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勤務先での資格の活かし方

がんばる企業内診断士

「つぎ夢経営研究会」小売店診断チーム座談会

司会・文:渡辺まどか(中小企業診断士)

【第3回】プロジェクトを通して生じた個々の変化

取材日:2011年5月26日

「つぎ夢経営研究会」小売店診断チームの座談会の模様をお届けする最終回。今回は、企業内診断士としての診断士活動の取組みや、今後の活動についてうかがいました。

企業内診断士が診断活動で得るフィーの意味

「つぎ夢経営研究会」発行の冊子
「つぎ夢経営研究会」発行の冊子

司会:今回お話しいただいている小売店診断は、長期のプロジェクトとして進行中ですが、そうなることは最初から想定していましたか。

森:最初にヒアリングした段階で、長くなりそうという感触はありました。それはある意味、われわれが企業内診断士だからでもあるんです。本業があるゆえに、求める対価がそれほど高くない。社長にとっても、対価は払っているけれど安い。そのうえ、さまざまな人がきて入れ替わり立ち替わり、アドバイスをしてもらえる。だから、ずっとかかわってほしいと言ってもらえていますね。時間が経つにつれて、社長の中での優先順位は変わっていくものですが、それについても中間報告の場でアドバイスするので、社長はそれを受け止めながら冷静に考えを進めていけるんですよね。社長としては、相談相手が欲しいんです。

彌富:社長から奥さんや従業員に言うとケンカになったり気まずくなったりすることでも、私たちを介して伝えることで、スムーズに進むことも多いんですよね。

司会:報酬をもらえるようになったのは、いつからですか。

森:リーダーとしては、メンバーに時間とお金と体力を使ってもらっているので、手弁当はなるべく少なくしたいという強い思いがあります。1年目は丸っきり手弁当でやったのですが、2年目からは「交通費程度をいただけませんか」という交渉をして、合意を得ました。社長としても、これだけやってもらっているからということで出してくれています。

司会:それを受け取ったときは、どんな気持ちでしたか。

彌富:初めて中小企業診断士としてお金をもらえたことが、うれしかったですね。今後も、診断先がよくなっていくことが私たちの目標ですし、その結果として、自然発生的にフィーが発生すればいいのだと思います。

森:お金をもらえてももらえなくても、誰もが頑張るものです。実際のところ、高額なお金をもらえるとなると、企業内診断士はビビってしまうと思うんです。とは言え、無償でもあまりよろしくない。多すぎず少なすぎずぐらいの金額が、企業内診断士にとってはちょうどいいんです。

小売店診断を経て、自分の中で起こった変化

細木聡子さん
細木聡子 さん

司会:このプロジェクトにかかわったことで、皆さんの中でどのような変化があったのかを教えてください。

細木:実際の企業診断というものがよくわかりましたし、モチベーションも上がりました。もっと診断先に入り込んでお手伝いしたいと、まるで自分の会社のように身近に感じるようになりました。だからこそ、相手にも気持ちが伝わって、本気になってくれるのかもしれません。

森:企業内診断士として、仲間のサポートの仕方がつかめました。皆、やりたいけどやり方がわからない状態なんですよね。バラバラのメンバーでも、「こうやって進めれば、できるんだ」という自信を持てました。これからも、さまざまな企業診断をしていきたいですし、プロコンと比べても遜色ないぐらいにスキルも上がっていくのではないかと思っています。

門馬:自分の仕事とはまったく違うことをやってみて、他のメンバーのスキルに刺激を受けたので、会社とは違う世界をこれからも持っておきたいと思いました。

彌富:実際に始めてみたら、実行可能な提案をすることですぐに取組んでくれる姿を見ることができたんです。長期のプロジェクトだからこそ、診断先の方々の顔を思い浮かべて「誰がやってくれるのかな」、「これじゃやれないかな」と考えるようになりました。

司会:まさに、長期のプロジェクトだからこその視点ですよね。診断先を知れば知るほど具体的な提案ができるし、より関係も深まっていくという、とてもいい状態ですよね。

では、診断実務を実際に行った立場として、企業内診断士にとってのメリットとデメリットを教えてください。

彌富:同じ組織(会社)ではない人の考え方や、やり方を知ることができるので、本業に活かせますよね。私も、他の人の考え方の切り口などを取り入れています。

森:そもそも診断士資格をとったのは、何かに活かしたかったからだと思うんです。診断実務は、自分の成長を確認する場です。また、資格を活かして診断先のサポートをすることが、資格を取得できたことに対する社会への恩返しになるのではないでしょうか。

細木:社長と話をすることで経営者視点になるので、その視点を本業に持ち込むことができるんですよね。そのせいか、会社の人に「言うことが変わった」と言われることがあります。

司会:診断実務のデメリットはありませんか。

一同:(しばしの沈黙の後で)...思い浮かばないですね。

司会:それだけ皆さんのチーム活動が充実しているのでしょうね。

それでは、本業とプライベート、診断士活動のバランスのとり方で気をつけていることは何かありますか。特に、新婚の門馬さん。

彌富裕美子さん
彌富裕美子 さん

門馬:(満面の笑みで)まだ経験豊富ではないので、よくわかりませんね(笑)。ただ、体力的に無理をしちゃいけないとは思います。いまの時点では、それを感じたことはありませんけれど。

司会:やはり無理のないペースで活動を続けることが、本業をしながら長期のプロジェクトを継続するうえで大事なのでしょうね。

では最後に、皆さんにとっての診断士資格とは何かを、ぜひお聞かせください。

森:ステップアップしたり社内外で貢献したりするための、選択肢の1つが診断士資格だと捉えています。診断士活動を通してできた人脈やスキルが武器になると思っています。企業に勤めていても、そういった武器をもつことが、これからはますます求められるのではないでしょうか。

門馬:現在の仕事では、診断士資格を直接的に活かせているとは言えませんが、資格を取得したことによって、中小企業の経営者をはじめとする「人」に対して、自分が貢献するためのツールが1つ増えたと思っています。

彌富:中小企業診断士になったことで、生涯勉強する場をつくってもらったと思っています。資格の更新要件も最初は面倒だと思ったのですが、こんなことでもないかぎり、継続的には勉強しないですもんね。企業診断をしたりプレゼンテーションをしたり、多方面に勉強する場を与えてもらえました。

細木:私は、診断士資格は、自分自身の「将来ありたい姿」につながる扉だと思っています。そこに向かうために診断士活動を続けていくと、自然に世界が広がり、さまざまなチャンスがつかめると思うんです。

司会:ありがとうございます。どれも、「なるほど」と共感できる内容でした。

今回は、長時間にわたってたくさんの貴重なお話をうかがうことができました。企業内診断士でありながら、あまり診断士活動ができずにモヤモヤしている方にも、また現在受験生で、これから企業内診断士を目指すために具体的なイメージを持ちたい方にも、大変参考になるお話だったと思います。本日は、ありがとうございました。

(おわり)

【参考サイト】