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書籍出版とその後の変化 ―「アサヒビールグループ診断士の会」執筆者座談会

司会・文:渡辺まどか(中小企業診断士)

【第1回】書籍=診断士の仕事術満載の事例集

取材日:2011年1月13日

2010年8月、書籍『職業、企業内診断士』(同友館)の出版をきっかけに、中小企業診断士業界で一躍有名になった「アサヒビールグループ診断士の会」。執筆メンバーはいまや、講演やセミナーの講師として、あちこちに引っ張りだこです。今回は、その中から9名にお集まりいただき、座談会を行いました。第1回の今回は、書籍発売前後のエピソードなどをうかがいました。

予想を上回る売れ行き

司会:皆さんが執筆なさった書籍『職業、企業内診断士』ですが、予想を上回る売れ行きで、昨年末には増刷されたそうですね。ズバリ、売れた理由は何でしょうか。

松浦端さん
松浦 端 さん

松浦:いくつか理由はあるのですが、まず1つは、周りの方のご協力により、しっかりとした広報活動ができたことです。具体的には、診断士受験502教室や、有名ブロガーの記事に取り上げていただいたこと。これらの記事を読んで買ってくださった方が多いとうかがっています。また、Amazonのカスタマーレビューも10名ほどの方に書いていただいていますが、ありがたいことにいずれも高評価です。

もう1つは、『職業、企業内診断士』というタイトルが、いままでにないキーワードで、世の企業内診断士の方々にもスポットが当たったということですね。この言葉が、社内でくすぶっている企業内診断士にダイレクトに届き、多くの方がお手にとってくださったようです。

成塚:執筆当初、「いったい誰が、この書籍を買ってくれるんだろうか」と想定したときに、企業内診断士と、これから診断士になって活躍したいと考えている中小企業診断士受験生だろうと考えました。ですから、あまりかっこいいことではなく、ありのままの姿を書くことにしました。その結果、読者の方に伝わりやすい内容になったのがよかったのかもしれません。とは言え、やはり最初に買ってくださった方や私たちの知り合いが、「この本はいい」と情報発信してくださって、そこからの口コミが購買につながっていったことの影響が大きかったと思っています。

司会:特にどの部分が、読者の方に響いたのでしょうか。

松浦:さまざまな読者の方の声を聞いたのですが、人によって「あそこがいい」、「ここがいい」と、いただく感想がバラバラなのです。たとえば、取引先やグループ会社の企業診断を行ったときのエピソードがよかったという方もいれば、受験生時代の話がいいという方もいらっしゃいます。また、診断士受験で得た知識をどのように実務に活かしているのかが興味深かったという方もいらっしゃいました。とてもじゃないですが、1人で書いてもこんな反響は得られません。メンバーとの共同執筆だからこそ、読者のさまざまなニーズにフィットしたのではないでしょうか。

成塚祐介さん
成塚 祐介 さん

成塚:「診断士的仕事術」のようなパートが面白かったという話も聞きました。要は、広い読者層に向けた事例集のような位置づけになったのではないでしょうか。読者の方は、ご自分のニーズに合わせて共感・イメージすることができるのかもしれません。

司会:メンバーによる共同執筆であるがゆえ、さまざまなパターンがあってよかったということですね。たしかに、診断士的仕事術のノウハウ本と言える内容の豊富さです。バラエティに富んだ執筆陣による、広い読者層に向けた情報発信という意味では、いま大人気のアイドルグループともかぶる部分が大きいように思います。

