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独立直後の診断士をレポート

駆け出し診断士の奮闘記

<駆け出し診断士の奮闘記(1)>

文:岡田 憲政(中小企業診断士)

【第3回】「自信をつけるには、全力でやるしかない!」[1]

独立して半年を過ぎた頃から、私は3つの分野の仕事に注力するようになった。お客様に感謝される機会が増え、少しずつ自信も芽生え始めた。

注力している仕事(1) ~研修講師~

★2011年4月某日 某金融機関で営業リーダー育成の研修講師を務める

某金融機関での営業リーダー研修
某金融機関での営業リーダー研修

この仕事をきっかけに、自分の講義スタイルが少しずつ確立されてきました。自分の言葉で飾らない表現を心がけ、受講者の誰よりも本気で研修テーマに取組むことに注力しています。加えて、テーマに即した実務経験で感じた思いや具体的実践を提示することにより、受講者の皆さんが積極的に参加するようになってきたと感じるようになりました。少し暑苦しい気もしますが、これが私の研修スタイルとなりつつあります。

この研修に関しては、受講者は非常に優秀でしたが、私は物足りなさも感じていました。仕事上の問題解決方法を議論する演習を行った際に、どの答えも表面的で、実践につながりにくい抽象的なものばかりだったからです。たとえば、「○○業務の××問題の改善策を考えよう」という問いに対する答えが、「業務マニュアルを作成する」といった教科書的なものばかりでした。

しかし、演習中や休憩時間に、私自身の営業リーダー経験を話しながら、「部下と一緒になって成果を得られたときの喜び」、「部下の成長を実感できたときの嬉しさ」といった思いと、コンサル業務で使ったWBS(Work Breakdown Structure:作業分解図)を用いた具体的実践例を伝えたところ、素晴らしい解答が出てくるようになったのです。先方の人事担当者に至っては、その光景を見て、感動で目に涙を浮かべていたほど。実は私も、涙が出ていたかもしれません。

私は、これまでにも研修講師の仕事を経験していましたが、受講者の評価を気にしてくだけた表現を避け、当たりさわりのない研修をしていました。でもいまでは、講師と受講者の本音のやりとりが必要だと感じています。まずは講師が自分をさらけ出し、スキルだけでなくマインドを伝えなければ、受講者には伝わらないと思うようになりました。そして後日、このときの受講者からたくさんの実践報告をいただき、先方の人事担当者からも、「受講者の目の色が変わったと、現場からの報告が多数寄せられています」と感謝の言葉をいただくことができました。

研修講師の仕事は売上を安定させるために始めたもので、当初は恥ずかしながら、「数回の研修で仕事ができるようになるわけがない」と考えていましたが、この経験を通じて考え方が変わりました。「少なくとも、受講者の皆さんの気持ちを前向きにすることはできる」のです。この仕事では、受講者の反応がダイレクトに伝わってきますし、講師の対応しだいで雰囲気は一瞬のうちに変わります。そうした責任を感じるとともに、受講者の皆さんと一緒に研修をつくる喜びも感じるようになりました。皆さんの成長を通して、自分自身の成長も実感できる--こんなよい仕事はないと思っています。

2011年の登壇回数は、80回の予定です。研修講師の仕事は事業の柱であり、収益源となっています。来年は登壇回数100回を目標に、今後も事業の柱として注力し、受講者の皆さんと一緒に成長を実感していきたいと思います。

注力している仕事(2) ~区から受託した製造業支援~

★2011年4月4日 製造業に対する受発注マッチング・経営課題解決の支援業務を始める


この仕事は、区内企業様を巡回訪問し、(公財)東京都中小企業振興公社と連携して、企業様のニーズに応じた支援を行う業務です。仕事を得たきっかけは、区の診断士会のメーリングリストでの斡旋に対し、一番早くに応募したことでした。能力ではなく、ただ早かったという理由で受託することができました。

私は、アパレルメーカーで製造部門も経験しており、月に数日は工場で仕事をしていたので、製造に関してある程度のノウハウを持っているつもりでした。しかし、衣料品製造の経験は、いわゆる一般的な製造業としての評価はしてもらえず、悔しい思いをすることもありました。そうした評価を払拭するために私は、区の製造業支援の業務をやってみようと考えたのです。月に数十社の企業様を訪問するので、さまざまな規模・分野の製造現場を見ることができ、製造に関してのノウハウを学ぶことができると考えました。

実際に巡回訪問をした最初の印象は、「とにかく疲れる」でした。区内全域を訪問するので、とにかく歩きます。企業様ごとの特徴をつかむまでは、足を使って訪問するしかありません。最初は効率が悪いと感じていましたが、多くの製造現場を見る機会が得られ、設備の違いや企業様ごとの特徴を把握しやすいというメリットもあります。

数ヵ月が経ったいまでは、企業様の特徴も徐々につかめるようになり、お問い合わせや感謝の言葉をいただく機会も増えるなど、手ごたえを感じ始めています。また、製造に関するノウハウも身についてきたことを実感し始めています。

まずは、専門用語を覚えることが近道です。たとえば、NC旋盤・マシニングセンタ・ダイキャストなどの用語の意味がわからないと苦手意識を感じてしまいますが、覚えてしまえば単純な話です。ものづくりとは突き詰めて言えば、「削る」、「穴を開ける」、「研磨する」、「流し込んで固める」などの作業の積み重ねです。あとは、対応できる工作物の大きさや、工作機械メーカーの特徴などを理解すれば十分です。専門知識は企業様にかなうはずもありませんから、中小企業診断士としては、営業活動、資材・在庫管理、原価管理、資金繰りなどの分野で貢献できることのほうが重要です。

なかでも、営業活動支援のニーズは大きいと感じています。たとえば、旧来の下請け仕事が激減しているにもかかわらず、まったく営業活動をしていない企業様がありますが、行政や関連団体の行う支援策を活用しながら営業活動支援を行うだけでも、一定の効果が得られます。この仕事を始めてから、区や(公財)東京都中小企業振興公社など、行政の事業・施策内容の理解を深めることができ、他の業務にも役立つ知識を得られることも大きなメリットだと感じています。今後もこの仕事に注力し、製造業支援に対するノウハウ・自信を少しでも深めていきたいと考えています。

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