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企業内診断士3年生の今を追う ―『企業診断ニュース』連載「広がれ、企業内診断士の輪」番外編

文:櫻田 登紀子(中小企業診断士)

【第3回】「企業内診断士の"問題"を解くキーワード」

取材日:2010年10月21日

前回は、晴れて中小企業診断士となってからの、社内外でのご活躍についてお聞きしました。しかし、「資格を取れば、バラ色の診断士ライフが待っている」というわけではありません。最終回では、企業内診断士の抱える問題点と可能性、そして夢についてお聞きしました。

企業内診断士につきつけられる難問

司会:これまで素晴らしいご活躍をしてこられた皆様ですが、企業に勤めながら診断士活動をするうえで、さまざまな問題点もあると思います。具体的には、どのようなことがあるでしょうか。

斎藤:会社の業務を抱えていますから、2つの制約があると思います。1つは時間の制約、もう1つは会社の兼業禁止規定による制約です。

司会:では、時間の制約については、どのような工夫をされていますか。

笠井:私は子どもが生まれてから、子どもの寝る時間に合わせて就寝することが多くなりました。そのため、早起きして、子どもが寝ている時間に自分の時間をつくるようになりました。場合によっては、3時や4時に起きるときもあります。

佐藤:私も朝型人間です。夜は毎日11時に寝て、朝5時半に起きます。朝の早い時間を使ったり、休日の午前中はカフェに行ったりして、集中して作業をしています。

斎藤:私も朝型ですね。寝るのは夜の10時か11時で、起きるのは5時くらいです。3時、4時は無理ですが...。

堀之内:皆さん、よく起きられますね(笑)。私は、土日にまとめて作業することが多いです。

司会:では、斎藤さんからお話しいただいた2つ目の制約についてお聞きします。

笠井:企業に属するからには、企業のルールにしたがう必要がありますので、それに沿ったうえで診断士活動をしなければなりませんよね。

斎藤健さん/笠井究宣さん
斎藤 健 さん / 笠井 究宣 さん

斎藤:だんだんと、兼業禁止規定が緩やかになりつつある時代の流れは感じます。さらには、中小企業診断士という資格の知名度が上がり、「中小企業診断士の活動であれば...」と理解されるようになってほしいと思いますね。

笠井:おっしゃるとおり、年功序列の組織モデルからフラット化が進んだこともあり、各個人が自律したビジネスマンであるために、副業を解禁する会社も出てきましたね。診断士活動が理解されるためには、まず、企業内でしっかり活躍することが重要ではないかと考えています。大企業でも、経営的視点を持って行動できる人材が求められていますので、今後はそういう意味で、企業内でも中小企業診断士が活躍するフィールドはたくさんあると思います。

たとえば、事業部制組織をとっている企業では、部署単位で収益性が求められますし、その規模が中小企業レベルの場合も多くありますので、自分の所属している部署を支援先の企業に見立てて行動するのも、1つの方法だと思います。

司会:NECには、「診断士会」があるそうですね。

堀之内:はい。平成22年4月に有志の中小企業診断士によって発足され、私も入会しました。社会起業家支援や簡易診断、受験生支援、定期的な情報交換、異業種交流など、幅広く活動しています。同年8月に行われた6企業グループ合同の交流会には、私も参加しました。

司会:会員は、何人くらいいるのですか。

堀之内:グループ会社も含め、約70人で活動しています。

佐藤:そんなにたくさんいて、うらやましいです。私は、おそらく本社では唯一の中小企業診断士です。でも、私も社内で啓蒙活動をしていましたら、この資格に興味を持つ人が出てきて、テキストを貸すなど、少しずつですがネットワークができ始めています。

司会:企業内診断士の活動にとって、資格の更新要件である実務従事ポイントを確保するために、チーム活動は切り離せないと思うのですが、チームづくりで心がけていることはありますか。

斎藤:私は、1つのチームを5人から多くて7人くらいで構成するのですが、知識ではなく、やる気や貢献意欲のレベルを合わせるようにしています。また、人数が多くなった場合、「もたれ合い」の弊害が出ないよう気をつける必要があると思います。

