アンケートにみる診断士の実像

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第4章 データでみる企業内診断士の実態

石田 恵介・東京支部城南支会

 最終章となる本章では、本アンケート調査の中からコンサルタント業務に携わっている企業内診断士にフォーカスし、その実態を明らかにしてみたい。

 なおここでは、下図に示す「4.公務員〜8.民間企業(金融機関除く)」の合計1033名を「企業内診断士」と定義した。つまり、コンサルティング会社を除く企業、団体、自治体等に勤務する診断士資格保有者を「企業内診断士」ととらえたということだ。また、同じく下図の「1.プロコン(他資格兼業なし)〜3.コンサルティング会社等勤務」の合計936名を「プロコン」と定義した。

1.経営コンサルタント業務への従事状況

(1)コンサルタント業務従事は2割超

 問7では、「現在、あなたは経営コンサルタント業務(副業等を含む)を行っていますか」と尋ねている。その結果について、先述の「企業内診断士」と答えた者とクロス集計をした結果が下のグラフである。1033名の企業内診断士のうち、225名(21.8%)が経営コンサルタント業務を「行っている」と回答している。ここでは、2割を超える企業内診断士が、副業として経営コンサルタント業務を行っていることがみてとれる。

 コンサルティング会社等に勤務していない環境においては、日常業務の中で経営コンサルタント業務に携わっている者は多くないと考えられる。よって、上記225名の企業内診断士は、勤務外の時間を活用して経営コンサルタント業務にかかわっているのではないかと推測される。
 

(2)業務の内訳と従事日数

 次に、経営コンサルタント業務を行っていると回答した企業内診断士225名の業務内訳と従事日数をみてみる。経営指導に従事している者が131名、年間平均35.3日ともっとも多く、診断業務の97名、22.4日、講演・教育訓練業務の65名、11.2日と続く。この結果からは、本業を抱えながら各業務で毎月1〜3日の経営コンサルタント業務を行っているエネルギッシュな企業内診断士の姿をみることができる。


 

(3)課題は時間の確保

 経営コンサルタント業務を行ってからの経過期間をみてみると、「5年以内」とする回答が118名(52.4%)ともっとも多く、年数が経過するに従い、その割合は低下している。

 また、企業内診断士が経営コンサルタント業務を行っていない理由に着目すると、「会社の仕事に追われ時間と余裕がないから」とする回答が364名(25.4%)と2番目に多い。

 以上から、診断士資格取得直後は、中小企業診断協会や各種研究会への参加、人的ネットワークを通じ、休日など勤務外の時間を活用しながら経営コンサルタント業務に携わるべく積極的に活動していくものの、時間の経過とともに本業で担う役割や責任が重くなり、同業務に割ける時間の確保が難しくなっていくものと思われる。企業内診断士が本業以外の時間で経営コンサルタント業務を行うためには、時間の確保が課題となっていることがうかがえる。

 一方、11年以上も経営コンサルタント業務に携わっている者が43名(19.0%)、そのうち31年以上も同業務に携わっている者が5名(2.2%)いる。これは、長期間にわたり、経営コンサルタント業務を行う時間を捻出し、本業との両立を図っている企業内診断士の存在を示している。
 

(4)受注先の半数は民間企業

 企業内診断士が従事している経営コンサルタント業務を、公的業務か民間業務かの視点で見てみると、いずれかに重きを置く二極化傾向がみられる。

 「公的業務がかなり高い」とする回答が69名(30.7%)と3割にとどまるのに対し、「民間業務がかなり高い」とする回答は109名(48.4%)とおよそ半数を占めている。

 公的業務を個人で受注するには、専門家としての要件を満たしていることが求められる場合が多いが、その中でプロコンであることを条件としている場合もある。また企業内診断士の場合、営業活動にかかる時間を捻出することが難しい。以上のことから、多くの企業内診断士は、公的業務・民間業務にかかわらず、中小企業診断協会や各種研究会、プロコン等の人的ネットワークを通じて、経営コンサルタント業務を受注しているのではないかと推測される。