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独立直後の診断士をレポート

駆け出し診断士の奮闘記

<駆け出し診断士の奮闘記(10)>-特別編:杉本健志さん-

取材・文:平井 彩子(中小企業診断士)

【第3回】自分の意思でやりたい仕事を作り出していく

―どのように営業活動をされていますか。

営業活動は余りしていませんね。中小企業診断士として売り出していくためには執筆や講演などもあるのでしょうが、3年目の今もまだ殆ど経験はありません。ただし、当たり前のことですが、ご依頼をいただいた仕事は、誠心誠意遂行することを心がけています。

―独立した感想はいかがですか。

1人になった感想は、楽しい、自由だということですね。これまでも自由なサラリーマン生活(笑)でしたが、何から何まで1人で行う仕事は面白いです。先のことはあまり不安視していません。

―中小企業診断士の仕事は想像していたとおりでしたか。

中小企業診断士の仕事は、イメージどおりでした。1人になるのは楽しいですが、大変な事でもあります。サラリーマン時代は「会社は守ってくれない」と思っていましたが、親が死んでから親のありがたみを知るのと同じように、辞めてからわかる会社のありがたみですね。会社は守られた環境でした。何か成果物を作るにしても、自分の手が足りなければ部下に頼めましたが、いまは自分でやらなくてはならない。「明日までだぞ」、「ハイ」と1人コントをしていますね(笑)。それも含めて楽しんでいます。

中小企業の経営課題は、どの会社を取ってみても、同じわけではありません。どこが課題で何が原因かを経営者と一緒に解決していく点で、とてもいい仕事です。経営者の年齢も性別もさまざまですが、自分が“スッと入っていけるかどうか”が大きなポイントです。時間的制約がある中で、できるだけ寄り添い、本音を聞き出して、そこから解決を一緒に図っていけるように心がけています。

―以前の仕事と共通点はありますか。

これまでの仕事と重なるところもありますよ。アーティスト、演者、総称してクリエイターですが、“自分はこういうものを作っていきたいんだ!”という思いはあっても、なかなか実現しないときにどうすれば形にできるか、どうすればヒットが生まれるかを一緒に考えていくのは、同じだと思うことはありますね。

クリエイターの感性を十分に引き出せているか、外部要因、内部要因はいつも見ていました。それをわからずに、ヒットは打てませんから。

―現在はどのようなお仕事を手掛けていらっしゃいますか。

今でもコンテンツビジネス業の経営革新支援などが多いですね。でも、なんでもやりますよ!直近では、岩手県の舞台制作会社の起業支援、都内のイタリアンレストランの開業支援なども行わせていただきました。現在は、建設業の経営改善支援や起業セミナーの講師などをやらせていただいています。

どのような仕事でも心がけている事があります。それは大雑把に言えば「ことの本質」と「マーケティングのストーリー」です。例えば「音楽」を例にとると、この間までCDを買っていたのが、音楽配信サービスになり、媒体がパソコンからスマホになり、1曲いくらで買っていたのが月額になり…と、テクノロジーやシステムの変化によって消費が変わっていきます。CDが売れない、配信も難しいという環境変化がおきています。ですが、音楽が根本的には人を楽しませることに変わりはありません。「ならば、どのように楽しんでいただくか」という新しいストーリーを考えだしていくのが命題になるわけです。

また、過去の道筋をたどってみるのも勉強になります。例えば「映画」。映画館に行かなくても、ビデオを買わなくても、スマホで見られるようになっている。それでも皆さん、まだ映画を観に行くじゃないですか。一時は不況になった映画は客を呼び戻すために何をしたのか、そこから学ぶこともあるのではないか、といったように、苦しい業界の中でも、これまでどのような軌跡をたどってきたのかを考えることも支援に活かせるのではないかと考えています。

―今後、独立を考えている方にアドバイスをお願いします。

独立前、もし稼げなかったら、アルバイトにでも行こうかと思ったことはありました。ただ、始めてみたらそんな考えは消えてしまいました。もちろん、アルバイトが悪いわけではありません。でも、いまでも奥さんには言われます。1日2~3時間しか仕事をしないこともありますから、「暇だったら、アルバイトをしたら?」と。約30年来のサラリーマン生活を見てきた奥さんですから、家にいるのがなじまないのでしょうね。というのは、我が家の笑い話ですが…。

働き方に多様性は必要ですね。独立することが多様性とは言いませんが、会社に勤めていると、働き方や思考が硬直化してしまいがちです。“次に何をしよう”と、自分の意思でやりたい仕事を作り出していくことは大切だと思います。
私は、これまで好きなことをやってきましたので、悔いがありません。好きなことだったら、苦労しても続けられると思います。しかし、誰もがみんな、好きなことばかりできるわけではありませんので、私のようにとは申しませんが、もしも迷われている方がいたら、向いている・向いていないは後回しにして、面白そうだな、楽しそうだなと思っていることをやってみたらいいと思います。

(おわり)

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