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独立直後の診断士をレポート

駆け出し診断士の奮闘記

<駆け出し診断士の奮闘記(3)>

文:上野 光夫(中小企業診断士)

【第2回】「中小企業診断士である前に起業家になりたい」[2]

アクセルとブレーキを同時に踏む状況

自分も起業家として成功したい

起業家の相談を受ける
起業家の相談を受ける

私は、起業家支援を看板に掲げるなら、自分が起業家として成功しなければならないと強く感じていました。自分が稼げていないのに、「あなたの起業を成功させます」と言っても、説得力に欠けます。

まず思ったのは、仕事を受注するための営業活動が重要だということです。いくらコンサルタントとして優秀な人でも、仕事がとれなければ稼げないからです。

最近は、公的機関等で中小企業診断士が求められる場面も多いと思いますが、私は公的機関に勤務していたため、いったん離れたいという気持ちが働き、直接クライアントを獲得することを目指しました。ターゲットとしたお客様は、これから起業する人や、資金繰りに悩みを抱えている企業等です。

しかし、クライアントの確保は、容易なことではありません。地道な営業活動を続ける必要がありました。私は、独立後もセミナーや交流会に積極的に参加して人脈形成に努めたり、ときには営業代行の会社に集客を頼んだりもしました。そうこうするうちに、「DREAM GATE」を通じて相談してきた方からコンサルティングの依頼を受けたり、人からお客様をご紹介いただいたりして、少しずつクライアントが増えていきました。

週平均10人の起業家の相談を受ける

こうして地道な集客活動が実を結び、望んでいたとおりのお客様を確保できました。そして2011年9月以降は、週に10人ほどの起業家と面談し、起業準備や資金調達の相談を受けるようになりました。

業種はさまざまですが、相談に来る方のほとんどが、起業に対する熱い思いを持っています。中には、びっくりするような新技術を持ち、「世界を変えるのではないか」と思わされるほどの起業家もいました。また、金融機関で融資の審査のために会っていたのとは違い、それぞれの起業家の計画や思いをじっくり聞くこともできます。

相談者の7割は資金調達に関する内容ですが、ときには起業マインドに関する相談もあります。そんなとき、自身が起業家として未熟な私は、勤務時代を含めてこれまで見てきた起業家の事例を挙げながら回答しています。このように、毎日多くの起業家と会うことで、私はとてもワクワクした気持ちになり、楽しい日々を過ごしていました。そして収入面も、それなりに増えていったのでした。

予想もしていなかった落とし穴

こうして、独立直後から順調に推移していると感じていた私でしたが、その後に予想もしていなかった落とし穴がありました。

2011年10月、関与しているお客様が30人を超えた頃のことです。お客様が多すぎて、それぞれの方に対して十分な時間をとれなくなってきてしまったのです。Aさんの資料を作成していると、Bさんから「あの件はどうなりましたか?」と催促されます。Cさんからは、「最近ご連絡がなかったのですが、これから私はどうしたらいいですか?」などと聞かれる始末です。完全に処理能力を超える仕事を抱えてしまったのです。寝る間もありません。

それでも、集客のための活動は続ける必要があります。常に顧客開拓をしておかないと、いつ収入がなくなるかと不安だからです。しかし、せっかく新規のお客様から、「今週お会いしたいのですが、お時間をとっていただけますでしょうか」という連絡が入っても、「いや、今週と来週はちょっと詰まっていまして...。再来週なら何とか大丈夫ですが」などと、かなり先でしか対応できない状態でした。結局、そのお客様からは連絡がなくなってしまったこともありました。

つまり、集客活動というアクセルを踏みながらも、一方ではブレーキを踏むという、矛盾した状態に陥ってしまったのです。当時はパニック状態でしたが、しばらくすると単発のお客様の仕事が終わり、どうにか適正な仕事量に持っていくことができました。「コンサルタントの仕事は、時間の切り売りだ」とよく言われますが、その意味をまざまざと思い知らされた気がしました。

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(つづく)

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