジネスの枠組みから、現地の自立と長期的視点での経営を考えていきたいと思います。

各回記事は次のとおり、時系列で3回に分けてお伝えしていきます。

  • 第1回:「気仙沼バル」企画~当日を迎えるまで
  • 第2回:「気仙沼バル」当日について
  • 第3回:「気仙沼バル」を終え、振り返りと今後に向けて

第1回記事では、私たちの活動概要とともに、「『気仙沼バル』企画~当日を迎えるまで」をお伝えします。

「気仙沼バル」概要

・気仙沼市初の街バル

「気仙沼バル」は、気仙沼で開催される"街バル"であり、初回となる今回は、気仙沼港近辺に位置する3つの仮設商店街合同で開かれました。

※街バルとは......通常、複数の店舗が合同で開催し、参加者はチケットを購入して、複数の店舗を回って楽しむ飲み・食べ歩きイベント。まちおこしイベントとも言え、近年、全国的に開催されて盛り上がりを見せている。北海道の函館バルは有名。

・「第一回気仙沼バル」開催概要

 日時:2013年4月20日(土)16時~21時

 開催場所:気仙沼市内の3仮設商店街

 ・「気仙沼復興商店街 南町紫市場(以下、紫市場)」

 ・「復興屋台村 気仙沼横丁(以下、屋台村)」

 ・「気仙沼鹿折復興マルシェ(以下、マルシェ)」

 開催店舗数:計38店舗

 参加チケット:1セット(3枚)2,300円。1枚で1店舗にて、フード&1ドリンクと交換

開催に至った経緯

・診断助言の概要

バル開催に先立つ2012年、私たち中小企業診断士は、3つの仮設商店街を対象に診断提言を行いました。バル開催案は、その提言の具体策として持ち上がりました。以下は、診断提言の概要です。

3つの仮想商店街に関する状況(SWOT)

このように、現地の各仮設商店街および店舗の独立、また中長期的経営を考えると、地盤づくりとして固定客獲得が重要です。さらには、地方の経済が厳しさを増す中、新たな取組みを行い、地域振興に継続的に取組んでいくことが、長期的に見て重要と言えます。

こうしたことから、目的・目標を次のように設定した「気仙沼バル」の開催を目指しました。

・「気仙沼バル」の目的

1.気仙沼の地域活性化

震災から時が経過し、被災地に対する人々の関心が薄れつつある中、復興への貢献とともに現地事業者の長期的経営を見据え、地域活性化を図る。その1つとして、「気仙沼バル」を地域イベントとして盛り上げていく。

2.各店舗の新規顧客の開拓

多くのお客様に、3つの仮設商店街および店舗(メニュー、店員、雰囲気など)を知っていただく。そして店舗は、くり返し足を運んでいただけるファンを獲得することにより、継続的経営の地盤を作っていく。

・「第一回気仙沼バル」の目標

目標来客数:300人(うち、地元客150人)

固定客になり得る層としては、主に地元の方々が期待できます。そこで、「第一回気仙沼バル」では特に、地元客の集客に力を入れて取組みました。

・3仮設商店街合同での開催

「第一回気仙沼バル」を開催した3つの仮設商店街は、普段は別々に事業を行うライバルの関係とも言えます。そのような中で今回、手を取り合って協力することになった理由としては、次のことが言えるでしょう。

3つの仮設商店街にはそれぞれ特色があり、これを強みとして連携することで、相乗効果が期待できます。また、長期的視点でも、3つの仮設商店街が協力していくことで、地域振興につながっていくと捉えられました。なお、競合である大手チェーン店および全国の他地域やネットショップなどとの差別化、また訪れたお客様の満足度向上は、現地事業者に求められる共通の課題です。

実際の活動

推進体制
推進体制(クリックで拡大)

・組織(推進体制)構築

「第一回気仙沼バル」は、3つの仮設商店街と中小企業診断士+学生+ボランティア(地元支援団体を含む)を構成員とした「気仙沼バル実行委員会」が主体となって運営しました。複数の組織体・メンバーが混在する組織では、推進体制と各々の役割を明確にすることが大事と捉え、右図のように定義しました。

・プロジェクトマネジメント

バルイベントの提案からバル開催までの約4ヵ月間で、できることを考え、トータルに作り込んでいきました。下記は、スケジュール概要です。

スケジュール概要
スケジュール概要

・マーケティング企画および宣伝・販促物などの制作

「第一回気仙沼バル」の目的・狙いに則したものを検討し、企画・制作していきました。お客様向けには、主に特典という形でわかりやすいものを用意しました。下記は、特典一覧です。

特典概要狙い特典品
3仮設商店街回遊 3つの仮設商店街を知ってもらう オリジナルコルク製コースター
チケット事前購入・予約 チケット購入の促進 オリジナルステッカー
+各種商品券等(抽選)
アンケート回答 アンケートの回答数向上 高級オレンジジュース
来街 来街者の増加 雑貨・おもちゃなど

気仙沼バルロゴデザインのオリジナルコースターとステッカー
気仙沼バルロゴデザインのオリジナル
コースター(左)とステッカー(右)

下記は、主な制作物一覧です。

制作物用途
チケット・パンフレット バル当日参加者に配布。パンフレットには、全店舗のバル用メニューを掲載。
チラシ・ポスター・新聞広告 地元に配布。主に地元客向けにバル情報を告知。
Webサイト(ホームページ)・
Facebookページ・Twitter
バルの情報発信および双方向性によるファンづくり。チケット予約も受付。
(Webサイト:http://kesennumabar.com/

気仙沼バルのチケット・パンフレット
気仙沼バルのチラシ(左)とパンフレット(右)

当日を迎えるにあたって

準備の状況としては、計画していたことは概ね実行しました。最大の心配は、気仙沼バル開催前日の段階で、チケット事前販売(予約のみを含む)の累計数がかなり少ない状況だったことです。「お客様はどれくらい来るのか?」という中で、当日の運営サポートメンバーである私たち中小企業診断士+学生+ボランティアメンバーは、気仙沼に向かいました。

(つづく)

【こちらもおススメ!】

※気仙沼復興支援プロジェクト第1弾の模様は、こちらでご紹介しています。

・気仙沼復興支援プロジェクト「できることから始めよう」