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勤務先での資格の活かし方

がんばる企業内診断士

「つぎ夢経営研究会」小売店診断チーム座談会

司会・文:渡辺まどか(中小企業診断士)

【第1回】自分たちでつくり上げていく研究会

取材日:2011年5月26日

中小企業診断士の有資格者の内、全体の約7割を占めると言われる企業内診断士。会社員という本業を持つ企業内診断士にとって、限られた時間の中で診断士活動を継続的に行うこと自体が、課題の1つです。そこで今回は、(社)中小企業診断協会神奈川県支部で最大規模の研究会「つぎ夢経営研究会」の小売店診断チームの皆さんにお話をうかがいました。このチームは、2009年5月に発足してから長期間、継続的に活動しているのが大きな特徴です。13名の企業内診断士が集まり、いったいどのような活動をしているのでしょうか。

コンセプトがない「つぎ夢経営研究会」

小売店診断チーム座談会

司会:司会を務めさせていただく、渡辺まどかと申します。本日は、神奈川県支部所属の研究会として2009年8月に設立されて以来、爆発的に会員数を増やし、2011年6月現在で134名の一大組織となった「つぎ夢経営研究会」(以下「つぎ夢研究会」、もしくは「つぎ夢」)の会員の皆さんにいらしていただきました。ご出席いただいている4名は、設立時からその運営に携わっていると同時に、小売店診断チームの一員として継続的に活動されている企業内診断士です。本日は、小売店診断に関するエピソードから企業内診断士としての日々の過ごし方、ご自身の中小企業診断士としての今後の方向性などについても、お話をうかがえればと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

まずは、皆さんの自己紹介をお願いいたします。

森:森智亮と申します。メーカ系Slerで営業職に就いています。診断士試験に合格したのは2005年で、本業の傍ら受験校の講師も務めています。資格取得後、自社のコンサルティング部門に約3年間所属していた経験を活かし、小売店診断チームではリーダー役を務めています。

司会:森さんのパワフルさとバイタリティには、いつも驚かされます。ありがとうございます。では次に門馬さん、お願いいたします。

門馬:門馬秀憲と申します。食品メーカーで畜産物を量販店などへ販売をする営業を行っています。診断士試験に合格したのは2007年ですが、その頃は宮崎県に赴任しており、中小企業経営者である畜産生産者と接することが多かったため、経営的な視点を学び仕事に役立てたいと思ったことが、診断士を目指したきっかけです。2009年に横浜に異動になり、同じく営業として勤務し現在に至ります。

司会:生産者に近い立ち位置でお仕事をされているわけですね。門馬さんは新婚ホヤホヤなので、幸せオーラが全面に出ていてうらやましいかぎりです(笑)。家庭生活と診断士生活の両立についても、お話を聞かせてください。それでは彌富さん、お願いいたします。

彌富:彌富裕美子です。自動車部品の製造販売をする外資系会社に勤めています。2年前から、人事部で新卒採用を担当しています。中小企業診断士との出会いは、MBAに興味を持ったことで、この資格も知ったのですが、勉強を始めてみたらとても楽しくて、どんどんモチベーションが上がっていきました。診断士試験に合格したのは2007年で、企業内で仕事をしながら診断士活動をしています。

司会:仕事と診断士活動の両立の仕方についても、ぜひ聞かせてください。それでは細木さん、お願いいたします。

細木:細木聡子です。通信系会社に新卒で入社して以来、主にSEの仕事を担当してきました。SEの仕事を通して、お客様とコミュニケーションをとり、システムに関するコンサルティングを行っているうちに、「システムだけに特化したコンサルでいいのか? もっと幅広い分野でお客様の役に立つことができたら」と思ったんです。書店で見た合格体験記に載っていた、20代女性の「日本の大半を占める中小企業をサポートすることで、日本を元気にしたい!」という言葉にめちゃめちゃ共感して、本格的に診断士資格を目指すことにしました。門馬さん、彌富さんと同じ2007年の試験に合格し、その2年後に異動して、いまは新しいビジネスやソリューションを企画する部署に所属しています。それ以外には、コーチングをベースにしたコミュニケーションのセミナー講師の認定をとりました。

司会・筆者
司会・筆者

司会:仕事と家庭、診断士活動にとどまらず、コーチングも学ばれて素晴らしいです。その意識の持ち方についてもぜひ、お聞かせください。

ではさっそく、本題に入ります。「つぎ夢研究会」は、発足から2年少々の新しい組織で、皆さんも立ち上げ時から運営にかかわっていらっしゃいますよね。発足の経緯や活動内容について、お聞かせください。

