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勤務先での資格の活かし方

がんばる企業内診断士

上海中小企業診断士の会の取組みー代表・小林伸之さんに聞く

取材・文:渡辺まどか(中小企業診断士)

【第1回】苦労して取った診断士資格を活かしたい

取材日:2011年12月19日

皆さんは、中国・上海にも中小企業診断士の会が存在することをご存じでしょうか。今回は、同会の発起人で、朝日■酒(中国)投資有限公司上海販売部の小林伸之さんにお話をうかがいました。(■=口偏に卑)

紆余曲折の診断士受験時代

小林伸之さん

渡辺:本日は、上海中小企業診断士の会代表として、小林さんご自身のことや会の活動について、いろいろとお話をお聞かせください。

小林さんは、新卒でアサヒビールに入社されたのですよね。

小林:はい。2002年に神戸大学経済学部を卒業後、アサヒビールに入社しました。東京支社中央支店での営業研修からスタートした社会人生活でしたが、全国トップクラスの営業担当者が集まる部署で、優秀な先輩方に囲まれながらアサヒのDNAを注入していただきました。

同年秋より、東京支社吾妻橋支店で、東京・下町の代表とも言える台東区、荒川区の営業担当として、昔ながらの酒屋さんや飲食店を担当しました。当時は、酒類免許の自由化によって淘汰されていく一般の小売店や、競争に勝ち残れない飲食店店主との接点が多かったんですね。そのような過酷な状況の中、ビールの販売だけでなく、経営の視点からのアドバイスができるようになりたいという思いで、2005年から診断士資格の取得を目指しました。

渡辺:御社には、アサヒグループ診断士の会の皆さんをはじめ、数多くの中小企業診断士の先輩方がいらっしゃると思いますが、それも資格取得を目指すきっかけとなったのでしょうか。

小林:弊社には、3年目研修という同期が集まる機会があるんですね。そのときに、営業の現場だけでなく、経理部や物流部、生産部等、さまざまな分野で活躍している同期からよい刺激を受けたんです。そして、営業のことだけでなく、財務的な知識等も必要だと思い、日商簿記の勉強から始めました。「ビジネスマンとして成長したい」という思いからです。

渡辺:診断士受験時代のお話もうかがいたいのですが、小林さんは学校に通われたのですか。

小林:週末は、大手資格学校に通いました。2005年に1次試験で敗退し、翌年から導入された科目合格制で4科目合格。2006年秋に新潟へ異動になったため、通信講座を受講し、翌年は1次試験に合格するも、2次試験で2年続けて不合格となりました。この時点で、もう一度1次試験からやり直さなくてはいけないということで、資格取得をあきらめそうになりましたが、再度自分を奮い立たせて、2009年に再び1次試験に合格できました。その直後の2009年秋に、入社当時から希望していた上海駐在が決定します。ただ、当時の私は中国語をまったく話せず、言葉も「ニーハオ」と「シェイシェイ」くらいしか知りませんでした(笑)。

激変する生活環境の中、2次試験までの期間はまったく勉強ができませんでした。ただ、それまでに培った学校のメソッドを頼りに挑戦し、何とかこの年に合格できました。全受験生の中で、誰よりも高い交通費を払って受験しているんだという意地もありましたね(笑)。

当然ながら、その後の3回の実務補習も、自腹で何度も上海・東京間を往復しました。こうした苦労のかいあって、長い時間はかかりましたが、ようやく2011年4月に診断士資格を取得できました。実務補習を終えて修了証をもらったときには、涙が出そうでした。

診断士スキルは上海市場でのビジネスに活かせる

「上海中小企業診断士の会」メンバーの皆さん
「上海中小企業診断士の会」メンバーの皆さん

渡辺:診断士資格を取得されるまで、人一倍ご苦労をなさったんですね。そうした背景もあって、上海中小企業診断士の会を発足されたのでしょうか。

小林:弊社内には、企業内診断士が集まったアサヒグループ診断士の会がありますが、私は上海にいるため、活動に参加できないという無念さがあったんです。とは言え、せっかく苦労して取った資格なので、自己成長につながる場をつくりたいという思いがありました。

私のメイン業務は、中国に進出する日系外食企業に弊社の商品を取り扱っていただくことです。しかし、経営者が求めているのは、それだけではありません。上海では、日系外食企業の進出が増加していて、仕事柄、そうした企業の上海市場への誘致もお手伝いさせていただいていますが、それこそ何も現地の事情を知らない中小企業がほとんどなんです。ですから、会社設立や物件探し、出店の業態や顧客ターゲットを中国人にするのか日本人にするのかといったマーケティング施策、現地の人材採用、仕入調達、メニュー作成、店舗運営等々、経営全般のサポートが求められます。

これまでは、「これだけ買ってくれたら、プラスαで商品をサービスする」といった付加価値しか提供できていませんでしたが、いまは「提案型営業」のスタイルを現地法人の中国人メンバーにも定着させるべく、社内で勉強会をやっています。たとえば、「客単価を上げるために、どのようなセールスミックス(商品構成)にすればよいか」とか、「新規顧客を獲得するためのインターネット施策」といった内容です。こうした取組みを行う中で、中小企業診断士の知識やスキルがビジネスに活かせると実感し、上海の他の診断士と共有したいと考えたんです。

(つづく)

【参考サイト】

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