佐藤:コンサルティング期間が長期になってしまうと、モチベーションが下がることもあるので、適度な人数で短期集中してやるのが、一番よいのかなと思います。

堀之内:でも、中小企業診断士には前向きな方が多いので、チーム活動もやりやすいですね。同じコンサルティングでも、社外の活動は、会社ではできないような経験ができて、自分の領域を広げられるのがよいと思います。

解決のキーワードを探して

司会:最後に、皆様の夢と、皆様が考える企業内診断士の可能性について聞かせてください。

笠井:私は、コンサルタントとして、世の中のお役に立つことが夢です。中小企業診断士になってから、仕事の内容が少しずつ変わってきました。特に、担当するコンサルティング案件を増やすことができました。それはある程度、資格が認知されたことも1つの要因になっていると思います。これからは、システムの領域から経営の領域に、少しずつ仕事の幅をシフトしていければと思っています。

斎藤:企業内診断士のグループによる診断活動の仕組みをつくるのが、私の夢です。自分の知識や経験を役立てたいと思っても、1人でできる範囲は限られますし、同じ希望を持ちながら時間の制約があって実行できていない企業内診断士は、たくさんいます。

たとえば、コマ切れの時間であっても、10分の1人が10人集まったら、1人前の仕事ができるというような、企業内診断士のwill/skillを社会に役立てる組織や仕組みをつくりたいと思っています。それから、商社の経験を活かした海外展開支援もやってみたいですね。

佐藤暁子さん/堀之内寛さん
佐藤 暁子 さん / 堀之内 寛 さん

佐藤:私は、短期的にはグローバルな現場経験を積みたいという思いがあります。現在の業務では、中小企業診断士の知識を活かすことができていますので、この仕事を極めるためにも、現場経験を積み、現場のわかる企画スタッフとして業務に携わりたいと思っています。

また将来的には、製造業に従事した経験を活かして、10分の1人の力でも、海外とビジネスをしたいと考えている日本の製造業の支援ができたらと思っています。企業内診断士だからこそできることは、会社の業務をしながら、中小企業診断士としての夢も実現できることだと思います。

堀之内:私は、多くのお客様に「ありがとう」と言ってもらえる仕事がしたいと思っています。NECというブランドがあるからこそ、個人の独立診断士ではできないような規模の大きな事業に携われ、実力をつけていくことができるのが、企業内診断士のよさだと思います。その結果、多くの消費者や多くの企業で働く方々の支援ができることは、とても光栄なことです。新たにできた「診断士会」によって、社内で新しいネットワークづくりができるようになったことにも、大いに期待しています。

司会:本日は、ありがとうございました。

今回は、同期の中小企業診断士4名の座談会で司会をするという、貴重な時間を過ごすことができました。この資格を取らなければ出会えなかったであろう同志たちとの真面目な座談会は、お互いに少々面映ゆく、少々ぎこちなく進んだような気がします。

中小企業診断士となって3年目の私たちが、これまでの歩みをリアルに語ることで、皆様に何かを発信したいと臨みました。まだまだ発展途上の私たちですが、今日の思いを大事に、これからも社会に役立つ中小企業診断士でありたいと気持ちを新たにしています。また、企業名を公開できないために、出席を断念せざるをえなかった方もいらっしゃいました。この座談会のために、時間をとっていただいたすべての皆様に、感謝申し上げます。

(おわり)

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笠井 究宣(かさい さだのり)
みずほ情報総研(株)勤務。慶應義塾大学大学院理工学研究科修了。39歳。
斎藤 健(さいとう けん)
住友商事(株)勤務。東京大学経済学部卒。団塊世代の61歳。
佐藤 暁子(さとう あきこ)
日本ケミコン(株)勤務。国際基督教大学教養学部卒。28歳。
堀之内 寛(ほりのうち ひろし)
日本電気(株)勤務。筑波大学第三学群情報学類卒。33歳。