森:「つぎ夢」は、受験校の同じ講師であり、現在会長を務めている高久広さんと一緒に、「受講生との出会いを大切に」をコンセプトに立ち上げました。講師をしていても、合格者のフォローまではできないんですよね。むしろ、資格をとった後が大変なので、合格者の受け皿をつくろうと考えたんです。元受講生のポータル的な位置づけですね。研究会の目的は、あえて固定させていません。なぜなら、皆でつくっていく組織でありたいからです。活動内容としては、2ヵ月に1回の定例会では、会員が持ち回りで研究発表を行っています。また、外部講師を招くときもあります。それ以外に、コンサルティングのプロジェクトが2、3件進行中です。この小売店診断チームも、その1つです。最近は、さらにパワフルに活動しようということで、研究会のメンバーが各々興味のあるテーマで分科会を作り、スキルや実績を深めて行こうという試みもスタートしたところです。

司会:設立から2年という短期間で、134名の大組織になってしまいましたね。「つぎ夢研究会」のいいところは、どんなところですか。

彌富:以前、スポットの実務従事に参加したことがありました。でも、その場かぎりの人間関係で終わってしまって、続かないんですよね。その点、「つぎ夢」は受験生時代からの知り合いが多く、長期的な関係を築いていくことができます。それに、研究発表というプレゼンテーションの機会も得られる点がいいですね。

細木:私は資格をとった後、研究会探しを結構やりました。でも、どうもしっくりこない。元気に活動しているところがあまりなかったんです。でも「つぎ夢」は、一緒に合格した仲間もたくさんいるし、つくっていくところから参加できるので、「何でもできそう」って思えるんです。他の研究会は、すでに存在しているところに自分が入っていって適合することが必要なので、それが大きな違いだったと思います。

司会:たしかに、研究会の発足時からかかわれることは、稀ですよね。自分たちでつくっていく研究会であるというところにも、大きな魅力を感じます。

研究会員同士の企業診断のメリット

門馬秀憲さん×森智亮さん
門馬秀憲さん×森智亮さん

司会:次に、皆さんが活動している小売店診断についてうかがいます。プロジェクトが始まった経緯を教えてください。

森:2009年に診断士登録した元受講生の「せっかく合格したんだから、企業診断がしたい」という言葉が始まりでした。彼のお母様からの紹介で、診断先の日用品店を2人で訪ねました。まだ「つぎ夢」ができる前の話です。診断先の要望・悩みは、「いま、売上が落ちてきている」、「何とかして売上を伸ばしたい」、「店舗を改善したい」、「このまま将来にわたって経営を続けてもいいのだろうか」といったことでした。その後、「つぎ夢」が立ち上がったのをきっかけに、診断メンバーを募集することにしました。企業診断をやりたいと思ったところで、企業内診断士にはさまざまなハードルがあるものです。「診断案件が少ない」、「でも、実務ポイントは欲しい」、「1人での診断業務はこわい」といった意見がある中、だったら皆でやろうと思いました。ちょうど人手も足りませんでしたし、賛同してくれる人はきっと、意識の高い人だろうとも思っていました。このような経緯で、「つぎ夢」が正式に設立される前の2009年5月にプロジェクトがスタートしました。最初にやったのは、小売店の店舗調査、お客さんへのアンケート調査、通行人へのアンケート調査などで、同年6月~8月にかけての暑い時期でした。

司会:企業内診断士の方からは、同じような悩みをよく聞きます。でも、同じ研究会のメンバーとなら、不安も軽くなりそうですね。実際に診断プロジェクトに参加してみて、どうでしたか。

彌富:すでに顔を知っていて、人間関係もできているので、無駄なエネルギーが必要なくて楽でした。消費者に直接商品を売る小売店は商売の基本なので、その基本を学びたかったんです。それに、なぜ商店街が廃れているのかという理由も探りたかった。診断先も商店街に立地しているのですが、御多分にもれずの状態でした。私もつい大型店舗に足が向いてしまうのですが、そうした自分の行動分析や消費者の行動分析を改めてしたかったんです。

門馬:プロジェクトに参加して最初にやったのが、アンケート調査でした。私は診断業務に慣れていなかったので、とても入りやすかったですね。そこからスタートして、仕事をつくっていくのも面白そうでした。

森:アンケート調査って、あまり面白くないじゃないですか。でも、このプロジェクトのメンバーを募集したときは、あえて「アンケート調査員募集」にしたんです。面白くないことに手を挙げてやってくれる人は、モチベーションの高い人たちなんじゃないかという考えがあったんですよ。

司会:なるほど。そういった裏話があったんですね。細木さんは、どうですか。

細木:私は、森さんに誘われて途中で参加したんです。「POSレジを導入したいんだけど、なかなかできない」という課題を解決することが求められていたので、SEとしての自分のノウハウが活かせるんじゃないかと思いました。ただ単に実務ポイントを稼ぐだけでは嫌だったのですが、このプロジェクトについては「本気になって支援先を幸せにしたい」と思えたので、参加することにしました。

(つづく)

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