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独立直後の診断士をレポート

駆け出し診断士の奮闘記

<駆け出し診断士の奮闘記(5)>

文:野村 幸司(中小企業診断士)

【第1回】「一生懸命頑張る経営者を本気で応援したい!」[2]

大自然に魅せられて北海道・十勝で独立

独立を意識してマスターコースに参加

マスターコースでのプレゼンの一コマ
マスターコースでのプレゼンの一コマ

私は合格後すぐに、北海道の支店へ転勤となりました。その支店では、融資課長というポジションで融資審査のほか、東京での支店と同様に事業再生や債権回収業務を行っていました。

診断士資格の勉強を2年間続けてきたこともあり、自己研鑽も含めた知識のブラッシュアップのため、勉強を継続したいという思いが強くありました。また、お取引先の経営者のように、自分の名前で仕事をすることに対する憧れも抱くようになってきました。この頃から、漠然と独立・起業を思い描いていたのかもしれません。

北海道では学びの場も少なく、知的欲求を満たされないという思いがあり、また「いつかは中小企業診断士として独立したい」という思いも芽生えてきました。そして独立診断士としてのスキルを身につけられると思い、インターネットで偶然見つけた(社)中小企業診断協会東京支部中央支会(現在の(一社)東京都中小企業診断士協会中央支部)の「夢をカナエル! プロコン養成マスターコース」に参加しました。毎月1回、北海道から東京まで通い、セミナー講師や執筆に関するスキルをメインに1年間学びました。

そのマスターコースには、私と同じような企業内診断士、これから独立を目指している方、すでに中小企業診断士として独立している方等、さまざまな方が参加していました。その中で、自分と近い年齢で実際に独立して活躍している方を目の当たりにし、「自分もあんなふうになりたいな」、「何となく自分にもできそうかな」と思いました。独立に対するイメージが固まり、さまざまな刺激も受けることができました。ここでの出会いや人脈は、いまでも私の財産になっています。

銀行と企業の通訳となるようなコンサルタントに

融資等、銀行でしかできないことは当然ありますが、一方で銀行にいるとできないこともあります。私は自分の知識や経験によって、頑張っている経営者の方をもっと近くで支援できるのではないかと考えました。銀行の融資で言えば、「業績が悪くて融資を受けられない」のは、ある意味で仕方のないことだと思います。しかし、本当は将来性のある良い会社なのに、自社の中身をきちんと伝えられずに融資を受けられない企業も結構あります。

これは、銀行にとっても不幸なことです。銀行は「わからない」ことが一番苦手ですから、銀行に伝わるようにしっかりと自社の中身を伝えられれば評価を得られ、結果、融資をスムーズに受けることができます。それにより、企業の成長発展と銀行との良好な信頼関係を築くこともできます。そのように、銀行と企業の通訳のようなことができると考え、私は独立して自分の名前で仕事をすることを決意しました。そして最終的には、マスターコースの卒業と同時に銀行を退職し、独立することになりました。

北海道・十勝の大自然に魅せられて

北海道・十勝の風景
北海道・十勝の風景

独立するにあたって一番悩んだのは、どこを拠点とするかということです。お店を開いてお客さんに来ていただくという商売ではないので、どこでも同じと言えばそうなのですが、私は北海道・十勝で独立・起業することにしました。

その理由は、まずは圧倒的な大自然の魅力です。広大な土地に真っ直ぐな道――これは、東京から北海道に来たからというのもありますが、とても魅力的に感じました。また食料自給率1,100%を超える、日本最大の食料基地と言われる十勝の農業のポテンシャルの高さにも魅力を感じていました。そして何より、家族がこの地を気に入ったことが一番大きかったかもしれません。

また十勝には、ダブルライセンスで活動されている方はいらっしゃいますが、中小企業診断士として開業している人はほとんどいない状況だったことから、事業のマーケットとしても魅力的だと考えました(後から勘違いだったことに気づくのですが...)。

平成23(2011)年6月に独立

独立・起業をすることで銀行の反対側に立つことになるため、銀行での取引先に対しては、在職中はまったく公表していませんでした。小さい街ですので、噂がすぐに広まって銀行に迷惑をかけることを避けたかったのです。ですから、顧客の見込みはまったくない状態からのスタートとなりました。「銀行でのお取引先等で何とかなるだろう」と甘い考えを持っていたのも事実です。

大都市の東京や、北海道なら札幌等であれば、独立診断士の先輩に仕事の進め方を学んだり、仕事を回してもらったり依頼することも可能かと思います。しかし十勝は、中小企業診断士として独立している方がほとんどおらず、中小企業診断士(経営コンサルタント)というビジネスモデルがほとんど存在しない地域です。自ら取引先を開拓し、自ら仕事を創るということに対して多少の不安はありましたが、挑戦したいと高い気概を持っていました。しかし、現実はそう甘いものではありません。

退職後にようやく、銀行のお取引先への挨拶を始めたのですが、反応はまったくありません。銀行という看板の大きさと、自分という小ささを痛感します。そして数週間で、「顧客は何とかなるだろう」という甘い考えは吹っ飛んでしまいました。

「このままではヤバい!!」

こんな状態で独立・起業のスタートを切ることになりました。

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(つづく)

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