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勤務先での資格の活かし方

がんばる企業内診断士

気仙沼復興支援プロジェクト「できることから始めよう」

文:松崎 隆則(中小企業診断士)

【第2回】仮設商店街の視察―被災地商店街のこれまでとこれから

今回は、中小企業基盤整備機構が「東日本大震災に関する中小企業支援策」の1つとして、市町村と共同して実施した「仮設施設整備事業」を活用して建物を建設した3つの仮設商店街が、それぞれの特徴を活かして行っている取組みについてお伝えします。

店舗のハシゴが魅力的―復興屋台村気仙沼横丁

屋台村の外観
屋台村の外観

ほぼ100%の飲食店が流された南町の海岸近くに位置する「復興屋台村気仙沼横丁」(以下、屋台村)を訪れ、若生裕俊代表理事にお話をうかがいました。屋台村は平成23年11月にオープンし、地元の食材を使った飲食店、お土産や海産物を扱う鮮魚店等の22店舗が集い、視察に訪れた際も昼夜ともに大にぎわいを見せていました。商店街の中心にあるきずな広場には、到達した津波の高さ(8m)と同じ高さのポール(きずなの塔)が設置されており、復興のシンボルとなっています。

 屋台村は他の仮設商店街と異なり、店主を気仙沼市内の被災事業者から公募した点が特徴的です。その結果、面接にあたった若生代表理事が、「すさまじい体験をしてきたことから、この事業にかける応募者の強い思いに圧倒された」と言うほどの熱意を持った店主が集まったそうです。

震災後、「食」の再開を望む声の高まりを受け、人・情報の集まる場所(=コミュニティ)を作りたい、代々の味(=地域の食文化)を守りたいという思いから、プロジェクトが動き始めています。屋台村では立ち上げに際して、(1)店主の心を1つにする、(2)食の品質を高める、の2点を重視していました。これらは、週次の定例会で店主間のコミュニケーションを図るとともに、有名シェフを招いてのメニュー開発研修を行うことで実現しています。

若生代表理事が屋台村の楽しみ方の1つとして勧めるのが、店舗のハシゴです。「店舗が近いため、1軒にとどまらずに移動することで、さまざまな店主の顔を見ながら交流ができる」とのことです。現在は来街者の6割が地元以外からで工事関係者も多いため、最低でも月に1回はイベントを行うことで、地元住民の継続的な来街を図っています。

古くからの名店舗が集う生活空間―気仙沼復興商店街 南町紫市場

紫市場の外観
紫市場の外観

屋台村から歩いて10分ほどのところにあり、視察の1週間前にはテレビ番組で生中継が行われた「気仙沼復興商店街 南町紫市場」(以下、紫市場)では、坂本正人副理事にお話をうかがいました。紫市場は飲食店を中心に54店舗が集い、仮設商店街としては全国最大規模となっています。商店街内には「みなみまちcadocco(カドッコ)」と名づけられたコミュニティスペースがあり、遊ぶ場所がなくなった子どもたちが、大人と一緒にワークショップやダンスを楽しむ場としてにぎわっていました。

紫市場立ち上げのきっかけは、避難所で行われていた青空市場です。最大11店舗まで拡大したという、青空市場の店主の皆さんによる「商売をやりたい」という思いからプロジェクトが始まり、平成23年12月24日にオープンしています。すべてを流された状態だったため、少しでも費用を抑えるために冷蔵庫・エアコン・机・椅子等、集められるものは自分たちで集めたそうです。

紫市場には、南町商店街として同地区でもともと商売を行っていたところが多く、古くからの名店舗がそのまま残っています。理容店、衣料品店等の生活に欠かせない業態も多く、生活空間としての機能を果たしています。

現在、震災の記憶が風化することによる来街者の減少に危機感を募らせており、仮設住宅からの来街を促すためにバスを出したり、イベントで炊き出しを行ったりもしていますが、観光バスや日帰り通過型の観光客をターゲットとした観光型の集客にも取組んでいます。「身の丈に合った小さな規模でよいから、皆で力を合わせてまちづくりを進めたい」と語る坂本副理事。思いの実現に向けた取組みが進んでいます。

みんなが集まる場所―気仙沼鹿折復幸マルシェ

復幸マルシェの外観
復幸マルシェの外観

最後に、火事で大きな被害を受けた鹿折地区にある「気仙沼鹿折復幸マルシェ」(以下、復幸マルシェ)を訪れ、村上健児事務局長にお話をうかがいました。他の2つの仮設商店街が飲食・物販を中心とした店舗構成であるのに対し、復幸マルシェはサービス業も多く、多様な業態を含む店舗構成となっているのが特徴です。また、「みんなが集まる場所」にしたいというコンセプトのもと、イベントや会合等に自由に利用できるコミュニティスペースや研修室、子どもたちの遊び場として遊具を設置した「マルシェパーク」があり、参加型の商店街となっています。

復幸マルシェは、「鹿折のまちを地元の人たちでもう一度つくっていきたい」という人々の思いのもと、他の2商店街よりも少し遅れた平成24年3月にオープンしています。来街者の6~7割は市外からの客ということで、郊外型の商店街を目指して、WEBやSNSも積極的に活用しています。また地元の需要を取り込むために、中庭のコミュニティスペース等では毎週のようにイベントを行っています。地域機関との連携も進めており、小学校の社会科学習の見学地にもなっています。子どもから大人まで、また地元から市外客、観光客まで、「みんなが集まる場所」として成長を続けています。

平成24年5月には「一般社団法人気仙沼鹿折復幸マルシェ」を設立し、従前以上に「広く被災地・被災者の復興に寄与すること」を目的に活動しています。被災の状況が異なるため、商店街としての一体感を出すのが難しく、事業のスピード感に違いがある中、店主たちといままで以上に一致団結した活動を行っていきたいとのことです。

商店街への提言活動に向けた取組み

来街者アンケートの様子
来街者アンケートの様子(紫市場)

今回の商店街視察にあたっては、事前に情報収集・分析のツールとして(1)商店街チェックリスト、(2)買い物リスト、(3)個店チェックリスト、(4)来街者アンケートを用意しました。

商店街チェックリストは、参加した中小企業診断士全員が来街者の視点に立ち、各商店街の良い点・悪い点・改善のヒントを記入しました。買い物リストと個店チェックリストは、各商店街の診断を担当するチームのメンバーが、購入したものの記録と利用した店舗の評価をするために利用しました。また来街者アンケートは、視察に訪れた翌日に、屋台村と紫市場で来街者の意見を聴取するための調査に利用しました。

各チームはこれらの情報を活かし、1ヵ月間をかけて提言内容を検討し、とりまとめを行いました。11月3日(土)には再度気仙沼を訪れて、各商店街に直接の報告を行っています。今後も提言活動は継続的に実施し、内容を進化させていく予定です。

(つづく)