経営コンサルタントの国家資格”中小企業診断士”の情報が満載です。 中小企業診断士の広場

中小企業診断士の広場

独立直後の診断士をレポート

駆け出し診断士の奮闘記

<駆け出し診断士の奮闘記(10)>-特別編:杉本健志さん-

取材・文:平井 彩子(中小企業診断士)

【第1回】これからの人生、もう1つ楽しいことを見つけたい

取材日:2015年7月16日

杉本健志さんは、大学卒業後の1983年4月に、山武エンジニアリング株式会社(現・アズビル)に入社。音楽業界への思いを捨てきれず、1986年に株式会社CBS・ソニー(現・ソニー・ミュージックエンタテインメント)に入社し、音楽作品のディレクターとして数々のヒット作品を生み出します。
また、ゲームコンテンツなどデジタルコンテンツの分野や映像作品分野においても、企画開発からマネジメントにおいて活躍。2012年12月に、早期退職制度を利用してサラリーマン人生にピリオドを打ち、中小企業診断士として独立し、現在は、コンテンツを活用したマーケティング戦略支援、ヒット商品・新サービス創出など中小企業支援の最前線でご活躍中です。
第1回は、中小企業診断士を目指したきっかけや音楽業界でのお仕事についてお話しいただきました。

―中小企業診断士を目指したのはいつのことですか。

中小企業診断士を目指したのは、48歳のときです。「私の会社員人生も、あと10年ちょっとなのだな」と思うようになりました。定年は当時60歳でしたから、あと10年、その後どうするのかと考えるようになったわけです。

もう1つ大きな背景として、子どもたちが大学院や高校の受験ラッシュで家の中が勉強一色のムードでした。もう子どもも大きくなっていますし、一緒に遊んでくれず、寂しくなってしまったので、自分も勉強しようかなと思い始めました(笑)。あと、これからの人生、もう1つくらい楽しいことを見つけられないかなとも思い勉強を始めたのです。

そこで勉強するなら何がいいかを考え、大学時代もあまり勉強しませんでしたし、もう一度勉強する価値のあるものを考えたときに、中小企業診断士の科目が大学の1・2年の教養で勉強する内容と非常によく似ていたのと、仕事に役に立つと思い、中小企業診断士を選びました。

―仕事をしながらの勉強は大変だったのではありませんか。

勉強を始めてみたら案の定何もできず、中小企業診断士の受験校に通いました。とは言え、当時は株式会社アニプレックスというグループ会社で実写映像部門の責任者になっていましたから、休日も無いような生活で、受験校にはほとんど通える状況ではありませんでした。

でも40代後半になって、仕事や友人以外の付き合いで、職業も年齢も千差万別なグループに所属するというのは、この勉強を始めて受験校に行かなければ体験できなかったと思うのです。すごく楽しかったですね。年齢や背景の異なる人たちが、同じ目標に向かって勉強しているというのはなかなか得難い体験で、それが1つのモチベーションになりました。

中小企業診断士の勉強は苦しかったですが楽しかったですね。自分にとって勉強を始めた時期もいい頃合いだったかなと思いました。アカデミックなことは、本を読んだりして勉強しなければ入ってきませんが、経営者の悩み事に関しては、「年の功」と自分で言うのも可笑しいですが、「わかるわかる」という感じで、すんなり入っていけました。

―独立をしようと思っていらっしゃったのですか。

どちらかと言うと“もう一度勉強がしたい”という思いが、ウエイトとしては大きかったです。30代の頃には見えていなかったゴールが、50歳目前になって見えてきた、だから何か勉強してみようという思いです。ですから、独立しようという思いはそのときはありませんでしたね。

実際に中小企業診断士の方々がどのような仕事をしているかは、具体的につかめませんでした。この資格を取ることによって世の中の役に立つのかな、という漠としたイメージがあった程度です。

―音楽業界に入ったきっかけや、お仕事についてお聞かせください。

学生の頃にコンサート運営のお手伝いをしていました。卒業後は音楽とは関係のない世界へ向かいましたが、結局はそれを生業にしたくなり、この世界に戻ってきた形です。

会社には27年間勤め、音楽、ゲーム、映像の順番で制作を担当してきました。ゲーム機の新たな流通チャネルを作るための営業を1年間経験していますが、それ以外は制作です。 制作の現場は1人ではできません。ディレクターやプロデューサーはプロジェクトマネジメントをしなくてはならなくて、そのことについては若いときから鍛えられましたね。全員を引っ張っていくことを、割と若いときから自然と経験してきました。

音楽というと華やかなイメージで見られがちですが、とりわけ人との関係づくりを大事にしていかないと成り立たない仕事だなと思いました。

―一般的には特殊な世界に感じますが。

音楽業界は特別な目で見られることが多いですね。たしかに、製造業やサービス業とは少し違いますが、どんな仕事でも、人と人の結びつきが仕事に活かされるという点に関しては同じですし、この業界ではとてもそれが強い傾向にあります。

アーティストや俳優、音楽や映像コンテンツは物ではありませんが商品です。言い方は失礼ですが、生きた人を商品として取り扱うのですから、お互いに理解を深めないといけない。また、音楽や映像コンテンツは、見たり聞いたりはできるけれど、触れることはできない。それだけに、人とのかかわりが濃密になるのです。

アーティストや俳優と一緒にお互いにわかり合って1つの作品を作り出すというのは苦労はしますが、ものすごく楽しいところです。

―中小企業診断士の仕事は、以前の仕事と通じるものがありますか。

試験合格後の春に実務補習が3回行われました。そのときふと考えてみると、自分がこれまで付き合ってきた会社のほとんどが中小企業だということに気づきました。

ちょっと大きくても番組制作会社やプロダクションなどは、多くても従業員は100人くらい。中小企業診断士の資格を取る以前から20数年間、実際に自分がさまざまな形でそういった企業とのお付き合いをしてきたことを改めて感じました。

また、実務実習で経営者へヒアリングをする際も、これまでの経験から経営者の悩みを理解できる部分があるとわかり、自身の中小企業診断士としての活動が見えてきたような気がしました。

(つづく)

【お役立ち情報】

【関連情報】