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気仙沼復興支援プロジェクト「できることから始めよう」

文:松崎 隆則(中小企業診断士)

【第1回】気仙沼復興支援プロジェクト概要と発足の経緯について

平成24年9月15日(土)~16日(日)、異業種の企業内診断士34名によって、気仙沼復興支援プロジェクトが実施されました。「できることから始めよう」を合言葉に、東日本大震災で被災した気仙沼を訪問して、気仙沼市内3商店街と地元企業3社を視察し、今後の復興に向けた提言をまとめるというプロジェクトです。
 今回から3回にわたって、復興支援プロジェクトの概要、2日間の気仙沼の視察状況と今後の展望をお伝えします。第1回は、復興支援プロジェクトの概要・発足の経緯等を中心にお伝えします。

気仙沼復興支援プロジェクトの概要

建物の基礎だけが残る市街地
建物の基礎だけが残る市街地

今回参加したのは、アサヒビール、NEC、日本ユニシス、富士通、三井物産、三井住友銀行の6社、計34名の企業内診断士です。それぞれ得意分野の異なる私たち企業内診断士が団結し、9月の週末を活用して現地の視察に行ってきました。

宮城県気仙沼市は宮城県と岩手県との県境に位置し、カツオやフカヒレ等、数々の水揚高日本一を誇る日本有数の漁港です。そして昨年の東日本大震災では、もっとも被害の大きかった地域の1つです。震災では多くの方々が被災し、1年半以上が経過したいまも、町の復旧を心待ちにしながら仮設住宅での生活を送っている方々がいらっしゃいます。また、市内の約80%近くの事業所が被災した地域でもあります。

2日間の行程概略
9月15日
(土)
復興屋台村気仙沼横丁
気仙沼復興商店街 南町紫市場
気仙沼鹿折復幸マルシェ
男山本店
9月16日
(日)
マルトヨ食品
阿部印刷
3商店街再訪

実際に現地に行った際も、特に沿岸部に近い市街地では、震災当時の津波の痕が生々しく残っており、崩壊した建物の基礎だけが残っている区画も少なくない状況です。

今回のプロジェクトで視察にうかがったのは、気仙沼市中心市街近くに位置する復興3商店街(復興屋台村気仙沼横丁、気仙沼復興商店街 南町紫市場、気仙沼鹿折復幸マルシェ)および地元企業3社(男山本店、マルトヨ食品、阿部印刷)です。約2日間にわたって、各商店街や各企業の代表より、復興に向けて立ち上がった経緯と現在の状況、今後の見通し等をヒアリングしてきました。

復興支援プロジェクト発足の経緯

ミーティング風景
本プロジェクトのミーティング風景

今回のプロジェクト発足のきっかけは、企業内診断士による異業種交流会です。もともと、異業種交流会では、各社企業内診断士会との情報交換や勉強会等が活動の中心で、実際の診断活動等は各社別々に実施していました。異業種交流会の参加メンバーの中には、「異業種の企業内診断士としての私たちの力を、勉強会以外で活かす方法はないだろうか」という問題意識が常にありました。

さまざまな意見やアイデアの中に、東日本大震災被災地の復興支援というテーマがありましたが、復興支援と言ってもその範囲は幅広く、また現地として私たちの取組みを受け入れることはできるのかなど、さまざまな課題がありました。そのタイミングで、企業内診断士のメンバーの1人が、気仙沼復興支援活動に取り組むエル・アール社長の小野寺亮子氏と出会い、被災地側としても震災から1年半が経過して、ようやく視察等を受け入れる態勢が整ってきたこと、気仙沼の復興は始まったばかりであること等の状況がわかりました。そして、復興に向けていろいろとやるべきことがある中、まずは「できることから始めよう」を合言葉に、異業種企業内診断士の具体的な活動として動き始めたのです。その後、異業種交流会に参加する各社診断士会メンバー間の数回にわたる打ち合わせや、度重なる現地との調整を経て、「現地の復興仮設商店街を視察し、できることを考えていこう」と、9月に復興支援プロジェクトを実施することになりました。

プロジェクトの特徴

一関から気仙沼へ向かう一行
一関から気仙沼へ向かう一行

今回の復興支援プロジェクト実施にあたっては、各自の属する企業の枠を越えて活発な議論が行われました。被災地の復興支援にはさまざまな形・手法がある中で、私たちの今回のプロジェクトには大きく2点の特徴があります。

1点目は、異なる専門性を持つ企業内診断士が集まった点です。メンバーは全員企業内診断士であり、普段は各社の社員としてそれぞれの業務に取り組んでおり、その業務を通じて各分野での専門的知見を培っています。今回、それぞれの背景や得意分野が異なる6社34名の異業種企業内診断士メンバーが団結することで、多角的な視点で復興支援を考えることができ、またメンバー相互の活発な議論で単なる「足し算」ではなく、「シナジー効果」を発揮することもできました。

2点目は、地元・気仙沼とのつながりを持った点です。今回のプロジェクトが具体化するきっかけでもあり、地元出身で復興支援に取り組む小野寺氏にオブザーバーとして参加いただいたほか、氏以外にも今回の参加メンバーには気仙沼市出身者が入っています。プロジェクトチームとして、「被災地」としてのみならず、「気仙沼」という地域そのものへの理解を持つことができ、一方通行ではないチーム構成とすることができました。

9月15日~16日に現地にうかがうと決まってからの約2ヵ月間は、属する企業の枠を越えた形でメンバーの役割分担を決め、チーム単位で準備にとりかかるとともに、幹事団を中心としたチーム横断での打ち合わせ等を行ってきました。診断士協会の活動で商店街診断の経験を有するメンバーも多数いましたが、今回の視察は被災地の復興仮設商店街ということで、通常診断を行っている商店街とは異なる点も多く、事前調査や想定課題の抽出等を入念に実施して、実際の視察に臨みました。

以上が、気仙沼復興支援プロジェクトの概要、および発足の経緯になります。第2回以降で、2日間の具体的な視察の状況や、現地の様子をお伝えしたいと思います。

(つづく)