一同:そうですね。まさに、そんな感じです。

松浦:今度、執筆メンバーの人気投票でもやりましょうか(笑)。

司会:では今度ぜひ、企画しましょう(笑)。

「1冊でも多く」届けたい

司会:さて先ほど、ブログやAmazonのレビューの影響による口コミ効果が大きかったというお話がありましたが、ご自身たちでは、どのような販促活動をしましたか。

落藤正裕さん
落藤 正裕 さん

落藤:発売前に、友人・知人にメールをしまくりました。また、各々が所属する研究会のメーリングリストでも告知し、ありがたいことに何人かの方からお返事をいただいて、確かな手ごたえを感じました。このような取組みをメンバー全員が行いましたので、広い周知ができたのだと思います。発売直後の動きが今後の売れ行きの命運を分けると認識していたので、そこにかけたのです。知り合いへの告知の際には、たくさん陳列してくださっている書店名をあげて、そこでのご購入をお願いしました。自ら書店に出向き、購入もしましたね。そのかいあってか、某大手書店の政経ビジネス部門では、週間売上BEST11にランクインすることができました。実際に研究会や懇親会に出向き、出版のエピソードなどをお話しさせていただくことも多かったですね。皆さん、興味深く聞いてくださいました。

司会:書籍って、出した者勝ちではないですけど、そこまで必死になって販促活動をしない著者もたくさんいると思うんです。皆さんはなぜ、そこまで「売る」ことにこだわり、責任を持てるのでしょうか。

松浦:私たちはビール会社の社員なので、1本でも多くの商品をお客様のもとに届けたいという思いを持っています。つねに売上データも気にします。職業柄、日々の売上を気にする習慣が身についているのです。ですから、本も出しっ放しにするのではなく、どのような人のもとに届いているのかというところまで気にするのです。

大西:メンバーは皆、執筆と全体調整で大変苦労したんです。だからこそ、より多くの人に読んでいただきたい、触れていただきたいと、全員が思っていました。それが、アサヒビールの社風と相重なって、「1本でも多く」と同じように、「1冊でも多く」届けたいという思いにつながったというのもありましたね。

金田:社風の影響は、たしかに大きいですね。私たちメーカーの人間は、商品を出したら、それを実際に売場で買うんです。自分たちでお客さんとして売場に行き、買ってみる。ですから、ふだんから自社商品を買うことに対して、まったく抵抗がないんですね。

司会:なるほど。アサヒビールさんだからこそ売れたというのは、納得ですね。では実際に、この書籍はどのような方に読んでいただいているのですか。

大西:当初は、他社の企業内診断士の方の活動のヒントになればと考えていたのですが、実際には独立診断士や受験生、中小企業診断士資格に興味を持っている方や学生など、ニッチなタイトルの割には幅広い方にお読みいただいています。また、私個人として印象的だったのは、以前仕事でお世話になった他企業の要職の方が、社員向けにとまとめ買いしてくださったことですね。中小企業診断士という枠にはおさまらない、一般企業の方に高い評価をいただいたのは、非常に嬉しかったです。後日、追加でご注文いただいたときには、私のサインを入れて贈りました(笑)。サインをするなんて、めったにないことですよね。

金田:中小企業診断士の同期で買ってくれた友人がいたのですが、この本がきっかけで、他企業でも弊社と同じような診断士会が立ち上がったと聞きました。いままで社内でくすぶっていた企業内診断士に光が当たったというイメージでしょうか。私の場合、仲間たちに出版記念のお祝いもしてもらいました。そのときは、ベロベロに酔っ払っている中、無理矢理サインを書かされたので、もう二度と同じものは書けないですね(笑)。やはり、自分が書いたパートをほめてもらえるのも嬉しいものです。

司会:それは嬉しいですよね。ほかに、読者の方からいただいた感想やフィードバックで印象的だったものは、何かありましたか。

松橋:私は、交流の途絶えていた中小企業診断士仲間から、連絡がきました。この本を媒介して、人と人とがつながっていくのを実感しました。

私の場合、受験生の方々とお話しする機会があったのですが、やはり企業内診断士を目指している方が多いんですよね。ある受験生の方からは、資格を取ったところで、いったいどう活かせばいいものかと、漠然と抱いていた疑問に対し、この本から具体的な解決策を得ることができた、明確なビジョンを持てるようになったというコメントをいただきました。これは、非常に印象的でしたね。

(つづく)

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