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独立直後の診断士をレポート

駆け出し診断士の奮闘記

<駆け出し診断士の奮闘記(7)>

文:大森 渚(中小企業診断士)

【第2回】販売促進専門の中小企業診断士へ[2]

第2の壁―プロフェッショナルとアマチュアの壁

大森渚さん
コンサルタントと制作会社代表の
2つの顔を持つようになる

たしかに、私には通信販売会社のWebディレクターの経験がありました。しかし、Webディレクターの仕事は、構成やコンテンツを考えたり、デザイナーさんに指示を出して進捗管理をしたりすることで、実際に手を動かすのはデザイナーさんです。独学で何とか、Web制作や画像加工のソフトを使えるようになってはいましたが、レイアウトの微妙な配置やカラーデザインについては素人です。それでも採用してくださるお客様はいらっしゃいましたが、こだわりのあるお客様にはデザイン面で満足いただけず、クレームが生じることもありました。そして何より、私自身が自分の提供するデザインの品質に満足できませんでした。

そんなとき、学生時代からの友人で、パンフレットやパッケージのデザインをしているSさんに、「一緒に仕事をしないか」との誘いを受けました。慣れない制作作業に疲れ始めていた私にとっては、救いの言葉でした。そこから、「自身はコンサルティングと企画を行い、デザインはプロに任せる」という現在のスタイルが確立されました。

その後、デザイン事務所を訪問したり、異業種交流会でクリエイターの方と積極的に名刺交換をしたり、周りからクリエイターの方を紹介していただいたりといったことが重なり、最初に声をかけてくれたSさんを筆頭に、グラフィックデザイナー、Webデザイナー、カメラマンなど、10名以上の優秀なクリエイターの方々が集まりました。こうして、まだ独立間もない個人事業主でありながら、第一線のクリエイターの方々にいつでもお仕事をお願いできる体制が固まっていったのでした。

第3の壁―業者とコンサルタントの壁

このように、コンサルティングから企画、制作までを一貫して行う体制を徐々に整えていったのですが、そのことによって新たな悩みが発生しました。「コンサルタントが制作まで行ってしまうと、コンサルティングという名目で制作事業の営業をしているように見えてしまう」という悩みです。

「コンサルタントの話は聞くが、業者の話は聞かない」という経営者は多いもので、先ほどまで私の話にうなずいていた経営者の方が、具体的な制作の話をすると、とたんに白けた顔になってしまうことも多々ありました。これについては、「コンサルティングの目的は、お客様の問題を解決する最善の方法を提案することであり、自社の利益を優先することではない」という立ち位置をとることにしました。

そのために、無料ツールの活用や他社のサービス紹介も含めた提案を複数ご用意し、その中から選んでいただくようにしました。もちろん、適切な方法が見つからない場合は、制作まで自社で請け負うようにしました。つまり、「制作は他社に依頼されても、一向に構いません。弊社をご希望の場合は、最後まで責任を持ちます」というスタンスです。不思議なもので、このように余裕を見せることで、かえって信頼していただけることが多くなり、コンサルタントの仕事も企画制作の仕事も少しずつ増えていきました。

私は、これらのたくさんの壁にぶち当たりながら、コンサルタントと制作会社の代表という2つの顔を持つようになっていきました。次回は、なぜ個人事業から法人にする決心をしたのか、また、なぜ「人を雇う」という決断をしたのかについて、お話ししようと思います。

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(つづく)